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四方山徒然草  作者: 長野晃輝
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「犬」

「犬」


 昔、祖母の家にチビと言う名の犬がいた。柴犬の雑種で貰われてきた際に小さいからチビと名付けられたそうだ。

 チビは番犬として飼われていた。外の犬小屋で暮らしていて見知らぬ人間が来ると吠える。

 チビとわたしはほとんど同じ時期に生まれていて、祖母の家に行った時は必ずチビと戯れ、散歩に連れて行った。

 祖母と違って走り回るわたしとの散歩をチビは好いてくれていたのだろうか。わたしが来たとなるとチビははしゃいで飛びついてきたものだ。

 犬はいい。あの悪意なんて一ミクロもないような表情が好きでたまらない。

 あの表情とタメを張れるのは赤ちゃんの笑顔くらいだろう。

 祖母の住まう土地の近所に引っ越した後は毎日のようにチビの散歩へ行った。

 その当時十五歳だった。犬の平均寿命だ。

 チビは弱っていて、犬小屋にいると夜泣きしてしまうため、玄関の中に入れて生活していた。足腰も弱っていて、散歩に連れ出しても走ることはなくなっていた。

 犬は最後自身の命をもって生命の大切さを教えてくれる。そんな言葉通りだった。

 十六歳でチビは旅立ってしまった。

 その日は体育祭で祖母から連絡を受けて、直接祖母の家へ行った。

 既にチビの亡骸は引き取ってもらった後だった。

 もういない。もう繋がれることもないリードを見て涙した。

 もし亡骸を見たら号泣していただろう。

 犬を見ると未だにチビを思い出す。きっと永遠に忘れることはないのだろう。



思い出して、ちょっと涙ぐみました。

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