3030年の世界。人間たちが笑茉のために動く。
酒井つぐみは、研究所へ猛ダッシュした。
こんなに走ったのは久しぶりだ。
いつもの道がなぜかいつもよりも長く感じた。
3030年。
東京。
つぐみの呼びかけによってすぐさま人間たちは会合を行なった。
つぐみは、笑茉が戦争の時代に行ってしまっていることを話す。
そして、もしかしたら笑茉が歴史を変えてしまうかもしれないことを話す。
皆もそうかもしれないと頭を捻らせる。
今すぐ笑茉を止めなければ…。
でもどうすれば?
その時、一人の男の子が言った。
どうして?
なぜ歴史を変えてはいけないの?
なぜ戦争をやめさせてはいけないの?
彼の名をレオトという。
8歳の男の子だった。
人と人との殺し合いをやめさせるのはいいことじゃないか。
レオトは言う。
その問いに誰もが答えられなかった。
もし第二次世界大戦が起こらなかったら………………?
私たちの今は、どうなっていただろうか?
今の私たちは存在しているのだろうか?
3030年。
ありとあらゆる技術を進化させてきた人間は、その答えを導き出せなかった。
ただ、戦争の歴史を変えてはいけない。
ロボットの進化の歴史は、変えなければいけない。
人間たちはなぜかそう思ったのだった。