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今日から学校と仕事、始まります。②莞

およそ30年後の宿題

作者: 孤独
掲載日:2019/08/25

どさどさ……


『父ちゃ~ん、宿題手伝ってくれよー』


そいつは分からないから終わってないのではなく、やってないから終わっていない。

いつかやろう。あとでやろう。まぁ、ぶっちゃけ。宿題なんかより遊びたい。子供心は常に純真のままに育っているようだ。

しかし、それだけでは大人の荒波一つで転覆するもの。


大人と呼べる、両親は


『しょうがねぇーなぁ』


少し嫌な顔……ではなく、待ってましたでもなく……。

同情や親としての立場か、まだ子供の甘えん坊さを残した我が子に手を差し伸べる。


『いいか、来年の夏休みは早めに宿題するとか、考えず。毎日コツコツ勉強するんだ。朝のラジオ体操をしに行き、10日連続でスタンプ貰って、1等景品トイレットペーパー1袋をもらう要領で宿題やるんだぞ』

『えー、そんなの無理だよー。だって、帰省とかするし。夏祭りあるし。習い事もある。学校でプールもある。なにより学校休みで朝から夕方まで、友達と遊べるんだぜ!』

『ええい、忙しいのは分かってる。子供の忙しさを体験している俺もそう思うさ。友達と遊び回った!親の言葉より、今を大事にしたもんだ』


子供の宿題が久しぶりなせいか、やたらと難しく感じてしまう。

国語に算数、理科、社会。……最近は英語もやるのか。

くそ面倒な自由研究は帰省先でやらせておいて良かったと思う。甲子園で優勝した投手データを載せただけのものであったが……。



『お前もいつか。子供ができて、俺に孫を見せるようになったら、今の俺のように宿題を手伝うんだぞ』

『うん』

『ま、この時になるのは30年後くらいだろうけど』



年々、子供達の教育のレベルは上がってきている。それだけ社会に生きる人間のレベルは高くなるんだろう。まだ彼等が元気に友達作って、ゲームでもスポーツでも、勉強でも、楽しくやってくれるところがあるのに幸せだ。



◇        ◇



そんな夏休みの思い出から10年後。彼は立派な高校生の1人だ。

親に宿題を手伝ってもらったのは小4くらいまでか。休みが多い分、色んな科目で宿題を出された。その中ですっぽかすという手段を覚えた。友達と連携して得意な宿題をやり、終わった後に互いの答えを丸写すというテクニックも掴んだ。宿題を回収する日を友達みんなで、すっとぼけるのもやった。

当時の親とのやり取りを思い出す。


「……………知識を活かすんじゃなくて、知恵を活かすんだよな」


親が大人げなく、答えを見たりする行為を隣で見て来た。自力解こうとする気持ちは大切だが、その手段を自分の頭だけでやるのは無理だと分かった。親父が情けなく、


『今の算数は難しいなー!電卓電卓ーー!』


ギブアップして電卓使って、計算ドリルを解いていた姿には笑った。


『読書感想文なんて、オチだけ読んで感動しましたでいいわ!先生もそんなに読んでないし』


本を読まない母ちゃん(俺も読んでなかったけど)による読書感想文。

俺のためにと、夏休み最終日前からの3日。不思議なことに両親全員が仕事の休みだった理由が、なんとなく分かった。

苦労ばかりを見て来たが、あーやって夏休みを過ごし、夏休みを乗り越えるのだ。

知識を得た事よりも大切なものを学んだ。いや、ズルい事も強さの一つと取り入れてだ……。



「そんなわけで舟。次の数学の宿題、見せてくれ」

「やってるわけないだろ、相場」

「わはははは、だよなー。そんなもんより別なのを見たい」


相も変わらず、気ままに生きている。そうして思う事がある。

あんな父親も、あんな母親も。結婚して、俺を産んでいるということ。そこから一つの不安。

青春を感じるものだからこそ、ぼやくもの。


「こんな俺に、彼女ができるのかな。できれば、友達に紹介できるレベルの子」

「お前にできたら俺はハーレムだよ」

「親見てるとたまに、なんでこいつ等は結婚したんだって思うよな」

「まー、好きだからっていう理由以外にもあるんだろ。色々あるだろ、相場。それくらい分かってやれよ」

「例えば?」

「できちゃった結婚とか……」


一番、現実身のある結婚の仕方だ。合コン後の勢いとかでやっちまったのか。

俺もそうなる結婚をするのだろうか。そもそもするのだろうか?

およそ30年後の自分に尋ねてみたい。


そして、そいつも同じような想いを持って通ってくれるように。


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