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ハーレム×女神の下僕=俺!  作者:
三章:青木との出会い(小説部)
26/31

小説部⑤

「まずいぞ、これっ、」


 クッキーをティッシュに戻した後、はっきりと感想を伝える安木。

 食べれる位のまずさなら、気を使って嘘でも『美味しい』と言ったかもしれない。

 だがーー

 青木が作ったクッキーはとんでもない代物だった。

 噛み砕けない物体が入っていたり、チョコレートが溶けた液体が入っていて舌を痺れさせたり、生ゴミをトイレで一週間腐らせたかの様な匂いがしたり……。

 万が一飲み込んでしまっていたら……、気を失っていたかもしれない。

 いや、気を失う程度で済めばいい方かもしれない。場合によっては、意識を戻す事がなかったかもしれない。まったくとんでもない物を作りやがる。

 そんな戦争にも使えてしまえそうなクッキーを作ってしまう様な状況を改善させなければいけない。

 そんな風に考えて、安木は『まずいぞ、これっ、』と正直に言ったのだった。


「ーーえっ……、」


 青木は安木がクッキーの感想を言う前までは嬉しそうな表情をしていたにもかかわらず、表情が固まり、


「一緒懸命頑張って作ったのに……、安木君が喜んでくれるって思ってたのに……、ううん、喜んでいる姿をはっきりと想像出来ていたのに……」


 目に涙を溜めながら言う青木。

 青木の妄想の中では、安木が喜んでいる姿をはっきりと想像出来ていたらしい。

 喜んでもらう為に作ったのであれば、悪気がなく、ちゃんとした物を作って来たつもりなのだろう。

 だが、出来上がった物は最悪だ。


(仮になんとか頑張ってクッキーを飲み込めたとして、嘘で『美味しい』って言おうとしたって、言う前に気を失ってしまうよ!)


 安木は青木の言った事にツッコミを心の中でツッコミを入れた後、


「味見とかちゃんとした?」

「してはない。

 けど、今日の朝、中学時代の友達に食べてもらったら、感想を言う前に倒れちゃって……、みんなどうしちゃったんだろ……」う〜ん


 友人に味見させたのだが、感想を聞けなかったと言う青木。


(想像通りの殺傷力。そう言えば、クラスの朝居たはずの女の子が、途中で居なくなった女の子がいたな)


 青木の話を聞いて気になっていた事を思い出す安木。

 青木の友人は、友人として優しい心を持ちクッキーをちゃんと飲み込んだのだろう。流石と言うべきか。機会があれば、是非感想を聞いてみたい。

 それに、青木の友人に起こった結果から、飲み込まなくて良かった、と安木はホッとする。


「いや、食べてみた感想だけど、よく分からない物体が入ってたりして……、いったい何を入れたの?」

「クッキーを作る本を読みながらちゃんと材料を揃えて、本に書かれた様に作ったもん」


 本通りに作り上げて殺人クッキーを作り上げるなんて、歴史に名前を残した殺人者達もびっくりだよ。


「隠し味は?」


 本通りにに作っていたと言っていても、さりげなく隠し味に変なのをさりげなく入れてしまって、不味くしてしまうって言う事があると思い、安木は訊く。


「入れてない。本当に、本通りに作っただけなんだから……」

「わかった。じゃあ、今度一緒にクッキーを作ろう」


 本通りに作って、殺人クッキーを作れるなら、一度作っている所を見てみたいものだ。

 それに、犠牲者をこれ以上増やしちゃいけない。同級生から殺人の容疑などで、テレビや新聞のニュースに乗る人が出てきてしまうかもしれない。


「うん、わかった」

「ん? やけに嬉しそうだな?」


 安木が『まずいぞ、これっ』と言って、落ち込んでいた青木の表情が一転して、明らかに嬉しそうな顔に変わったので、気になって安木は訊く。

 すると、青木はーー


「うん、だって、安木に誘ってもらって嬉しいもん」


 と、どこまでも前向きな回答をしたのだった。

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