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脱獄

捕まった日から一週間後に梓が牢の前にやってきた。

もちろん透明化のスキルを使って。


「すみません、主様。

今回のことは完全に私の予想外でした。

二度とこのようなことがないよう、後で主様のことをおきかせください。

それで主様はいつまでこのような状態でいらっしゃるのでしょうか?」


梓は心配そうに言った。

梓が心配してくれることは嬉しいが、梓が謝るのは誤っていると思う。

梓がうっかりをするときは予想外のことが起きたときだ。

今回の原因は俺が梓に自分のことを話していなかったせいだ。


「別に梓がうっかりをやらかすなんていつもじゃないか。

俺については時間があるとき話すよ。

脱獄については、まぁ…梓からの情報次第だな。」


俺は冗談混じりに日常会話をするような声の大きさで返した。

なんたって、見張りの兵士は服従済みだからな。声の大きさを気にする必要がない。

まぁ…それにも限度はあるけど。

とりあえず今ぐらいの声の大きさなら問題ない。


「では、簡単に申し上げますと、主様はスパイ容疑で近々死刑になることが確定しました。

この情報は私が動くことができなかったため、モナークが調べてきてくれました。」


ふむふむ…えっ、俺死刑!?

これはもう脱獄しかないなぁ。

脱獄をするなんて男のロマンだよな。

作戦も考えているしこれは燃えるぜ!


それと、梓が動けなかったのは俺が透明化のスキルを使ったため、対策でもされているのだろう。

ならけっこうここにくるのきつかったはずだな。


「そうか、俺は数時間後にはここをでられるだろう。

梓は逃走先を考えててくれ。

俺はここを無事にでる策があるのだが、うまくいくかわからんからな。」


「はい、主様!

それでは私は早速行動に移すとします。」




それから10分後、俺は脱獄を始めた。

脱獄の作戦はこうだ。

まず、俺に関する書類がある場所にいく。そこで、管理しているものに、強制服従を使い書類を偽造する。


内容をあまり変えてしまってもばれるであろうから

偽造するのは俺の書類の人相を変えるくらいだ。


では俺の書類を探すとしよう。

スキル:眼 発動

3Dリアルマップ


これは千里眼をと透視を組み合わせたものの名称だ。

多少、中2くさいが大して気にしないでほしい。


出来は上々だ。

成功するとわかっていても、心配はするもんだ。

俺の牢獄はこの建物の一番下にある。

地下2階と行ったところだ。

…フムフム…

俺の書類は3階にあるみたいだ。

警備の人数はそこまで多くないが、ここから5階もあがっていくのは骨が折れる。


脱獄するのだから疲れるのは仕方ない。

俺なんて恵まれてるほうだ。

他のやつらは脱獄の仕方がないのだから。


俺は緊張しながらも確実に一歩一歩目的地へと近づいていった。

透明化のスキルを使い、人に見えず、リアル3Dマップを使って人のいない道を進んできたとはいえ、俺が気がつかないトラップがある可能性があるのだ。

トラップを設置すると、警備の者たちにとっての負担が増えるとはいえ、ここは牢獄なのだ。

あってもおかしくはないのだから。


そうやってるうちにやっと一階に着いた。

神経を擦り減らす思いをしながらもまだ一階だ。

もう地上のためいざどなれば、でる方法はいくらでもある。

例えばレーザーをぶっぱしたうえで透明化で逃げるとか…

まぁ、方法はあるとはいえ、今後のことを考えたらそれは避けたい。


それにしてもやけに疲れてるな。

考えられるとしたらスキルのコストとかそこらへんだろう。

何も対価なしに使えるのはおかしいしな。


俺は疲れながらも目的地へと着いた。

そこは何の変哲もない書類室に見える。

部屋の中には人が一人いるだけだ。

俺はその部屋のドアの前で立ち止まっていた。

…もしここで強制服従が使えなかったらやばいどころの騒ぎではないな。

そんな不安が押し寄せてきたのだ。

でも、ここで立ち止まるわけにはいかない。

俺はドアを勢いよくあけた。

そして、


「そこの人間よ。我に従い、竜導寺 彰の人相書きをここの国の一般的なものへとせよ。」

…ピカンッ…


「はい、かしこまりました。」


機械音のような返事がきた。

よし、心配事が杞憂に終わり良かった。


後は誰にもバレずにここの建物からでるだけだ。

俺は書類室への行きに比べて出口へと向かう今はかなりペースが速い。

それが疲れているため早く休みたいからか、目的を達成したことへの安堵かとにかく注意力にかけている。



それからたいして時間もかけることなく出口へと着いた。


後はここからでるだけだ。

ずいぶんと疲れたな。

石の上で寝ても全然疲れはとれないし、はやくちゃんとした所で眠りたい。



…ブーン…ブーン…ファンファンファン…脱走者、脱走者です。


警備のものはすぐに門へと急ぎなさい。


トラップに引っ掛かったか!?

はやく逃げないと…


「そこのもの、君が脱走者か?

私はたまたまここにきただけの者であるが見過ごすわけにはいかないね。

私はフォークロール筆頭魔術師ネロ!

ここまできたご褒美に私に勝つことができればこの場は見逃してあげよう。

無理だとは思うがね(フフッ)」


めんどくさそうな者に会ってしまったな。

フードを深く被っているためメガネをかけていることしかわからない。

声からはかなり若い印象を受ける。

10代後半から20代前半くらいに感じる。

そんな年で筆頭魔術師とは天才なんだろうか?

透視を使えばすぐに顔はわかるだろうが今は疲れていてそんなことをする体力はない。

ちょうどいいことに勝てばいいだけみたいし、すぐに終わらせるか…

読んでくださりありがとうございました。

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