3 手紙
テレーンテテテーン
朝のチャイムがなる。なんというか、独特な音だ。ほぼ強制的に目を覚めさせられた。
「ふぁぁ……眠……」
目を擦りながら布団を剥いでベットから降りようとすると、音楽が急に止まり、廊下の方からダダダダダと、足音が聞こえてきた。その音は俺の部屋の近くで止まると、俺の部屋のドアをノックする音が聞こえた。 どうぞ〜 と返事をすると イルが入ってきた。イルは俺のベットの真横に来ると
「はぁ、はぁ、マレイ様、申し訳ありません。起こしてしまって……」
と言って土下座をしてきた。
そんな、土下座するほど悪いことではない。むしろ起こしてもらって嬉しいのに……そんなことを思いながらなんて言葉をかけたら良いのか、と迷っているとピンポンパンポン、という音と共にアナウンスが流れ始める。
〈イル様、イル様、至急、管理室までお越しください。繰り返します。イル様、イル様、至急、管理室までお越しください。〉
このアナウンスにイルはハッと顔を上げ、立ち上がると頭を下げながら
「はっ、マレイ様。私は呼び出されましたので行ってまいります。この度は本当に申し訳ありません。次回以降、このチャイムは切っておきます。」
「えっ、いやいや、このチャイムはつけといて、起きられるからいいし。」
「私の失敗のために……? では了解致しました。切らないでおきます。」
イルはなにかボソリと呟くと、切らないでおくことを把握してくれた。そして、敬礼をして部屋から去っていくと、突風がふくような速度で管理室へと急いで走っていったようだ。
イルが部屋から去っていくと、着替えなくてはならないことを思い出し、ベットから飛び降りると、着替えを始める。
約10分後〜
着替えが終わり、何をしようかと考えていると外から窓をつつく音が聞こえた。窓は外開きの2枚窓だ。
窓の方に近ずき、カーテンを開いて外を覗いてみると変な生き物……鳩の様な体だが、頭はヤギのような生き物が窓をしきりにつついている。まぁ、幻覚だろうと思い、カーテンを閉めてまた開けてみた。
やっぱりいないよな……と思いたかった。そこにはまだ窓をつついている生き物がいた。
ソイツは俺に気がつくと、グイン、と首が折れるんじゃないかと思うくらいの勢いでこちらに顔を向けてきた。そして顔を窓に貼り付け、開けろ、とでも言うように首をぶん回している。
俺が窓の方に手をかけると頷いて、手を離すとまた首をぶんぶんと振り回す。
それが面白くて、何回かやっている内に思わずふっ、と吹き出してしまった。それをみたソイツは怒ったのだろうか?さっきとは1回りも2回りも違う鈍く、重い音で窓をドンドンとやり始めた。
窓が壊れるんじゃないかと思ったのであやまろうと思い、両手を顔の前で合わせるとぎゅ、と目をつぶり「ごめんな」とボソリと呟く。
そしてそいつが求めているであろう窓を開くとソイツはビュン、と風が吹いたのかと思うくらいの速さでこちらに入ってきた。
そして俺の前にとまると足に引っつけている丸い箱を口でくわえて俺に差し出す。それを受け取ると上についている蓋を開けてみる。箱を逆さにしてみると巻物のようなものがでてきた。
巻物に着いている紐を解いてみると、
"今から君についての事を話そう。By 神"
という前文から話が続いていっている。それをごくり、と唾を飲み、読み始める。内容は
〈やぁ、こんにちは!私はキミが多分、初めにあったであろう神の上司のような神だ。名はルリル。
あの神の名はアリル。かなりの問題神でな……っと、話が逸れてしまった。では話を戻そうか。
アイツはお前について、なにもはなさなかっただろう?ここでなにをしていけばよいか、お前自身はなにものか、話された覚えはないだろうと思う。
そこで私が君のことを色々と話そう!と思ったのだが、あいつに拒まれてしまってな……そこで手紙を送ることにしたんだ。
そうそう!今、お前の執事……イルだっけか?イル……?が居ないことを確認してから下の文は読め。イルはアリルの部下さ、アリルの言うことならほぼなんでも聞く。ま、お前の命令が1番だろうけどな。
まぁ、こんな話を聞くより、早く話の内容を聞きたいだろうと思うからな。では、本題に入る。大幅に言うと内容は2つ。お前の正体とお前が何をしなくては行けないか、だ。
1つ目、お前は率直に言うとこの世界の、この城のいわゆる"魔王"だ。"統一者"という名もある。あぁ、勘違いはしないでくれよ?悪いものでは無い。
2つ目、先程の話を聞いて想像は少し着いたかもしれないが、お前には、この世界を世界を統一してもらう。なーに!そんな難しいことではないさ、お前の力があればな。
まだこの世界はバラバラでな、お前にまとめてほしい、という訳だ!
まぁ、大体の必要事項は伝えた。もっと話したいことはあるが……お前も状況把握の時間が欲しいだろうと思うからな、今回はこれくらいで終わりにしようと思う。
なにか質問等があったらもう1枚紙が入っているだろうと思うから、質問を書いてこれを届けてきた動物に渡してくれ。あ、ちなみに動物の種類はそのまんま、だがヤギバトと言うぞ。覚えといた方が得……だと思う。
では、いつか!また会おう。
神 ルリル〉
その言葉で〆られて、手紙は終わっていた。
「何、これ。」
思いもよらぬ展開に頭を抱えてしまう。コンコン、とドアがなっているのにも気づかなかった。それほど動揺していたのだ。
「とりあえず……1回寝よ……」
そうして、眠りについた。
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