第3話 突然の通知
第七が関わった事件は、連日報道が過熱しているが、私達は次の依頼がないためのんびりしていた
志麻君は調査依頼で現在京都に出張しているという
『美雪の好きな八つ橋を買って帰るから。』と言ってくれた
志麻君、相変わらず忙しい人だなぁ・・・
あれだけ美形なのに浮いた話を聞かないのが不思議だ
そんなことを考えているとき、電話が鳴った
夏樹:「はい、第七・・・はい、分かりました。高貴さーん、総監室から呼び出しですよ。」
高貴:「はーいよ。行ってくる。」
そう言って部屋を出る
大輔:「そろそろ事件の依頼かな。」
智和:「わー、めんどくさいなー。」
悠一:「・・・・・。」
夏樹:「今度はどんな事件かな。」
しばらくして高貴さんは神妙な顔で戻ってきた
美雪:「どうされました?」
夏樹:「何か小言を言われたの?」
高貴:「いや・・・全員ちょっと集まってくれ。」
私達は高貴さんの席に集まる
高貴:「1ヶ月後、第七係は虎ノ門にあるオフィスビルに異動だ。」
全員はしばらく放心状態だった
悠一:「・・・どういうこと?俺達左遷?」
高貴:「警視庁でも優秀な人材を集めた「特別捜査室」を虎ノ門オフィスに構えたそうだ。
俺達のトップはもちろん総監。
その特別捜査室に俺達全員配属されるそうだ。」
智和:「待って。人が増えるってこと?」
高貴:「いや、第七はこのままだ。
他にセキュリティー関係と公安関係の部署が入るらしい。」
夏樹:「なんだか忙しくなりそうー。」
私はわくわくしていた
もしかしたら、少しは開けた捜査ができるのではないかと
大輔:「1ヶ月後とは急ですね。今後の予定は?」
高貴:「引っ越しなどの手配は完了済だそうだ。
明日、虎ノ門オフィスの見学をする。
来週は総監自ら俺達に経緯と説明をしてくれるそうだ。」
夏樹:「わー、居眠りできなさそう。」
高貴:「慌ただしくなると思うが、各自、荷物の整理しておけよ。」
悠一:「智和、ゲーム類はいったん家に持ち帰った方がいいな。」
智和:「ああ。もしかしたら忙しくてできないかも・・・あーあ。」
大輔:「俺達は税金でお給料をもらっているってこと忘れないでくれよ。」
智和:「分かっているよ。
ゲームは休憩中にだけやりますよー。」
なんだか大輔さんはみんなの保護者みたいだ
悠一:「美雪、何ニヤニヤしている?」
美雪:「いえ、いいチームワークだなぁと思っただけですよ。」
悠一:「・・・どこが?」
美雪:「ふふ、分からなくていいですよ。」
悠一さんは首をかしげていた
その日の夜
健一:「安元から話は聞いたか?」
美雪:「はい、いつの間に「特別捜査室」を?」
健一:「警視総監に着任してからずっと裏で練り上げてきたものだ。
FBIのような開けた捜査ができる場所がやっとできた。
頭の固い人間は最後まで難色を示していたが、多少強引に決断した。
周囲はきっと失敗すると言っていたが。」
美雪:「それはやってみなければ分かりません。
この特別捜査室にはサイバー部と公安が入るそうですが?」
健一:「ああ。おまえ達と同様に優秀なメンバーを揃えた。きっと活躍してくれると期待している。
第七のメンバーの反応はどうだ?」
美雪:「何もかわりません。いつもどおりです。」
健一:「そうか。これから忙しくなると思うが、邁進してくれ。何かあればすぐに相談してくれ。」
美雪:「分かりました。」
夏樹:「うわ!ひろーい!ここが俺達の部屋!?」
次の日、私達第七は虎ノ門オフィスの見学に向かった
10階建てのビルすべて「特別捜査室」ということに驚いた
警視庁からは徒歩で10分以内
すべてカードキーと指紋認証で建物の中に入ることができる
すでにカードキーを受け取っていたため中に入る
私達の部屋は8階だった
高貴:「1階は受付と打ち合わせ室が2室、
3階は公安部、4階はサイバー室、5階がサイバー部、6階、7階は大会議室、8階は俺達第七、
