まさかの出来事!?
主人公がだんだん当初考えていた設定から離れていってる気がします…
まぁ、そんなことはこのさい気にしないことにします。
とりあえず是非お楽しみください。
「とりあえず、次の街に行くとしよう。
誰かさんのせいでこの街は消えてしまったからな。
この世界の人間についてもっと知る必要があるというのに。
なぁ、モナーク?」
「そのことについてはすみません、主殿。
それとオレは召喚されたばっかりで人間の情勢についてはよく知りません。」
「そうか。では梓はどうだ?」
「はい、主様。
次の街までは普段ならここから2時間ほど走れば着きます。」
「それと、この世界の地理について教えてもらえるか?
支配をしていく上で地の利を得られればそれだけ楽ってものだ。」
俺が召喚された場所はどっかの誰かさんのせいでクレーターだらけになったからどんな場所だったかわからないしな。
「はい、その前にまずここの大陸について説明しますね。
私たちが今いる大国には5つの国があります。
北の方に位置し、圧倒的人口量を持ち、圧倒的領地を持っている軍事国家のフォークロール
南の方に位置し、フォークロールと比べると少ないがかなりの領地があり、大国一の生産力をほこる平和主義のグラーナ。
東の方に位置し、軍事力をあまり持っていないのにフォークロールに侵略されずに済んでいる謎の多いマダフシィギ。
西の方に位置し、モンスターとの仲がよく、戦争においてモンスターを使っての巧みな戦略をとってくるライジス。
そして最後に、大国の中央に位置しすべての国と隣接しており、圧倒的小国ながらも魔法使いや契約者が人口の9割を占める少数精鋭スペルピナ
このスペルピナは何度も侵略しようとしてきた大国フォークロールを退けています。
そして、今私のたちのいるところは大国フォークロールでございます。」
「話長ーよ。そんなもん一気に覚えられるか。
もっと簡単な説明を聞きたい。」
「そういう説明も必要かと思われましたのに。
では、簡単に説明しますと、
ここは土の上です!」
「それは誰でもわかるわぁー!
いくら何でも簡単にしすぎだ。」
俺が求めているのはこの辺の地理関係なのに、なぜこうも融通が利かないのだろうか?
頭がいいやつって、こういうとこあるよな。
問題とか教えるとき、難しく説明する。
こっちは難しく言われても理解できない。
お互いに当然としていることのレベルが違うからだ。
そして理解できないなら、今度は極端に説明のレベルを下げてくる。
そんな感じだ!
「この辺の地理ならまわればいいことですし、説明するのも面倒です。
さっさと次の街へ行きましょう。」
なんか機嫌が悪い。それに心を読まれているような…
「そうするか。
考えるよりもまず行動するっていうしな。」
……………あれから半日、全然次の街に着かない。
俺の眼を持ってしても次の街が見当たらない。
ずっと平原が続いている。
モンスターがうろうろしているが、周囲のモンスターレベルはよくて50。
梓やモナークとのレベル差がかなりあるからかまったく襲われる気配がない。
いくらステータスが見えないからってそういうものは雰囲気で感じとれるものなんだろう。
「なかなか、着きませんね。
いつもよりかなりスピードを落とすとここまで違うのですね。
私が全力で走ったときは2時間ぐらいでしたのに。」
そういうカラクリだったのか!?
通りで着かないわけだよ。
いくら俺のステータスがあがってるとはいえ梓とは素早さにかなりの違いがあるのだ。
それはモナークも一緒だ。
モナークはレベルの割に素早さのステータスがかなり低い。
俺とモナークは8割ぐらいのペースを半日続けていたため、もうへとへとだ。
スピードを落としても3時間あれば着くとおもっていたのだ。
見事にその予想を裏切られた。
終わりのみえないゴールは正直かなりつらい。
「…そ、それを…はや…く…いえ。
もう…こっちは…きつ…い。」
「オレも…同感だ…」
男二人して弱音をはいた。
それを合図に一時休憩をとった。
きついものはきつい。
「まったく、だらしない人たちですね。
こうなったらこうしませんか?
私が次の街まで主様をおぶっていくというのはどうでしょう?」
どうする?
プライドを守るか、体を守るか。
ここは悩むべきポイントだ。
終わりのみえないマラソンを続けていたらこっちの精神がきつい。
それと比較して、プライドを守りたい気持ちも強いが、モナークとの戦闘の時点で俺のプライドは壊されている。
なら俺が取るべき選択肢は一つだっ!
