【3】領主様の家 1
「スプリングちゃ〜ん到着したよ〜」
「ありがとうございます」
領主様の家にやっとついた。これ城じゃん。ありえないぐらいでかいんですけれど。もとの世界の10階建てのビル20個は入るよ絶対。城壁はない。なんじゃこれ。
「さあさあ入って入って」
領主様に促されるまま城の中に入ると2人のメイドが挨拶をした。
「こんにちはスプリング様。この家にいる間は私ネイが貴方様の身の回りのことを手助けさせてもらいます。つかぬ間ですがよろしくお願いいたします」
「ありがとうございますネイ殿」
「ネイ。スピリングちゃんを031に案内して差し上げなさい」
「わかりました」
「さあこちらへスプリング様」
ネイさんになすがままに案内された部屋は、4階にある元の家の自分の部屋の2倍はある部屋だった。
なんだかすっごい高級そうな絵とか飾っているけれど3歳にこれほどの部屋はヤバすぎないか?
「こちらで不満ならばお部屋を変えて差し上げます。ご不満はございませんか?」
「不満などございません。ちなみに本がおいてある部屋はどの部屋ですか?」
「この階の左に曲がって突き当りでございます」
「ありがとうございます」
「ではこの部屋についての説明とこのあとのご予定について話させていただきます」
説明はこの部屋に飾ってある絵のこと、図書室の利用について、ご飯を食べるときのマナーと場所、そしてこの城からどこかに出かける際にネイさんを呼ぶこと、最後にご飯を食べたあと5時から領主様のところに行くこと。というものであった。
この部屋にしてくれたのはここの領主様の考えでだよな。とてもありがたい。ご飯を食べるときのマナーはほぼ前世と変わらないので大丈夫だし、ほぼホテルのようなところだし、メイドまで付くなんてここは天国なのでは‼まあいいやまだ5時まで時間は余っているし図書室行って待っておこう。
「どこかに行くのですか?」
「はい図書室へ」
「じゃあ少し待っていてください。お着替えを持ってまいります。あと体を洗って待っていてください。この家の中を歩き回るにふさわしい格好にしますので」
確かに私はそんな貴族みたいな服装は持っていない。一応家の中で一番いい服を着てきたけれど、まだ足りないらしい。そんなこんなで着替えをした。
「とても可愛らしい姿になりましたね。スプリング様」
「…」
何だこのメイドなんだかすっごい興奮している。若干引いてしまう。鏡を見てみると自分の姿とは思えない顔がそこにあった。
なるほど自分はメイクなんてしなかったからな。自分で言うのもなんだけれどメイクをしたらここまで変わるのか。メイクはそんなに変わらないと思っていたけれどこんなに変わるとは。比喩をするならば美少女が天使となったという感じか。これならメイドが興奮するのも無理はない。
興奮しているメイドを置いて図書室についた。受付みたいなことをしている人はいなかった。ここの本って勝手に持っていってもいいのかな聞いていなかった。とりあえずそこにいる女性に聞くか。
「すみません」
「なによこのブサ…。かわいい~~なにこの子かわいすぎるんですけれど。ちょっと執事きて〜この子可愛すぎ。ねえこの子どこからきたの」
「可愛いのはわかりました。お嬢様イメージが総崩れでございます」
「はっ。なによブサイク名乗らないとはいい度胸じゃない」
何だこの人。多分お嬢様となっていることはここの領主様の娘かな。…胸がでかい羨ましい。前世では恵まれなかったからな。このまま行くとまた貧しい体型になってしまう。別に異性にもてたいわけじゃないし嫌いだからいいけれど、見栄え的に同性からもランク付けされると前世の弟から聞いたことがある。どうにかせねば。
「あれどうしたのこの子固まっているんだけれど。執事どうしたのこの子」
「お嬢様が急に可愛い〜などとほざいたからでしょう。引かれておられるのですよ」
「えっほんとに惹かれたのラッキー。それならイメージが崩れていてもいいよね」
硬直してしまった。ちょっとまてこのお嬢様は何なんだ。わからない。とりあえず勝手に本を持っていってもいいのか聞かなきゃ。
「あのここにある本かってに持っていってもいいんですか?」
「えーといいよ。ね執事かわいいもん」
「だめです可愛いからと言ってもダメなものはダメです」
「え〜わかったよ。ねえねえ私の名前はフィフティ・ルラ。よろしくねここの領主様の娘だよ。あなたの名前は?」
「わたしの名前はゼル・スプリングです」
「スプリングっていうのね。ゼルってことはゼル家かそっか。何であのゼル家がここにいるの?」
?ゼル家って有名なのかな。もしかして名字って貴族だけがつけれるものだったりするのかな。
「コラお嬢様。スプリング様が困っておられるでしょう。人にはいいたくないことなんぞ多くあります。そういうのをすべて引き出すことなど出来ないことぐらいあなたも知っているでしょう。すみませんスプリング様私達のお嬢様がご迷惑をおかけしました」
いや単に歴史を調べに来ただけだからね。というか貴族だったことすら知らなかったけれどね。
「いえいえすみません。今日はちょっと歴史を調べるためにここに来ただけですよ」
「歴史とはなんですか?執事教えてくれる?」
「申し訳ありませんお嬢様。わたくしめも存じ上げないです」
「えーと歴史というのは、これまでのヒストリーと言いますかなんといいますか」
「ヒストリーか。それならわかるわ」
「もしかして古代語を喋れるのですか‼スプリング様」
歴史が通じなくてヒストリーで通じただと。あと古代語って何それ日本語のこと?
