【1】転生後1
どうやら意識はあるらしい。よかったまだ魂はある。これはセーフなのでは。
あれ?目を開けても真っ暗なんですけれど。あら手の地獄かこれはどうやら手も足も思い通りの体にはならない。仕方ないとモゾモゾ動いてここから這い上がろうとした。
頭がどこかにめり込みそこに向かって突進した。
「良かった元気な女の子が生まれてくれた。あなたの名前はゼル・スプリングですよ」
どうやら母親らしい。金髪の髪で優しそうな顔立ちだ。金髪かよ。
「あぅっ」
「この子泣きませんね。死産なのかしら」
「あぅあぅ」
「でも声を発しているから生きているんじゃない」
うげっ男じゃん。って多分父親か視点移動できないのが辛い。
母親が持ち上げてくれた。こいつが私の父親か。どれどれ19歳ぐらいで茶髪イケイケ系の男前の…あれっ何故か吐き気がこみ上げてこない。あの神のおかげか。
でもやっぱり危機感を持ってしまう。
その時お湯の中に入れられた。
「あぶぶぶう」
「なんでお湯につけるんだ?」
「私の体の中の体液を洗うためです」
そっか羊水を洗い流すためだったか。すっかり忘れていた。よかったどうやら殺す気はないらしい。ちょっとまて今何もかも平然としていたが、私はもしかして転生しているらしくここにたどり着くまでちょっと時間がかかった。そんなこんなで色々検査を受け服を着せてもらった。
何ヶ月かたち、首が座り、ハイハイできるようになった。ハイハイできるようになったので家中を徘徊した。多分ここ2階がある感じの普通木造1軒屋である。立地場所はいいのかはわからない、ただ言えるのは日本よりも文明が発達していないということである。ドアノブの位置が高くリビングから出るときは近くの棚に登って一回開けてから降りて通らなければならないところがめんどくさい。それに棚によじ登るにしても親がいないときにしか出来ないのでやることがなくなってくる。その上この体部屋を一つ移動するだけで眠たくなってしまい抵抗も許さないで眠ってしまう悪質なものであるから廊下の硬いところで寝てしまうこともあり、起きたときには体中が痛いなんてこともある。そして毎朝目覚めると毎日親の顔が近くにある。母親はいいのだが、父親の顔面が近くにありすぎて怖い。というかひどい吐き気を催す。しかし吐き出すものが胃の中にないのでこのなんとも言えない思いをしなければならない。ハイハイできるまでは父親は仕事に行っていたらしく帰ってこなかったのでとても充実した一日をまいにち送ることが今は家にいるので朝は吐き気しか催さない。
父親は多分いい人であろう…多分。しかし自分は男嫌いであることを理由に全然素性を知ろうとしないせいで全く何をしているのかわからん。
この前仕事から帰ってきたときなんて何日も風呂に入っていなかったっぽくて臭くて、何もかもボロボロだった。男の独特な匂い、というか感じが全面的に出ていたせいかやっぱり吐き気がした。ついには胃液を吐き出した。スッキリはしなかった。その時に両親ともに駆けつけたせいで父親の臭さが更に鼻に来て全身脱力をした。こんな具合なので全くと行っていいほど父親のことは知らない。
そして2歳になり立つことが出来るようになり、毎日棚の上にある本をつかもうと努力した結果棚によじ登ることで2歳にして本を読むことが出来た。そしてそこらへんにあった本を読むと驚くべきごとによく見慣れた日本語であった。ついでにこの本によるとこの世界には魔力があるらしい。
まさにファンタジーの世界じゃないか。
生まれたときから体の中になにかがあると思ったら魔力のことだったぽい。体の中の魔力を手に込めた。体の中を何かが移動する感触が手に残る。おおっこれは動かせるぞ。でもこれをどうやって使うんだろう?そんな事を考えていると母親がやってきた。
「これに興味を持ったの?将来は父と同じ冒険者にでもなるのかな。それなら適性を調べないといけませんね。でも5歳かららしいのでそれまでは我慢しないとね」
父親は冒険者なのか。道理で帰ってきたら洗濯もしないで男臭くなって帰ってくるのか。というか適性があるのか。すごいなこの世界は。父と同じとは気に食わないが冒険者を目指してみても悪くないかもしれない。
「とりあえず初級魔法なら何でも使えるらしいので使ってみる?でも詠唱が出来ないから無理かもね」
バカにするな。私はまだこの体じゃあ2歳とはいえ文字も読めるし言うことも出来るんだぞ。
「私だって言葉ぐらいしゃべれるよ」
母親は涙を流していた。どうやら感動したらしい。えっ何に?そんな感じで驚いていると。
「あなたスプリングが喋っていたよ喋ることが出来たのなら喋ってくれればよかったじゃない。パパもママも言わないから喋れないのかと思っていたの。だから詠唱は無理だっていっていたの」
なるほど。そういうことか確かにすべてのことは親に任せとけば何でも良かったし、前世に比べるとなんてこともない最高とも呼べる状態だったから喋ることもなかったからか。でも最初の言葉がパパでもママでもなく、私だって言葉ぐらい喋れるよだったら流石に気持ちが悪い。悪霊でも取り付いているのかと私は思う。親はそれでも何故か鈍感だから気づかないぽいけれど言動には気をつけたほうがいいな。
