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猫柳の花言葉は……3

「いっけぇぇぇーーーーーーっ!!!」

(だぁぁぁーーーーーーっ!)

私達二人は大声を上げ、特攻さながらの勢いで、向かって来る火球に飛び込んで行く。


「な、なんじゃとっ!突っ込んで来るのか!?」

私達の行動に、流石のアマテラス様も予想出来なかったのだろう、驚いて様子で声を荒げていた。


……まぁ、無理ないよね。さっきはくーちゃんに「大丈夫!」みたいな事言ったけど、正直言えば、あれはブラフだったし。

この「明鏡止水」と表示されたこのカグラの正しい使い方が、突撃で合っているのかどうか、本当の事を言えば分からなかった。ただ、このカグラを舞う途中で何故か「突撃をしても大丈夫!」と言う確信があり、それは本能というか、直感に近いものだった。


「まさか私、第六感(シックスセンスが目覚めちゃった……とか?」

(ん?ゆーか、なにかいった?)

「ううん、なんでもない!」

独り言に気づかれ、少し恥ずかしくなりつつも何とか上手く誤魔化した。

第六感シックスセンスだなんて、かんなさんの厨二病モードじゃないんだから、……まったく何言ってるんだろうね、私は。


そんなやり取りをしている間に、アマテラスの放った火のカグラが目前まで迫り、私の正面右にパネルが現れ、「敵カグラ接近!」の文字が表示されると共にカウントダウンの警告音が鳴り出す。


敵カグラ接近!……接触コンタクトまで、5……4……3……、


「大丈夫、絶対上手く行く!」

自分に言い聞かせる様に呟く。

必ず成功させるんだ!依頼も、くーちゃんの願い事もっ!

秒数が減るにつれて、自分の心臓の鼓動がどんどん早くなっていく。


2……1……、接触コンタクト。―――――――パリンッ!


ガラスが割れたような音と共に、アマテラス様の放った巨大カグラは相殺された、というよりも消滅した。


「……えっ?」

アクション映画のクライマックスを飾るに相応しい最後を見せたはずなのに、意外と呆気ないに衝突に、開いた口が塞がらずにいた。

あ、あれ~?もっと水蒸気とか出て、迫力のあるシーンになると思ったんだけどな~。突撃前に「いっけぇー!」とかカッコ良さげに叫んじゃったよ……恥ずかしいっ!

照れ隠しする様に、おデコをポリポリと掻きながらアマテラス様の方を見ると、アマテラス様も口をポカンと開けて目を丸くしていた。


「勢い込んでぶつかって行った割には、拍子抜けでしたね……あ、あはは~……。」

自嘲気味に言った私の言葉が聞こえていないのか、アマテラス様はブツブツと独り言を繰り返し、何か考え事を始めた。


「相殺……、いや、今のは完全にカグラを掻き消した様に見えたぞ……、まさか、無力化じゃと!?そんな事、あるはずが無い……、」

カッ!と目を大きく見開き、目線をキョロキョロと泳がせながら困惑した顔のアマテラス様であったが、今の攻撃を相殺したのが、そんなに驚く程の事なんだろうか?


「しかし、感情を消すなど、神々の中でも誰一人として出来る者はおらん……いや、待てよ?本質なら、あるいは……、」

しばらくすると、アマテラス様は、探偵が犯人を見つけた時のように私の方を指差し、問いだした。


「夕華よ、自分の本質は何か理解しておるか?」


え~っと、本質ってアレだよね?うずめさんの”芸能”や、かんなさんの"永続”みたいな自分の能力の事だよね。そうだとしたら答えは、


「いいえ。」

そう、私自身にそんな特殊能力は備わっていない。まだ自分が知らないだけで本当は何かあるのかもしれないけど、今の所答えはノーだ。


「そうか……やはり実際に確認した方が早そうじゃな。」

小さく呟くと、アマテラス様は素早くカグラを舞い、先端が尖ったビー玉と同じ位の小石を数にしておよそ20個ほどあるだろう土のカグラを形成し、


「少しわらわの遊びに付き合ってもらうぞ!」

と当たれば痛いでは済まない小石を、川に石を投げて遊ぶ無邪気な子供の様に楽しそうな笑みを浮かべ、一斉射撃してくる。

ま、まずい!あんなのが顔に当たって傷でも入りでもしたらお嫁に行けなくなってしまう!ちなみに今現在、そういった予定は皆無なんだけどね(笑)

なんて自虐ネタを一人で言う虚しさを感じつつ、


「くーちゃんっ!もう一回さっきの出来る!?」

(うんっ!だいじょうぶ!)

返答を聞くと、もう一度、明鏡止水と表示されたパネルをタッチして、またしてもスピーカーから流れてくる心地良い音楽に身を任せ、舞を奉納し、再び水のカグラに覆われる。


―――――――パリンッ、パリンッ、パリンッ!

発射された小石達は、私達を包み込んだ水のカグラに激突すると、大粒の雨が傘に当たった時のような音をリズミカルに刻みながら消滅した。


「ふむ……やはり、わらわの考えは間違っておらんようじゃな。」

今の一部始終を見たアマテラス様は何かを悟ったらしく、真剣な面持ちで頷いた。


「夕華よ、カグラを形成する為に必要な事は何じゃ?」

「えっ!?え~っと、精霊に舞を奉納する事、だと思います。」

「うむ、正解じゃ。」

いきなりの質問に少し戸惑ったが、基本中の基本なので、難なく答える事が出来た。

まぁ、これはアカデミーの基礎授業で最初に習う事だから答えて当然なんだけどね。


「お主達カグラ士は、大気中にいる目には見えないほどの小さな精霊に対してカグラを舞い、それを奉納する事で、その対価として、火や水の力を得る事が出来る。では、次の質問じゃ。」

えっ……、まだ続くの?あんまり勉強は得意じゃないから、質問形式の受け答えはなるべく遠慮したいところなんだけど……。

なんて甘い考えは通じるハズがなく、次の質問が飛んできた


「それでは、形成されたカグラの威力は何で決まるのか、分かるかの?」

えっと~、なんだったっけ?確か最近、似たような話しを聞いたような気がするんだけど……。

記憶の糸をたぐり寄せ、何とか思い出そうと頭を悩ませると、「あっ!」と昨日、うずめさんとの会話で同じ話をしていた事を思い出した。


「確か、カグラ舞の威力は感情の大きさで決まる、でしたっけ?」

「うむ、その通りじゃ。うずめの本質、”芸能”の能力は知っておるの?うずめは、芸能の力で相手の感情を操作し、カグラ舞の威力を強化したり弱体化させる事が出来るのじゃ。」

私と紅ちゃんが高天原に来るとき、うずめさんがこの力を使って、あま岩戸いわとの結界を解除してくれたんだよね。


「じゃがしかし、お主が形成した水のカグラは、わらわの攻撃が当たった瞬間に無効化した。これがどういう事か分かるか?」

「え~っと、全然分かりません……。」

素直に答えると、アマテラス様は困った表情をして頭を抱え、「まぁ、普段は考えもしない事じゃからなぁ」と、溜息交じりに言い放つと、


「カグラ舞を無力化する事は、感情を無にするのと同意じゃ。感情を無にする事など、普通は不可能じゃからの。しかし、お主はその不可能を、可能にしたのじゃ!これはカグラ士協会にとっても、我等、神々にしても、前代未聞じゃぞ!」

と、大仰しく語るのであった。







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