「夢」
2月16日
二色の日なんですかね。
好きな色は赤と黒です。
「夢」
夢を失ったのはいつだっただろうか。
物心ついたころは夢に満ち溢れていた。
小学校へ入学したころはまだ夢を持っていた気がする。
初恋が終わった時もまだ夢を持っていた気がする。
中学の頃にはもう夢を無くしていた。
それからずっと夢はない。
一般的に夢はなんですかと聞かれて、職業を答えるものだろう。
子供に将来なりたい職業はとアンケートを取ると、昔なら宇宙飛行士やパイロット、今だとユーチューバーが上位なのだろうか。
職業は確かに夢と直結するのだろう。どうしても年齢を重ねると現実的な話ばかりをしてしまう。
例えば、女の子の夢はお嫁さんなんて微笑ましいものがある。マイホームを持つことなんてのも夢に違いない。
わたしの夢ははっきりと覚えている。
人を助けることだ。
具体的には消防士になりたかった。当時戦隊もので救急戦隊ゴーゴーファイブが放映されていたのも強く影響しているだろう。
命の危険を顧みず誰かを助ける。そんなものに憧れていた。
わたしは特撮好きではあるが、どこかで現実的であって、ヒーローがこの世にいないことには気づいていた。ウルトラマンなんてこの世にいないことを知っている、戦隊ヒーローがこの世にいないことを知っている、そんな子供だった。
彼らはこの世にいなくても、消防士はこの世にいる。代替えのような憧れだったのかもしれない。
結局その夢は、筋トレをする筋肉バキバキの消防士を実際に目にして止めてしまった。
自分は運動が嫌いだった。
しかし、誰かを助けたいという思いだけはずっと残っていた。
わたしの夢には他人が伴う。
助けを求める誰かが存在しないとわたしの夢は叶わない。
誰も助けなんて求める状況にならない方がきっと幸せだ。
でも、誰かを助けたいという思いが消えることはなかった。
今だったまだ残っている。
大学に入ってアルバイトを始めて気が付いた。どんな職業だって人の手助けになっているのだ。
コンビニが無ければ困ることは多いだろう。携帯が無ければ困ることは多いだろう。車が無ければ困ることは多いだろう。電車が無ければ困ることは多いだろう。
それら全てに付随する人間が、誰かの手助けになっているのだ。
でもそれなら。
誰かを助けたいだけのわたしは何をすればいいのだ。
全てが助けになるなら、わたしは何を夢にしたらいいのだ。
なんだか贅沢な悩みのように感じる。しかし、何も選べなくなってしまったわたしの心は救われない。
結局今日も今の仕事を続けている。この仕事は嫌になりつつあるが、それでもこれもまた誰かの助けになっているのは事実なのだ。
嫌なものすら捨てられない。
こんな思いをするのならいっそと、胸の中を覗いてみる。
でもそこには、子供の頃から持ち続けている夢の残滓が、今もまだ煌々と燃え続けている。
いつかわたしはこの炎で燃え尽きてしまうかもしれない。
次回予告
「過去話③ 初恋」
(予告は予告なく変更になるかもしれません)