「スプリング〜おまえしゃべれたか」
げっ父親だドタドタおとがすると思ったらこういうことだったか。父親は俺に抱きついてきた。私は全力で逃げようとしたが2歳と大人じゃ相手にならない。結果捕まってしまい必死に抵抗した結果疲れ果てて寝てしまった。
明日の朝起きたときに母親に魔法の使い方を教えてもらうことにした。
「お母さん。魔法の使い方を教えて?」
「昨日教えるのを忘れていたね。私は水の初級魔法しか使えないけれどいい?」
「いいよ」
いいしかない。せっかくの魔法だ
「水の初級魔法は、大地に宿る水の精霊よ私に力を貸してください。ウォーターボール」
そう言うと母親の手に水の玉が出てきた。すごい。そして自分もやってみた。
すると持てるぐらいの大きさの水の玉が出てきた。しかし維持するのは難しく1秒も待たずに破裂してしまった。
「私は魔術に興味はなかったからもうこれしか覚えてないけれどこの本にはすべて書かれてあるから。私はまあ読めないんだけれど」
あれっもしかして識字率って低いのかこれは。そんな思いをいだきながら練習に励んだ。しかし3回目で魔力が尽きてしまったらしい。全身が脱力した。まあ2歳なら仕方がないか。こんなもんかそして毎日ウォーターボールの練習に急いだ。
最近は父親がいない。正確にはいるのだが私が積極的に避けているからだ。
そんな父親の生活は毎日朝5時ごろ起きると娘の姿が見えないので、7時ぐらいまで家の中を探し回る。大抵は見つけられない。見つけられたとしても顔面にウォーターボールを当てられて、見えなくなったすきに逃げられる。しかしご飯は一応一緒に食べるのでその時に娘の顔を一方的に見つめて自分の心を癒やす。そして冒険者としてB級のランクを達成してきて家に帰り身を清潔にしてから娘を探しやはり絶対に見つけることが出来ず9時ごろになるともう寝室のところで寝ている。一回は寝室前で待ち伏せをしたのだがいつの間にかすり抜けられていて寝ていた。よって寝る時とご飯の時以外、娘の顔を見れず一行に喋りかけも目も合わせてくれない。
父親は娘が男性恐怖症持ちの転生者ということは知らない。だからいつも自分がなにかしたかなと感じていて母親にいつも慰めを受けている。という生活だ。
父親が自分のせいでいじけているとはつゆ知らず3歳になった。
今とりあえずウォーターボールを今では一日で30個程度を作れるようになった。もう一つ驚いたことは自分の姿かたちが元の自分の昔の姿と全くと行っていいほど同じだったからだ。
「お誕生日おめでとう」
「あっありがとう」
「最近ずっと本読んでいるよね。適性を調べてもらうことにしてもらったんだ」
「ほんとに!?」
「ほんとよ」
本当に私は心待ちにしていた。自分は今のところ何でも初級魔法までは使えた。逆にそれ以外は知らなかった。すべての初級魔法は全て出すだけのものだった。そして全て大きさだけなら変えることができた。
こんなにドキドキするのは何年ぶりになるのかわからない。
ステータスを測る女性が来てくれてステータスを見てくれた。
実際はただ石版に手をかざしただけである。
自分のステータスはこんなものだった。
3歳
魔力量600以上620以下
基本魔法
水魔法F級、炎魔法F級、風魔法F級、土魔法F級、光魔法F級、闇魔法F級、治癒魔法A級
固有魔法
不動S級、メタルS級、カラーA級、身体強化A級、翻訳SS級、ウィッシュSS級(精神的な治癒魔法)
戦闘技能
剣Gランク、短剣Bランク、他Gランク
というものだった。魔法はすべて才能らしい。戦闘技能は磨けば勝手にランクが上がるので何級という位置づけじゃないらしい。まさか基本魔法がほぼすべて初級魔法までしか使えないとかないんですけど。
「これはどうなんでしょうか」
「えっとありえませんもう一度石版にかざしてもらえないでしょうか」
しかし何回やったとて結果は変わらなかった。
「基本攻撃魔法が全てDランクなんてありえないんです。ましてや固有魔法が全てA以上というものも」
「そうですか。とりあえず能力とか魔法のことを教えてもらえませんか?」
「わかりました。とりあえず魔法についてですね。魔法はすべて神様が決めたものです。これ以上の改善は基本魔法も固有魔法もありえませんつまり魔法は今AだとしたらAランク魔法を使うことが出来るんですよ」
「はあ」
まじでこういうのって磨いていく系のものじゃないの。てこっとは5歳程度から上級冒険者がいるってことなのかな。
「続きを説明します。魔法のランクはG、F、E、D、C、B、A、S、SSです。Gは使うことが出来ないもの。Fは出すのとその玉をうごかせるだけ。Dは攻撃魔法の初級のレベル。Cは中級レベル。B、Aは上級レベル。Sは国家レベル。SSともなると常時発動や伝説レベルになります。
基本魔法は攻撃魔法5種と治癒魔法1種です。普通のひとは攻撃魔法はどれか一つはAぐらいなんですよ。Aがなくても全部Bとか少なくとも1つはBです。そんな場合治癒魔法が現在ランク最高のAとなったりします。そして固有魔法がここまで多く全てがA以上なんて人生で初めてみました。もう分けがわかりません。ここまでしか私の分かるレベルですまた後日鑑定士A級の人を連れてくるので」