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ハーレム×女神の下僕=俺!  作者:
一章:愛の女神
8/31

妹④

(俺は結局、少女を止める事が出来なかった……)はぁ、


 安木は嘆息をつきながら、リビングにあるソファーを見る。

 正体不明の少女がソファーに座り、優雅に座っている。

 日常的に見ているリビングにもかかわらず、神々しいまでに美しい少女によって、まるで異宮殿内にある一室の様に感じる。


「で、さっき言った愛の女神っていったいなんなの? 俺の家の鍵も持ってて、」


 力なく言う安木。

 少女は自分勝手に行動を進めて行く。

 少女の行動を阻むのに二度失敗した。

 一度目は、家の玄関前で力づくで止めようとしても人間のものとは思えない様な力で負けた。二度目は、少女が持っていないはずの鍵を使って家のドアを開けて入ってしまった。

 少女には人間にはない力を持っているのだろう。愛の女神とかって言っていたし。

 もう、どうしようもない。諦めに近い様な気持ちが溢れていた。

 そんな安木に少女は相変わらず気にとめる様子もなく、


「妹じゃ、」

「いや、そうじゃなくて、お前は本当に妹じゃ無いだろ!」

「まあ、そうじゃな、」

「で、お前が言っていた目的地に着いたんだし、本当の事を話せ」

「ふむ、わらわがこの世界で仕事をする上で、身分が必要となる。

 それで、お主の妹になる事にしたのじゃ」

「『したのじゃ』じゃない。

 妹である必要は無いだろ⁉︎ 仕事ってなんだ? 俺がお前の下僕になった事と関係があるのか?」

「あーもう、質問ばかりしおって」

「『質問ばかり』って、お前は俺に何にも説明しないからだろ!」

「ふん、」


 話は打ち切り、と言わんばかりの表情になる少女。

 大事な事は何も話していないのにも関わらずーー

 まだ、名前すら話していない。

 こんな状況で質問を止められる訳がない。


「ちゃんと、話せーー」

「飲み物じゃ」


 安木が話している途中で、話し出す少女。

 飲み物をご所望らしい。

 飲み物なんてお客さんに出すものだ。

 ちゃんと質問に答えず、横柄な奴に出す飲み物なんてない。


「飲み物の前にちゃんと俺の質問に答えてもらえませんかね」


 安木は少女に怒りを伝える為、あえて丁寧語で言う。


「断る」

「なぜ?」

「飲み物じゃ、」

「質問に答えてなければ、飲み物を出さない」

「飲み物を出さなければ、質問に答えない」

「答えるのが先だ!」

「飲み物じゃ!」

「答えろ!」

「飲み物!」

「ーーくっ……」


 不毛な言い合いに声を詰まらせる安木。

 少女がだだをこねている。

 このまま言い合いをしていても仕方がない。疲れる。

 本当に、飲み物を持って来て、質問に答えてくれるなら、そっちの方が楽かもしれない。


「飲み物を持って来れば、本当に俺の質問にちゃんと答えるのか?」

「もちろんじゃ」

「仕方がない」


 安木は冷蔵庫の方に渋々と向かう。

 すると、少女からーー


「オレンジジュースじゃ」

「ーーんっ?」


 話し方や端正に整った顔からは想像できない子供っぽい飲み物を希望するな、と安木は思った。

 まあ、そんな事はどうだっていい。ちゃっちゃと少女に飲み物を持って行って、質問に答えてもらおう。

 安木はコップに氷を入れ、オレンジジュースを入れ、おまけにストローを入れて少女に持って行く。

 すると、少女は、


「あー、それよりもわらわの横に座れ、」

「断る」

「ふーん、えいっ」


 安木の手を引っ張る少女。

 安木は体勢を崩しながらも、コップからオレンジジュースが溢れないようにし、少女の横に座らさられる。

 体温を感じるほど近い距離。

 少女からは、この世界のものとは思えない程、甘く良い匂いがする。

 安木が状況を飲み込めずにいるとーー


「にゃぁぁぁあああああー」


 と、少女の甘えた声が聞こえて来たと共に、『すりすり』と少女は子猫の様に安木へ頬ずりを始める。


 少女の行動が急に変わってしまい、いったい何が起こってしまったのだろうか?

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