・・・ 次元の狭間
地球の上空に開いた、タローが感知できない次元の狭間。
二体の超種族が、地表を窺っている。
◇ ◇ ◇
「抹殺対象に、群竜への対処を学ばせてしまった。」
「これでは、前回よりも手際よく、駆除される事が明白だ。」
「同意する。群竜を導いて奴らに害をなす作業は、もはや意味がない。」
「魔族の王とやらの判断力を、過小評価した。」
「結果として、人族と魔族との連携を強めた。」
「同意する。それは、奴の意図するところだ。」
「武器による物理的な被害よりも、魔族の魔法による損害が大きいと推察する。」
「我らには不本意な進展だ。」
「奴がこの星に落ちてきたことで、整った未来が見えなくなって久しい。」
「あの時空震は、宇宙の真理に汚点を残した。」
「奴を放置すれば、ますますこの星の未来が不確実となる。」
「因果律を乱し、秩序ある未来を脅かす、忌々しい奴。」
「主上のお怒りは、もっともだ。」
「具体的な介入を考えねばならない。」
「奴を直接攻撃することはできない。管理者に感づかれる。」
「細部まで目が届いておるまい。戦いに紛れて行えばどうだ。」
「地表に降りて、その手で奴を滅ぼすのか。」
「高次元に属する我々には、奴からの物理攻撃や魔法は無効だ。」
「死ねば、群竜が奴を殺したことになる。」
「同意する。」
「主上が、さぞやお喜びになるだろう。管理者に悟られぬよう、留意せよ。」
「了解した。」




