過去話①
「過去話①」
自分は覚えてないので、母から聞いた話になる。
「あんたの友だちが家に来て、ほんでケンカになったんやろうな。その子があんたに『でてけ! 』言うたんや。あんたの家ちゃうやろうって、おかしいなぁ」
母は少し不機嫌そうに眉をひそめた。
母は京都人で外面の割に家の中では口が悪い。
「その日の夜あんた大泣きしたんやで? よっぽど傷ついたんやろうな」
あんたが気にせんでええのに、繊細な子やなというニュアンスを感じ取った。
前述したとおり全く覚えがない。
その時の友人が誰だったのかすらわからない。三歳未満だったころの話だ。覚えていないくても不思議ではない。
昔からよく泣いていた記憶がある。
父に頬をぶたれた時は枕に顔を埋めて声を殺して泣いていた。父は気難しい人で子供嫌いだった。仕事終わりに疲労困憊だった父には騒ぐ息子に苛立っていたのだろう。騒いだ自分が悪いと思った。
昼寝から目が覚めると母がいなかった時、大泣きした。
子供の頃から何故か両親が自分を捨てるのではないかという不安があった。特に原因になるような事はなかったはずなのに、不思議だ。
念のために弁解しておくと虐待等はなかった。亭主関白気味の父ではあるし、休日で父が家にいる日は父の顔色をうかがいながら生活していたが、消化器官が弱いながらも薬をたくさん飲み仕事をする父を尊敬していたし、今も敬愛している。
話題が行方不明になったところで本日はこれまでとしよう。
次回予告
未定
もうすこしで毎日更新失敗するところだった……。