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日暮夕華VS天照大神3

「水鉄砲っ(ウォーターガン)!」

一世一代、全身全霊、全力全開、とにかく自分の中にある全ての力を込めてアマテラス様に攻撃を仕掛ける。


「ぐっ!うぬぬっ!」

水のカグラを防御で使うと予想していたのか、アマテラス様は防御に切り替える反応が一瞬遅れ、何とか防御体勢は取っているものの水の勢いに押し切られ、少しずつ後ろに下がって行く。



うん、作戦は成功だねっ!直撃させる事は出来なかったけど、これでかなり体力は削れたはずっ!


「ぐぬぬっ……!やってくれるのぉ、じゃが、まだまだ火力不足じゃ……ハァッ!」

水圧に押されながらも、アマテラス様は身体に力を入れると、次の瞬間に地中から火山が噴火したかと思わせるくらいの火柱が轟々と噴出して、見事に綺麗さっぱり私のカグラは相殺された。


「ハァ…ハァ…どうじゃ?わらわのカグラ舞は……土と火の合わせ技じゃ。」

いやいやいや、そんな火柱を上げるカグラ舞なんて見たことも聞いたことも無い!ぶっちゃけありえない!


「驚いておるようじゃの!相手がどんな戦法を取り、それをどう反撃していくかが、まさにカグラ勝負の醍醐味と言えるじゃろう!夕華!お主の水鉄砲ウォーターガンも、かなり驚かされたぞ!」

そう言ってパチパチと拍手をするアマテラス様であったが、正直、私はかなり戸惑っていた。


嘘っ!私の最大の攻撃が掻き消されるなんて……。どうしよう、このままじゃ本当に勝ち目が無くなってしまう。


「かっかっ!自分の必殺技が効かなくて焦っておるようじゃの?」

私の内心を見透かしたようにアマテラス様が面白そうに言ったが、まさしくその通りだった。

水鉄砲ウォーターガンが効かないとなると、他の攻撃の手段が思い浮かばない!


「なぁ?夕華よ、そのお主の技はアカデミーを卒業する時に編み出した技なのじゃろ?」

「は、はい。」

あれ?アマテラス様は、何でこの技が卒業試験の為に作られた技だって事知ってるんだろう?


「何故この技の事を知ってるのか?という表情をしとるの。まぁ簡単な事じゃ、それはわらわが神様じゃからじゃ。神は全知全能であり、お主達カグラ士のような願いを届ける者の素性は、すべてお見通しという訳じゃ!」

なるほどね、そういう訳か。


「じゃから、この水鉄砲ウォーターガンもお主がどんな気持ちで編み出したかも大体の察しがつく。どんな気分じゃ?必死の努力で作ったカグラが呆気なく無駄に終わると言うのは。」

無駄な……努力。

それは私が最も嫌いな言葉だった。無駄、無価値、無意味それらは今までしてきた自分の努力や存在意義を全て否定するからだ。


「お主、アカデミー入学当初、まったく火のカグラ舞が出来んで、いじめられていたそうじゃな?」

沈黙したままコクリと頷く。否定はしない。

今でこそ、紅ちゃんとの特訓のおかげでそれなりにカグラ舞を舞えるようになったけど、紅ちゃんに出会う前までは苛められていたせいで、性格も暗く、自分の殻に閉じこもりずっと考えていた。

周りのみんなは、1倍の努力で普通にカグラが舞えるのに、私は、他の子より3倍も4倍も努力しないと人並みには出来ない。

どうして私だけ、こんなに何も出来ないんだろう……どうして世界はこんなにも不自由で、不平等で、残酷で、つまらないんだろう。どうして私はこんなにも、無力なんだろう……。

そんな事を思いながらずっと過ごしてきた。


「しかし、お主はそんな自分を変えようと努力をした。人の3倍も4倍も努力して火のカグラを舞えるようになった。アカデミーの先生にも『よく頑張ったね。』と褒められたそうじゃの。」

そう、私は努力をした。その頑張ったおかげで”人並みには”火のカグラを舞えるようになったんだ。


「じゃが、出来るようになった火のカグラを皆に見せようとした時には……。」

嬉しくない事に、嫌な記憶ほど鮮明に覚えているものだね。私はやっとの事で舞えるようになった火のカグラを、クラスの皆に見せて見返してやろうと思ってアカデミーに行ったのに……その頃には、みんな、


「皆、その頃には火水風土の全てのカグラを舞えるようになっていた……じゃろ?現実とは残酷な物じゃ。いくら努力をして、出来ない事を出来るようになって先生に褒められたとしても、実際は周りに遅れをとっておる事に変わりは無いからの。」

そう、たとえ人の3,4倍努力して、人並みに追いついた時には、他の人は3倍、4倍先に進んでいる。

まさにイタチごっこ。私の努力は、結局のところ自己満足でしかなかったんだ。

それを知った私は、途方もない虚無感に襲われ、余計に自分の殻に閉じこもり、努力する事も虚しくなりイジメはさらにエスカレートして最後には”能無し夕華”なんてあだ名が付けられたくらいだった。


しかし、そんな不自由で不平等な日常から救ってくれたのが私の親友――――――十五夜紅もちづきもみだった。





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