【5】領主様の家2
やばっもう4時じゃんとりあえず部屋に戻ってと
「ネイさんそろそろ領主様のところに行かないとだめですよね」
「まだ4時ですけれどもう行くのですか?」
「はい早いに越したことはないので」
「わかりました。では一度お化粧をし直してから行きましょう」
この執事出来るやつだよね多分。でも早すぎるとか言うんだ。
「ねえネイさん。執事って読んだほうがいいの?」
「まあ基本専属なのでそういう方のほうが多いです」
「じゃあこれからは執事って呼ぶね」
「わかりました」
この人の感情が読めない。化粧できれいになったときの喜びようでわかりやすい人だなとは思ったけれど常に何考えているか全くわからない。
そんなこんなで領主様の部屋の前についた。
「領主様スプリング様をお連れしました」
「そうか入って入って」
「失礼します」
やっぱり本当にこいつが領主なのか。いい意味ではフレンドリーとは言えるけれど、悪く言えば威厳がないとも言える。自ら馬車で迎えに来たり、テンプレの高圧的な態度がないし、信用できない。
「スプリングちゃんはもう少し後で来ても良かったんだけれどね。本当は呼んだ理由を聞くだけだったんだけれど、それだけだと時間が余っちゃうから君の質問にも答えてあげるね。君が知りたいものは何?」
「今は何もありません。まずは領主様が呼んだ理由をお応えください」
「わかったよ。君をここに呼んだ理由は、とっても単純に言うと、君をミノタウロスというものの生贄に差し出すから、明日なんだけれどそれまでここに君は監禁と言ってもこの家内は自由に動き回っていいけれどね。それでご飯前に私の息子、娘たちに紹介するために呼んだんだ」
は?ミノタウロスだと何じゃそれ。まさか3歳でこの人生終了か、笑えない。せっかく転生したというのに、もうおわりだなんて。いやこんなところで諦めるな。自分の前回とは違うリベンジだ抜け出そう。そうだそうしよう。私は今度こそ自分の人生を100歳になるまで生きるんだ!
とりあえず平静を装うじゃないか。ミノタウロスについて聞きたいこともあるし、この家でできることはすべてやろう。
「じゃあ質問です。ミノタウロスってなんですか?」
「だいぶ落ち着いているね。生贄の意味わかっている?一応教えるけれど」
「大丈夫です。もちろんですが知っています。命を差し出すということでいいですか?そんなことよりも、ミノタウロスとはなんですか?」
「あっている。ミノタウロスとは牛と人間を合わせたような亜人だ。正確に言うと、知能のある魔物だお腹が空いていると暴れ出すこの地の守り神であり厄災だ。やつは古代神殿ミネスタポリスの最下層にいる全くもって話がわからないから困ってもいる。よって人柱を渡している感じなんだよ。やつが地上を歩けば歩いたところを更地にし、やつが咆哮をあげれば聞いたものが気絶すると聞く」
何でそんなやばいやつがこんなところにいるんだ。移住しろよ。
「で何で私が選ばれたんですか?」
「1年に一度するんだ。うちの街は10万世帯いて、順番にまわってくるんだよそして、君のいえは前回、前々回出さなかったからせっかく図書館に娘が来たいって言っているならそれを利用しようと考えたんだ。そのまま食わせればいいってな」
「なんやこいつ食わせるってはっきりいいよった。やば関西弁になってしもた。生まれも育ちも東京やったのに、まあええわ。あと順番に回ってくるってこの世界ではよくあるんか知らんけど、回覧板感覚で回ってくるってなんやねんそして親も親やなんで出さんかったんや。ヤバすぎやろ。うちが1、2歳のときに回ってきたんやろなんで自我が持てるようになりだす3歳で出すかな。出すにせよ普通は自我が持てない1,2歳やろ頭湧いとるんちゃうん。ゲッスイわ」
「あの何語を喋っているんですか?」
あ声に出していたのか。親への怒りと混乱で全く気づかなかった。
「なんでもないです関西弁というものです。日本語の方言です」