10組③
安木が通う光栄学園にはVRMMOの授業がある。
それは、最先端の技術を学ぶと共に、仮想世界内で行動力を学ぶ目的がある。
生徒は、良くあるRPGの舞台で幾つかの課題を選び、クリアしポイントを競う事になる。
「で、どぉーする、これから?」
二人を見渡しながら言う安木。
ここで、何もしないなんて時間がもったいない。
「俺らも早く出発しようぜ」
出発の王国の出口の方を向いて言う藤原。
すでに他の奴らは、先に進んで行ってしまっている。もっともな発言だった。
「いや、俺はじっくりとこの王国を調べてからの方がいいと思う。
良く出発地点には、隠しダンジョンがあったり、地下迷宮があったりする」
「う〜ん、そう言うのは良くあるけれどもなぁ〜。
ただ、そういうのってある程度物語が進行してからだろ?」
「そういう場合もあるかも知れないが、灯台足元暗し、と言うことわざがある。
俺は、最初の王国で調査する事を強く主張する」
熊野の真剣な眼差し。強い意志を感じる。
「あ〜、わかったよ、調査はいずれ戻ってきた時に役に立つかもしれないから、やってみよう。
この授業は三時間連続で行われるから、始まって2時間後になる一時間後にここへまた集合でいい?」
安木は仕方がなく同意した。
「わかった。じゃあ、また」
熊野は、そう言うと同時に、白い煙と共に忍者の様に消えたのだった。