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花言葉は……『自由』2

「それじゃあ、あーちゃんっ!行ってきますっ!」

潔くキレのある敬礼をするくーちゃん。

「うむ!良い返事じゃ!これから色んな事を夕華と一緒に勉強してくるのじゃぞ!」

そう言って、アマテラス様はくーちゃんの頭をよしよしと優しく撫でた。


くーちゃんの準備が完了した後、私、紅ちゃん、くーちゃんの三人はアマテラス邸の玄関でお見送りを受けていた。

正直な所、くーちゃんがもっと駄々を捏ねてアマテラス様との別れに抵抗するかと思っていたが、それは杞憂に終わり、今はしっかりとした口調で返事をし、これから始まる新しい世界に好奇心が抑えられない様だった。


「よいか、お空?外の世界には、高天原には無い、楽しい事や面白い事がたくさんある。しかし、悔しい事や悲しい事も同じくらいの数があるのじゃ。」

アマテラス様が語りかける様に言った。

くーちゃんがその言葉を聞くと、さっきまで無邪気にはしゃいでいたのを止めて、アマテラス様の声に耳を傾けた。


「じゃが、どんなに大変な事があってもお空、お主は一人ではない。夕華というパートナーがおり、紅という友達もおる。」

アマテラス様が私達に目線を投げかけてくるのを、無言で頷いて受け取とめる。

『お空を頼んだぞ』との最終確認である事は言葉無しでも分かった。


「じゃから、お主が困った時は無理をせず、二人に助けを求めなさい。その代わり、二人が困った時はお主がしっかり助けてやるのじゃ。よいか?」

「うん!わかった、くーちゃん助ける!」

「うむ!良い返事じゃ!ならば、わらわから言う事は何も無い!頑張って行ってくるのじゃぞ!」

そう言ってアマテラス様は、くーちゃんの頭を撫でてから身体を反転させてやり、背中をポンポンと優しく叩いて出発を促した。


「あーちゃん!いってきまーす!」

振り返りながらアマテラス様の方を見て、元気いっぱいに手を振り歩き始めるくーちゃん。


「それじゃあ、私達も行こうか?紅ちゃん。」

「ん、そだね。」

「そうじゃの、そうしてやってくれ。まだ正直に言えば、お空を外の世界に行かせるには不安がある。」

苦笑いにながらアマテラス様は言った。


「そして最後に、お主達には謝らなければならん。」

「はて?」

「ん?」

私と紅ちゃんはお互いに顔を合わせ首を傾げた。

何の事だろう、本当に心辺りがない。


「お主達とのカグラ勝負の時じゃ。わらわは、お主達の祝詞を引き出す為にキツイ言葉で挑発したじゃろ?本意では無いとは言え、多少なりともお主等の心を傷つけた。すまんかった!この通りじゃっ!」

そう言ってアマテラス様は深く頭を下げた。


「あ、アマテラス様っ!頭を上げて下さいっ!私達は全然気にしてないんでっ!ね、紅ちゃん?」

「ん。確かに、イラッとしたけど―――――――、」

「も、紅ちゃんっ!?」

「でも……アマっちに言われて私自身、色々気づいた事もあるから……お礼を言わないと。ありがと。」

今度は逆に紅ちゃんが頭を下げた。


「そうか、そう言ってもらえると有難いの。それと――――――、」

少し照れくさそうにしながらアマテラス様は言い、今度は真剣な眼差しで私の方を向き、


「夕華。お主の第一奥義ファーストスキル、明鏡止水の事じゃが……。」

「は、はい?」

「あの、水球に触れた途端にカグラを無力化する技じゃが、恐らくお主の本質が大きく関わっておる筈じゃ。そして、その能力は無力化などと言う、カグラ勝負を根本から変える未知の力じゃ。」

そう豪語するアマテラス様であったが、その顔にはどこか曇りがあった。


「その未知数の力ゆえ、何が起こるか分からん。もしかしたら、お主自身が何か大きな代償を払わなければいけぬやもしれん。」

「は、はい……。」

その『代償』という言葉に思わず畏縮して、生唾を飲み込んでしまう。


「いや、脅しておる訳ではないのじゃ!ただ、その明鏡止水を無闇に使うのは控えた方が良いと言っておるだけじゃ!あまりそこまで気にするほどでもないぞ!かっかっかっ!」

不安な表情が出てしまったのか、アマテラス様は安心させるように大きく笑ってみせる。


「はい。肝に銘じておきます!」

そう言って頷くと、アマテラス様は「うむ!」と言って、その小さな身体で背伸びしながら私の頭を撫でた。


「よし!これで本当に最後じゃ!お主達、お空の事を宜しく頼んだぞっ!」

アマテラス様は吹っ切れた様子だ。

その様子を見て私達二人は、一呼吸置いてからお互いの顔を見合わせて言った。


「はいっ!!」

「ういっ!!」




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