「ねえスプリングちゃんあなたって何歳なの?歴史なんて難しい言葉よくしっているね。もしかしてこれ読める?」
「3歳です。多分読めます。翻訳スキルSSですから」
「えっすごーいSSなんてほぼ国家を挙げても1人ぐらいの人間だよ。まあそっかゼル家だもんね。いて当たり前か。でこれには何が書いてあるの?」
「お嬢様ちょっと待って下さい。スプリング様あまりSSはひけらかさないほうがいいかとそれを利用する輩も多くいますので」
「わかりました」
SSって名乗らないほうがいいのか。とりあえずこれは何が書いてあるんだろう。えーと…ってこれ本当に日本語じゃんあのわからない文字をSSの力で翻訳するあの文字の上に文字が浮かび上がる感覚がない。しかもこれに書いてあるのは東京‼なんであの前世の都会が来るの!?あれっこれ私が知っている東京じゃない。この都市構図全く違う。
「えーとこれに書いてあるのは東京についてです」
「あの古代文明東京の本なの!すごい本じゃない。うちには全く読める人がいないんだ。よかったら教えてくれる?その代わりここにあるヒストリーの本全て貸出オッケーに父上に言ってあげるから」
「本当ですか!じゃあいいですよ」
「スプリング様本当ですか。普通はそういったことは奥義みたいな感じで教えないものですよ」
「別にいいですよ。私にはそういうのはないので」
[ここの本を貸出オッケー]という言葉につられていいとは言ったもののな、私はこっちの世界の言語を学んだことがないしな。そうだ、この本を訳したものを見てもらうっていうのは…漢字の都合上翻訳がむずかし過ぎてだめか。せっかくだし歴史の本片手に一緒につきっきりでやればいいか。
「とりあえず紙を出してください」
「「紙‼」」
えっ何で驚いているの?
「スプリング様は知らないんですか?紙ってとても高価な代物なんですよそれこそ本のようなものばかりしか紙なんて使われているものないですよ。本だって基本は布に書いて束ねるのが主流ですしそれこそ古代文明世代じゃないとありえません」
えー!そうなんだ。しらなかったそういえば部屋に飾ってある絵も木に書いているようなものだったしな。この文明はそういうもんなのかな。
「初めて知りました。そうですかわかりました。じゃあ筆と布を貸してください」
「えーと普通に(あ)ってどういうふうに書きますか?」
「バカにしないでよこうでしょ」
いや私に聞くな私は英語と日本語しかわからないし。何なら英語もほぼ知らないし。
「それが日本語だとこれになります」
「へーそうなんだ。って日本語って何?」
あっそうだった日本語じゃない。古代語だった。まあいっかとりあえず今後もまた言い間違えやすそうだし今のうちに言っておくか。
「えーと日本語は古代語の当時の呼び方です。それは置いといてこんな感じで日本語には50音と呼ばれるものがあるので全て書いていきますね。」
やばい筆久しぶりに持ったから汚くしかかけない。しかも布に書くなんてむずすぎる。時間がかかる〜。
「こんな感じです。あとは(だ)とか(ぱ)のようなものを書いてとりあえずこれで意味がわかりますね」
「そんな簡単なの。全く今の言葉とほぼ同じで50音なのか。じゃあ簡単だね読んでいこう」
〜何分後〜
「わからない〜〜〜!ねえこれは何?私知らない。とりあえず置いといて先に進んでも同じ感じで難しくて読めないものしかないよ教えて〜」
「えーとこれは(かんじ)といって例えばルラ様が読んだ(東)だと(ひがし、とう)などの読みがあります」
「へーそうなんだ道理で解明が進まないわけだ。あとルラでいいから。ねえスプリング、じゃあ何でこんな難しいものを書くの?」
「お嬢様そんなものを聞いても古代人じゃないからわからないでしょうわがままを言わないでください」
いや知ってはいるんだけれどね。っていうか日本語教えるの難し〜日本語学ぶ外国人とか逆に教える人って大変なんだね。初めて知ったよ。教えるの難しすぎて歴史出来ない〜。
「えーと読みやすくするためです」
「読みづらいよ。嘘つき」
「あっています。嘘はついてない。日本語には同音異義語と言って同じ言葉で違う意味のものがあります。そういうのを区別するためのものです」
「難しい」
私もほんとに教えるのも難しい。
「とりあえず教えるのも疲れたのでまた明日お教えしますよ」
「わかった絶対だよ」
「ではさようならスプリング様。また明日お教えください。ルラ様私達ももうそろそろで時間ですしね」
「さようなら執事さん、ルラさん」
まさか紙がないなんて。また明日作っとこ家で株やっていたときに製紙会社について調べたついでで身についた知識がこんなところで役に立つなんて思いもよらなかった。あ。もう少しで5時じゃん急がなきゃ。
『続きが気になる!』『応援してる!』『今後に期待!』『来世に期待!』
などと思われた方は
・ブックマーク追加
・下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価
以上をしていただけると作品の大きな力となります!
作者のモチベーションも大変上がります。
微妙だと思われたら☆1や2を入れていただいても構いません。
皆様、応援のほどよろしくお願いいたします。