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日暮夕華VS天照大神5

現代・天界高天原・アマテラス家の庭


「お主の技は、もうわらわに効かぬ。同じ手を食らうほどわらわも馬鹿ではないからの!」

まだまだこれから!とアマテラス様はリズミカルにファイティングポーズを取り、手招きして挑発をしてくる。どこのプロボクサー?とツッコミを入れる余裕は無い!

くっ……どうする!?私の水鉄砲ウォーターガンで、もう一度攻撃を仕掛けた所でさっきのアマテラス様の火柱で掻き消されるのがオチだよね?どうする?落ち着け私っ!


「かっかっか!焦りが表情に出ておるの~、夕華よ。まぁ無理もない、お主の中で最大の技っぽいからの。それが効かぬ今、どうやってわらわに勝つつもりかの~。」

私がこれからどう出るかが楽しみだと言わんばかりに、ニヤニヤした顔で見てくる。


「夕華よ、お主は昔から不器用なせいで周りからイジメを受けていたが、それでも他の者に遅れを取らない様に人一倍努力してきた。そうじゃな?」

唐突な質問に困惑しながらも正直に答える。


「はい、その通りです。」

流石は神様だ、なんでもお見通しらしい。そう、私は不器用でカグラ舞が出来ないからイジメられていた。これは紛れも無い事実だ。


「お主は、自分だけが不器用で、他の者が上手にカグラを舞えるのを見て嫉妬などはしなかったのか?」

アマテラス様の嫉妬という言葉で昔の苦い記憶が蘇る。


「してましたよ。毎日毎日、どうして自分だけがカグラ舞が出来ず、どうして自分だけがイジメられるんだろうって考えてました。そして不平等だから、自分が不自由に生きていく事しか出来ないと思って、不器用な自分を憎んだ時だってありました。」

アマテラス様は、私の言葉を聞くとコクリと静かに頷き、次の質問へ。


「しかし、今のお主はイジメも無くなり、カグラが出来ないと悩む事もなく、自由に生きてるようにも見えるのじゃが、どうしてじゃ?」

「それは……」

遠くの方で私達のカグラ勝負を観戦している親友の方をチラッと見て、再びアマテラス様へ顔を向ける。


「自由に生きる為に必要な事を教えてくれた親友がいるからです!」

多分教えてくれた本人は自覚ないんだろうなぁ~。私の勝手に解釈した思い込みみたいなものだし。


「ふむぅ。なるほど、では、」

アマテラス様が深呼吸すると、周囲の空気が一気に変わる、……きたっ!ここからが本番だ!


「では、お主に問おう!お主の祝詞のりとを!お主のおもう、自由に生きる為に必要な事を!」

あまりの迫力に鳥肌が立つ。思わず生唾飲み込んじゃった……、でも、もう私の祝詞は決まっている!


「自由に生きる為に必要な事……それは!」

紅ちゃんがイジメられていた私を助けてくれた時に言ってくれた言葉、そして昨日の夜、くーちゃんがアマテラス様に自分の意志を伝えるかどうか悩んでいるのを見て気が付いた!


ちらりとくーちゃんの方を見ると、目と目が合いくーちゃんに言うようにハッキリと言葉を繋いでいく。


「自分の意志で決めること!……そして、決めた事の責任を自分で負う事!」


辺りが静まり返り、まるでクイズ番組の回答を待っている様な緊張感だ。この空気、いざ自分の立場になると結構、嫌だなぁ~。


「うむ。中々良い答えだとは思うが、まだ納得がいかぬな。」

そう言って手中に火のカグラを形成する。


「夕華よ、お主は努力してカグラが舞えるようになって、自分を変えようとしたが、他の者が先に進んでおる姿を見て、己の無力さを味わい絶望した。」

「はい。」

「無力とは虚しい物じゃ、いくら頑張った所で結局は無駄に終わる。」

「はい。」

「お主の祝詞は、自分の意志で決めることじゃが、自らの意志で決めた事が無駄に終わるのなら、最初から諦めた方がいいのではないか?」

アマテラス様の問いに私は黙り込み、考える。

結局自分を変えようと努力して、カグラを舞えるようになっても、他の子が先に進んでいたら自分の努力は無駄、無意味になってしまう。だったら初めから諦めた方が、自分を傷つけずに済む。

でも、今は違う。そう思い込んでずっとイジメられていた私を救ってくれた親友がいるから!


「以前の私なら、素直に頷いていたんでしょうけど、今は、そうは思いません。」

「それは何故じゃ?」

「確かに、諦めて仕方ないと思えば少しは楽になれます。でも、諦めるという選択を自分の意志で決めてしまえば、結局イジメ続けられる結果だったと思います。実際、私もずっと諦めて、イジメられてた状態でしたから。」

そう、あの日紅ちゃんに出会うまでは。


「でも、ずっと諦めたままじゃ結果は同じ、自分の事は自分で決める事が大切だ、って教えてくれた子がいたんです。だから、私自身もう一度本気で変わろう、って決めたんです。」

「自分で決めた事が無駄に終わってもか?」

アマテラス様が確認するように問いかける。


「はい。自分で決きめた事の結果は、自分で受け止めないと。そう思って、紅ちゃんと頑張ってきたから、なんとかカグラが舞えるようになってイジメられる事も無くなったんです。まぁ、あんまりカグラ舞自体は上手くないんですけどねぇ。アハハ……。」

自嘲気味に言うと、アマテラス様はフルフルと首を横に振った。


「いや、そこまで自分を卑下することはないぞ。わらわと勝負して1分以上耐えておるのじゃからの。並のカグラ士なら開始30秒で勝負がついておる。能無しと言うて煽ってしまったが実質、お主はかなりの実力を持っておる。自信を持て、日暮夕華。」

予想もしなかった言葉に頭の中で理解するのに5秒くらい掛かった。もしかして……褒められてる?


「それにお主の祝詞も気に入った!自分の意志で決定し、その結果を自分の責任として自分で負うこと……か。」

そう言うとアマテラス様は、いつもの豪快な笑い方ではなく優しい笑みをみせた。


「そもそも、我ら神という存在は、人々の心の中に居てその者の生き方を支える小さな存在じゃった。しかし、神仏習合しんぶつしゅうごうとか何とかで、いつしか人の願いを叶え敬われる存在になったのじゃ。人々の願いや救済をするのは元々、仏の仕事じゃったのに……あぁ、いかんいかん!愚痴ってしまう所じゃった。」

アマテラス様は苦笑いしてペコリと頭を下げた。まぁ、私自身アマテラス様が言ってる事がイマイチ理解出来てなかったので別に構わないんだけど。


「まぁ、そんな感じでお主の祝詞は、我らが神の元々の存在意義を肯定しておるし、しかも自ら責任を負うとまで言うておる!誰のせいにする訳でもない。気に入ったぞ夕華の祝詞!」

「じゃ、じゃあ……!」

これでカグラ勝負が終わり、依頼も達成出来る!


「しかし、わらわはまだ、夕華とのカグラ勝負を楽しめておらん!神楽カグラとは神様を楽しませる物じゃからの!勝負は夕華の勝ちでよいが、もう少しわらわを楽しませてくれ!」

えぇ~~~……。これ以上戦える体力残って無いよ……。


なんて考えてる間にアマテラス様は巨大な火の玉を形成し攻撃を仕掛けてくるのであった。


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