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「始まりは終わりの始まりへ」
自分が体験した10年も綴った物語
プロローグ
あなたの小さな手は、今誰を抱きしめていますか?
私は、きらきらと輝いていた十年前の私たちに
読まれることのない手紙を書いています。
「始まりは終わりの始まりへ」
まだ尻が青い中学生だった頃のわたしに母は告げた。
「麦は小学5年生の時、歩空くん のノートに自分の名前をびっしり書いてたわよね。
お母さんそのノート見た時、うちの子大丈夫かしら?って心配になったのよ。
麦は覚えてる?」
見覚えも聞き覚えもないわたしは、母に
「小学生の頃の事なんて覚えてるわけないじゃん!」
と他愛のない会話をした事を、今でもはっきり覚えている。
この時からもう十年後へのカウントダウンは
始まっていたのかもしれない。
これは私たちの十年を綴った(つづ)物語
「いつか、あなたが心から笑い合える人に出会い
自分よりも大切にしたいと想える人ができ、
それが(愛)だという事を受け止められますように」
麦▷私
歩空▷彼
【いつかこの本が君に届くことを祈って】