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カグラ士協会入会!!7

「それでは、依頼を開始しますね~。」

うずめさんはそう言うと、パンパンと2拍手を叩くと、空中に2つディスプレイが展開される。ディスプレイが展開されるのと同時に、うずめさんの手元にも2つキーボードが展開される。うずめさんが小さく深呼吸して一瞬、間をあけると


「依頼検索開始、検索結果の提示、後にSランクからDランクまでの依頼を除外、依頼内容の提示を要請、・・・認証、確認。依頼内容の拡大・・・完了。」

うずめさんは、今までの間延びした口調とは一変して、素早く淡々とした口調で、目にも止まらぬスピードで2つのキーボードに入力していく。

私達はあまりの一瞬の出来事に口をぽかんとあけたまま何が起こったかわからないままだった。


「はい~。依頼がきましたよ~。あららお二人ともどうかしましたか~。お口が大きく開いていますよ~?」

うずめさんが首をかしげながら、心配そうにこちらを見ている。


「紅ちゃん、人は変わることができるんだね。」

「そうだね、仕事は人を変えるんだね。」

私達は目を丸くしたまま確認しあった。


「えっと、依頼発表の前に、二人とも今回の依頼が初めてなので、今受けられる依頼はEランクの物になります。大体Eランクの依頼は、家内安全、合格祈願などオーソドックスなのが殆どです。ですので、あまり気負いせずリラックスした気持ちで頑張って来てくださいね~。」

うずめさんが、にこやかにガッツポーズをするとその大きな胸が、ぶるんっと大きく上下に揺れた。


「やっぱりスイカだね。」

「夕華、メロンだよ。」

私達の議論は結局何も決まらないままだった。

そのやりとりを横で見ていた、かんなさんが苦笑しながら


「今はまだお二人共Eランクですが、ランク昇級試験を受ければ、Dランク、Cランクの依頼も受けられるようになりますよ。昇級試験はカグラ士協会が直々に出す依頼を達成できれば合格となります。

実質、Bランク以上の昇級試験は式神をパートナーに持つか、己の本質を見出した者でないと合格するのは難しいんですけどね。」


己の本質?初めて聞く言葉に疑問を感じ質問しようとしたときに横にいる紅ちゃんが、


「己の本質って何?」

私より先に質問していた。すると、かんなさんは、何と説明したものでしょうか、と頬を小さく掻きながら

「口で説明するより実際見てもらった方が早そうですね。」

と、言いながら、着物の袖の部分から一枚の硬貨を取り出すと、親指で空中に弾いた。


「見ていて下さい。これが私の本質、根源とも言える能力です。」

そう言って空中に弾かれた硬貨は、重力に従い落下してくる。しかし、落下してきた硬貨を、かんなさんが手のひらを前に出し掴もうとしたとき、硬貨は落下を止め、かんなさんの手のひらの上で、空中に浮いたまま、ずっと回転したままだった。


「これが私の本質、”永続”です。私の本質は物体や現象を永続させる力、具体的には、カグラ舞で形成された、火の玉や風を永遠に形成させることですね。」

それを聞いた紅ちゃんは驚いた顔をして


「それってかなりすごい・・。」

いつも冷静な紅ちゃんがここまで表情を変えるなんて、しかし、私には何が凄いのか分からず、紅ちゃんの方を向き聞いた。

「紅ちゃん、何がそんなに凄いの?」

「夕華、考えてごらん、私たちがカグラ舞で形成した、火の玉や風といったものは、舞の奉納が切れると消滅するでしょ?でもこの人の力はずっと、その場で形成され続けるから、無限に火の玉が形成されるんだよ、何百個の火の玉を夕華は、避け続けられる?」

確かに、それを想像すると私は10秒も持たずに撃沈してしまいそう・・・。

「確かに・・・すごいね・・。」

私達は、数百個の火の玉を回避するのを想像しながら、ため息をついた。そうしていると、かんなさんがふふっ、と笑いながら


「いくら本質が分かっていても、流石に数百個は厳しいですね、精々、200~300ぐらいが私の限界ですね。」

そういいながらかんなさんは謙遜しても、結局200個は確実にできるんだと思い、また、ため息が出た。


「こういった本質は誰にでもあり、人それぞれ本質は違います。依頼にもそれぞれの本質があるように、私達にも十人十色の本質があるわけです。」

そう言っているかんなさんの横にいる、うずめさんが


「200個でもすごいわよ~、まだ、かんなちゃんが私と出会う前なんて、”永続の白狼”なんてよばれてて、凄く尖ってた時期もあったくらいだもんね~。近づく者は全て切り裂く、みたいな感じで~。」

にこにこしながら補足説明をしてくれた。

「う、うずめ様、そ、それは遠い過去の話です!今は慎ましく、おしとやかにお勤めしてます!」

と、焦った様子で答える、かんなさん。かんなさんでも焦ることがあるかぁ、と内心思う私でした。


「まったく、うずめ様はおしゃべりで困ります。ま、まぁこのように己の本質に気づくことができた者が、このような能力を使うことができます。なかなか、自分の本質に気づく事は難しいですが、本質を知ることができれば式神同様、大きな力を手にすることができます。」

自分の本質か~、何だろう?と頭を悩ませていると、


「あまり難しく考えることはありませんよ~。自分の心に不意に溢れてきたものが本質なんで、考えてもすぐ分かるものでもないんで~、ゆっくり探していきましょう~。」

とうずめさん私の方を見て微笑んでくれた。そして

「ではでは、本質の事も話ましたので、今回の依頼の内容を発表しますね~。初めての依頼、その内容は~~~~・・・。」

うずめさんはジャカジャカジャカ~と自分でドラムロールを言いながら、


「ジャジャン!自由に生きたい、です!」

と、私達の初めての依頼の内容を発表するのであった。

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