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ハーレム×女神の下僕=俺!  作者:
一章:愛の女神
12/31

妹⑧

(さて、困ったな、)


 少女の『大好きって事なんじゃな?』という質問に対して悩み出す安木。

 少女のマイペースな行動に付き合わされ疲れが溜まっているから好きではない。

 だが、川上を助けてもらっていて嫌いではない。『嫌い』と言ってしまったら言い過ぎだし、恩人に対して失礼だ。無礼過ぎる。

 では、『嫌い』の否定は『好き』なのか……?


 ーー答えは、NOだ!


 と、はっきりと否定する。

 単に『嫌い』ではない、というだけ。普通の嫌いよりから、大好きまでの幅があるだろう。

 安木の少女への気持ちは、普通の中での嫌いよりの気持ち。別に好きではない。勝手に家に上がり込む正体不明の少女へ『好き』と言え、って言う方が無理があるだろう。

 そうなると、少女が出した選択肢にない『普通』と伝えるのが正しい。適切だ。

 そしたら、『普通』と伝えてしまっていいのだろうか?


 ーー答えは、NOだ!


 常に正しい事だけを出来ない場合がある。

 相手の気持ちを考えた場合や状況によってだ。

 もし、少女に『嫌い』と言ってしまったら、とんでもなく泣き出してしまったりするだろう。

 もしかしたら、急に暴れ出し、か細い腕からは想像出来ない怪力によって殴られてしまうかもしれない。危険だ。命に関わるかもしれない。なんせ全力で引っ張ったって、難なく安木を引きずるほどの力があるのだ。


『嫌い』ではダメ。『普通』でもダメ。


 そうなるとーー

『好き』しか残っていない。

 そしたら、『好き』と言ってしまっていいのだろうか?


 ーー答えは、NOだ!


『好き』と言うのは言い過ぎだ。

 少女を決して『好き』ではない。嘘は良くない。

 嘘は良くないが、『好き』と言った場合を想定してみよう。

 もし、少女に『好き』と言ったらーー

 密着度が上がるかもしれない。

 膝の上に乗られ、頬ずりだけでなく全身すりすりされてしまうかもしれない。

 異性を愛する感情のない安木にとっては、考えただけでも身震いする。

 地獄だ。命の危険はないかも知れないが、地獄だ。


(も、もしかして、これが少女の言っていた『死んだと変わらない地獄』って言う奴なのか?)


 幼なじみの川上を生き返らせる為の代償。黙って受け入れるしかないのかもしれない。

 仕方がなくーー


(う〜ん)


 結論を出そうと出そうとした時に、一息つく安木。

『好き』と言うにしても一捻り入れられないか、と思ったのだ。

『好き』ではないのに『好き』って言うのに抵抗感がある。

 それに、地獄に向かうっていう時に、何もしない奴はいない。

 誰だって地獄からなんとか回避出来る様に全力でもがくはずだ。


(何か……、ないか?)


 ふと、少女の方を見る安木。

 子猫を思わせる様なキトンブルー色の目から、子猫の様に見える。


(うん、『子猫の様に好きだ』と言おう)


 子猫としてなら、好きだと思える。

 少女を男だと思うから絡みつかれて気持ち悪いのであって、子猫だと思い込めば少しは気持ち悪さも軽減されるーー

 そう結論付けて、安木は少女の方を向いて、


「子猫として好きだ」


 と、言う。

 すると、少女はうつ向き、


「子猫として……」


 ぼそっ呟き、何やら考えている様な仕草になる。

 求めていた回答に、予想外の枕言葉『子猫として』が付いているから悩んでいるのだろう。

 少女は『異性として好きかどうか』を聞いて来ているのだ。

 友人相手だったらつるバラのつるの様に安木に巻きついたりしない。


「こ、子猫って、ちっちゃくて可愛いだろ。そんな感じだ」

「うーん、ま、そんな風に言葉でいい飾ったって無駄じゃ。

 わらわは、愛の女神。お主が本当にわらわを好きと思っているかどうかすぐにわかる」


「どれっ」と少女は言いながら、ギュッ、と安木に抱きついて来たのだった。

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