「梓、お願いする!」
「ちょっ、そのアイデアだとオレ置いてけぼりじゃね!?」
「別にそんぐらいいいでしょ?
契約しているんなら契約者の位置もわかることですし
自力で後からついてくればいいだけじゃないですか。」
相変わらず、梓は悪魔に対して冷たい。
まぁ、境遇を考えればそれについての文句を口にできないが…
それに、モナークもモンスターに襲われる心配もないみたいだし安心していいよな?
「梓、はやく行こう。」
俺はできるだけクールにいった。
まるで何もなかったかのように。
「はい、主様。」
…1時間とちょっと過ぎぐらい経過…
ようやく次の街に到着した。
ここの街はヘストイアというそうだ。
移動中、梓が教えてくれた。
街を見渡すと、活気づいていて、露店なども多く立ち並んでいる。
ふと、梓のほうに視線を移してみたら、梓はスキルを使い透明化していた。
「おい、梓。
なぜスキルを使っている?」
「霊体化という手段もありますが、こちらのほうが都合がいいからです。」
「なんだそれは?」
俺は二つの疑問を感じた。
一つは霊体化について、
もう一つは都合がいい理由。
どちらも俺にはわからない。
「じきにわかりますよ。」
「そうか、ならほうっておこう。」
俺はここで詳しく追及しなかったことを後々後悔している。
それはそれはとても重要なことであったからだ。
とりあえず、それよりもまずは食事だ。
こっちにきてからなんも食べていない。
それなのにあんだけ動いたんだ。
お腹が空かないはずがない。
「梓、なんか食べたいんだけど、ここのお金って持ってる?」
だんだん俺がヒモになっていってる気がする。
でもこっちにきたばかりだからお金がないのは仕方ないじゃないか。
お金がなかったらどうしよう?
最悪俺の眼で絶対服従とやらを使ってみるか?
それをやったらあとにそのツケがきそうだけど。
「当然持ってますよ。
それに、主様のためならいくら使っても構いません。
それよりもいいんですか?
なんもないところに主様がしゃべっているので、へんな目で周りからみられていますよ。
私の声も都合よく今は主様以外には聞こえない仕様となっていますので。」
うわー、どおりで周りから視線を感じるわけだ。
「それを先に言え。
周りから冷ややかな視線が…」
「いえいえ、主様に視線が集まっている理由はそれだけではないと思いますが…」
……ガシャン…ガシャン…ガシャン…
「おい、そこのお前!
さっき壊滅した街のほうからやってきたな。
お前たちがかなりのスピードであっちのほうからきたのは監視から報告されている。
あんだけのスピードを出しといてマークされないとでも思ったのか?
もう一人はどこにいったかわからんがとりあえず事情を聞く必要がある。
とにかくついてこい。
まぁ、俺たち下っ端はお前が犯人とは思わないが、あれだけの災害だ。
1%でも疑いのあるものは調べなくてはならないのだ。
犯人の特徴とかだけでも見たかもしれないしな。」
警備の者たちがやってきた。
そうか、こういうことか。
急に姿を隠すなんて、おかしいとは思ったがこういうことだったのか。
「主様、ここはおとなしく捕まってください。
ここで逃げたら街中に監視網がしかれます。
そうならないようにも主様に透明化を使うことを言わなかったのです。
どちらか一人が捕まっていれば、もう一人の居場所をつかめるとおもって、そこまで監視の強化をしないでしょう。
主様が、捕まってる間は私がこの街の情報収集をしてます。
もし、私も情報収集できない状況ならば、後からこさせるあいつにでもさせましょう。
そのためにもこっちにマークを向けさせたのです。
まぁ、事情聴取だけみたいなのでそこまで時間をとられないでしょうが。
それではご武運を!」
そうか、そうか。
そこまで考えていたのか。
ってぇ、世の中に主を囮にする部下がいるだろうか!?
いや、いないだろう。
俺はもしかしたらとんでもない部下を持ってしまったのではないか?
……ギュルルル…
こんだけ、腹が減ってるのに飯はしばしお預けか。
異世界にきて、初めての食事が留置所にさえなりえる。
こうもっと、モンスターを倒して解体してそれをうまく調理したものとかが食いたかったなぁ…
まぁそう時間も、とられないみたいだしおとなしく捕まっとくか。
「警備の皆さん、素直に同行します。」
読んでくださりありがとうございました。