9階は食堂がはいるそうだ。そして最上階は総監室と特別捜査室長の部屋ということになっている。」
大輔:「やはり柔道場はありませんね。」
高貴:「大輔、俺達の部屋の奥は見たか?」
大輔:「え!?」
大輔さんは足早に部屋の奥にある扉を開いた
そこには身体を動かせる道場部屋があった
高貴:「総監が指示してくださったみたいだ。」
大輔:「素晴らしい!うん、畳の香りがいい。
総監にお礼を言わねば。」
美雪:「ええ。素敵な道場部屋ですね。
それにしても広々としていますね。
あ、キッチンも備えてありますね。」
智和:「美雪、料理は得意?」
美雪:「そうですね、普通かと。」
悠一:「俺、和食が好き。」
美雪:「それって私に作れと言うことですか?」
悠一:「そういうこと。それなら残業するのもありだ。」
美雪:「もー、悠一さん、ここは家ではありませんよ。」
夏樹:「わー!眺めもいいね!来月からここで働くなんて信じられない。」
高貴:「そうだな。おっと、時間だ。
サイバー室にて指紋認証の手続きをしろと言われている。行くぞ。」
私達は4階のサイバー室に向かった
インターフォンを鳴らす
男性:“はい、あ、第七のみなさんですね。
今開けます。」
そういってガチャッと鍵が解除された音が聞こえた
さわやかな笑顔で出迎えてくれた男性
男性:「時間通りきていただきありがとうございます。
俺、サイバー部国際担当の浜田健斗です。よろしくお願いします。」
高貴:「第七係の課長をしている安元です。
よろしくお願いします。」
浜田:「中へどうぞ。
まだ片付いていませんが・・・。」
大きなモニターには色々なデーターや映像が映し出されていた
案内された小部屋にて指紋認証登録を行った
浜田:「あの、御堂悠一さんですよね?」
悠一:「ああ・・・そうだけど。」
浜田:「御堂さんの技術はサイバー部でも話題でした。
ぜひ、お手伝いしていただければ・・・。」
悠一:「ああ。できることなら。でもサイバー部のメンバーの方が俺なんかより数段上かと。」
浜田:「いえいえ、色々な知識をお持ちの御堂さんとは違い、俺達は専門分野以外のことはサッパリでして。」
智和:「すごいじゃん、悠一。
さすが元サイバー部。」
浜田:「あ、すみません。引き留めてしまって。
これで完了です。」
美雪:「ありがとうございました。
これからよろしくお願いします。」
浜田:「はい、よろしくお願いします。」
高貴:「ところで、石原は今日不在?」
浜田:「いえ、えっと・・あぁ、あそこにいます。石原課長―!」
打ち合わせをしている男性がこちらを見ると、手をあげた
高貴さんも手をあげる
石原:「おう、安元、まさかおまえとまた一緒に仕事ができるとはな。よろしくな。」
高貴:「ああ、よろしく。これが俺のメンバー。」
私達は一礼した
石原:「総監お墨付きの精鋭メンバーだろ?
このサイバー部の課長の石原だ。よろしく。
ちなみに安元とは同期。」
夏樹:「高貴さんの同期って初めてお会いしたなー。」
智和:「いないのかと思った。」
高貴:「ばかやろう、俺だっているさ同期ぐらい。」
石原:「あはは!しっかしいいよなー、女性が一人でもいると華やかだな。
俺の所は男所帯だから。」
夏樹:「みーんな取り合いですよー。」
美雪:「ちがうでしょう!」
石原:「警視庁トップ入庁の青南君だったね?
よろしく。」
美雪:「あ、よろしくお願いします。」
夏樹:「え!?美雪、トップ入庁なの?すごーい!」
石原:「あれ?知らなかった?文武両道トップで入庁した女性は初だったからね。
期待しているよ。
何かあったらいつでもサイバー部へ。」
美雪:「あ、はい、ありがとうございます。」
高貴:「美人だからって口説くなよ?じゃあな。」
石原:「あはは。じゃあな。」
私達はサイバー部をあとにした
それから一通りのフロアーを見学し、警視庁に戻った