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喜劇的☆マ☆テキテキ  作者: 村崎羯諦
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テツガクテキ・マ・テキテキ 10

 玲奈ちゃんが帰ってしまったので、私は否応なしにおじさん二人で退屈をしのぐことになる。


 何か楽しいことをと考えたがあまりいいアイデアが思いつかず、結局、昨日と同様おっさん達の生態調査の続きをすることにした。調査の信頼性を高めるために、原田さんの知能テストをして田辺さんとの比較を行うべきなのだろう。しかし、私は学者でもないし、統計学を学んでいるわけでもない。それに何より昨日の続きでは面白くない。というわけで、今日は身体能力を調査してみることにした。


 まず最初に腕力を調べる。


 一般家庭に握力計測器などあるはずもないので、とりあえず二人に腕相撲をやってもらう。結果は、体格的には田辺さんが一回り大きいにもかかわらず、意外にも原田さんが三連勝した。田辺さんは使った腕をさすりながら、いつもと同じ卑屈な笑いを浮かべ、原田さんの筋力をほめたたえている。


 田辺さんは筋力のないおデブさんらしい。あえて哲学的に例えるとしたら、数学のできないデカルトと言ったところか。私は何気なく思い浮かんだそのフレーズがちょっと気に入ったので、勝敗結果ではなくその言葉を観察日記に記す。


 次に二人の瞬発力を測定した。


 私が自分のタイミングで持っているペンを落とし、それをすぐ下でタイミングよくつかむという競技をやる。この時点において、室内でできることの絶望的な少なさに気付き始めていたが、自分が提案し、それに付き合ってくれるおじさん二人の孝行心を裏切るわけにもいかず、何とか絞り出して指示した測定方法だった。


 結論から言うと、田辺さんの方が少しだけ原田さんより上手だった。そしてなぜ結論から言ったのかというと、結論意外に何の情報的価値がなかったからだ。もちろん日記に記すべきことは何もない。


 そして最後に、二人に何か一発ギャグをしてもらうことにした。身体能力測定に飽き、苦渋の決断を迫られた末の決断だった。


 しかし、意外なことに、いや性格を考えれば当然だったのかもしれないが、これに原田さんは強い遺憾の意を私たちに表明する。言われたことは文句を言わずにやる、中年の星田辺さんとは違って、原田さんには若者的な反骨精神が宿っていたらしい。


 私は説得を続け、とりあえず田辺さんとジャンケンをしてギャグを披露する順番を決めさせたのだが、ジャンケンに負けて一番手になってしまった原田さんは、一層その態度を硬化させてしまった。


 しかし、私と田辺さんの粘り強い交渉の末、ついに原田さんが折れ、お尻の力だけで割り箸を二つに割る一発ギャグをやることが決定する。


 原田さんはパパの縦じまトランクスをお尻に食い込ませ、そのお尻とパンツの間に割り箸を挟んだ。そしてえいやっと、声を出してお尻に力を入れた瞬間、割り箸が音を立てて割れ、それと同時に原田さんがつんざくような悲鳴をあげた。


 原田さんがぴょんぴょんとはねながら浴室の方へ向かい、田辺さんが慌ててその後を追いかける。私も後を追いかけ、浴室の外から事情を尋ねてみると、田辺さんがひそひそ声で割り箸の折れた部分がお尻に突き刺さったということを教えてくれた。


 その後しばらくして浴室から出てきた原田さんは羞恥で顔を真っ赤にさせていて、その後一時間ほど私たちを口をきいてくれず、結果的に調査続行は不可能となる。


 ちなみに後で何の一発ギャグを予定していたのかと田辺さんに聞くと、田辺さんはチャップリンのものまねをするつもりだったのだと笑いを押し殺しながら答えてくれた。それを聞き、私は偉大なる喜劇王を冒涜する事態とならずに済んだことに少しだけ安堵する。

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