日暮夕華VS天照大神2
「どうしたのじゃ?カグラ勝負に集中できておらんようじゃの、わらわのカグラ舞はつまらぬか?いやはや、それは申し訳ない事をした。初戦じゃからと思って手加減しすぎたか……では、もっとカグラの数を増やして……。」
「い、いえ!カグラ勝負はもう充分エンジョイ出来てるので、大丈夫です!」
「そうか?なら良いのじゃが……。」
危ない危ない……紅ちゃん達のやり取りに、つい脳内ツッコミを入れてしまったけど、今はそんな事をしている場合ではない!
それに、今以上にカグラの数を増やされでもしたら、10秒も経たずに撃沈されてしまうだろう。
そんな事を考えながらも、アマテラス様の容赦なく迫り来る火のカグラを、闘牛士さながらの、華麗な動きで相殺していく。
「かっかっか!夕華よ、お主、カグラの相殺が卓越しておるな!初戦でここまで、わらわのカグラを打ち消したのはお主が初めてじゃぞ!」
「あ、ありがとう……ございます!いつも……くっ!紅っ……ちゃんに、鍛えられてるんで!」
「かっか!なるほどの!十五夜家の娘に鍛えてもらっておるのか!いいぞ、その調子でどこまで相殺できるか、確かめてやろう!」
私の返答が気に入ったのか分からなかったが、アマテラス様は上機嫌になり、さらに攻撃の速度を上げてきた!いや、もうホントに限界なんです!お腹いっぱいなんです!ごちそうさまでした!
「遠慮することは無いぞ!まだまだ、全体の10%ぐらいしか、カグラは出しておらぬからな!」
あれで、10%……、軽く20個くらいのカグラをさっきから打ち消してるのに……。
「ほれほれ!出欠大サービスじゃ!」
そんな軽々しく、スーパーのタイムセールみたいに言われても、私のお買い物カゴは商品でいっぱいいっぱいなんです!……もう、こうなったら!
「そんなサービスいりません!」
パンっと一拍して、扇子を広げるように大きく腕を展開していく。最近出来るようになった水の防御!
「水の障壁っ!」
展開した腕の軌跡をなぞるように水の壁が形成され、降り掛かる火の玉が障壁にぶつかると、瞬く間に蒸気と化し、見事に攻撃を凌いだ。
「ほおぉ、カグラ舞の中でも最大の防御力と柔軟性を持つ、水の障壁が使えるとはの!まだまだ楽しませてくれそうじゃの!」
感嘆の声を上げるアマテラス様。
そして、さらに火の玉の数を増やし、追撃を仕掛けてくる。
「くっ……、数がっ……多すぎる!」
四方八方から迫りくる火球を蒸気に変えていく。
このままじゃマズイ!水の障壁は、広範囲・多方向からの攻撃を防御するのに適しているけど、その分体力の消耗もそれなりに大きい、このまま守っているだけじゃダメだ!攻めに転じないと!
「ほれほれ、どうしたのじゃ?守ってばかりではわらわに勝てないぞ?」
「そう……ですねっ!なら今度は、私の番です!」
周囲の火の玉を障壁で一斉に掻き消し、アマテラス様と距離をとり、水のカグラを二つ形成する。
今の私じゃ、二個しか形成出来ないけど……やるしかない!
「ん?水のカグラじゃと?そんな物形成してどうするというのじゃ?」
アマテラス様が疑問に思うのも無理はない。だって水のカグラは、防御に使うのがカグラ勝負においてセオリーだもんね。でも、その考えの裏を掻く!
「出たね、夕華の得意技。」
遠くの方で私達の勝負を観戦している紅ちゃんは、これから私が何をするか気づいた様子だ。
「とくい……わざ?」
くーちゃんが、何の事かさっぱり分からないといった表情で、紅ちゃんの方を見た。
「そっ、夕華の一番得意な水のカグラ。アカデミー卒業試験のために、頑張って開発したカグラ。」
そう、風にカグラ舞が全然出来なかった私が、それを補う為に必死に編み出した技だ。
おそらく初見でこの技を見抜く事が出来る人は、中々いないはず!
「アマテラス様、行きます!」
全力疾走でアマテラス様に体当たりめいた突撃を仕掛ける。まるで特攻でもしているかの様に見せるのがコツだ。
「なんじゃ、また特攻かの?水のカグラで防御しつつ突撃というのも、確かに戦法の内の一つじゃが、あまり芸がな……んっ!?」
「確かに、私の攻撃は無謀な特攻に見えるかもしれません……ですが!」
左右にある二つの水の玉を、どんどん小さくして圧力を掛ける操作に意識を集中させる。
「ここからは私のターンです!」
圧縮して、ビー玉くらいの大きさになった水球の圧を、一気に解放!
「水鉄砲っ(ウォーターガン)!!!」
新幹線並みの勢いで放出された水のカグラは、アマテラス様目掛けて一直線に突き進む!ちなみに、新幹線の速度は、大体時速250キロ、最高速度だと300キロ近く出るらしい。水とは言え馬鹿には出来ないよね……うん。
そんな私の最大にして最高のカグラ舞、他の誰にも真似できない技!まさにオンリーマイウォーターガン!――――――決まったねっ!




