プロローグ
それは、一通の願いから始まりました。
自由に生きたい。
そのささやかな願いが、私達の運命を大きく動かすなんて、その時の私は知るはずもありませんでした。
午前07:15分 ~第2演舞訓練場~
ズドォォォォン!
激しい爆発音と共に、花火の様な炎と光が私の周りをつつむ。
「夕華、それじゃダメ、回避行動も次の舞につなげないと。」
そう言って、目の前の少女は淡々と言葉を繋ぐ。150cm位の小柄な身長、腰まである赤茶色のロングストレートの髪、そして何より特徴的な、すべてを焼き尽くしそうな紅い瞳。この子が私のパートナー・・・。
「紅{もみ}ちゃん、ちょっと待って・・・。ちょっと・・・休憩・・・。」
「夕華、ダメ、カグラに待ったはナシ。」
そう言うと、紅ちゃんは体をヒラリと一周回転させると左腕を上げて、
「集え、炎よ!」
左腕に火の玉が4つ形成される。そして、紅ちゃんが左腕を素早く振り下ろすと、火の玉が私目掛けてとんでくる。
「夕華、今日から依頼始まるよ、これ位で弱音吐いちゃダメ、これで終わりだからもう少し、がんばろ?」
紅ちゃんは、その淡々とした口調から感情の変化は分かりにくいんだけど、いつも言葉の最後には相手を想う意志が伝わってくる。だから私もその想いに応えるように・・・。
「うん!そうだね!弱音吐いてる場合じゃないね、私頑張るよ!」
私は、飛んでくる火の玉を体ギリギリの所で回転しながら避け、両手に意識を集中。
「水の精霊さん、力を貸して!」
両手に4つの水の玉が形成された。それを追尾してくる火の玉目掛け投げつける。
「あたれーーーー!」
バシャーーーン!
火と水がぶつかり合い蒸気が漂う。4つとも見事命中、あたり一面の蒸気が晴れてくると、蒸気の中から紅ちゃんの姿が見えてくる。
「夕華、お疲れ様、最後のは完璧だね、ご機嫌だね、成長してるよ。」
「ありがと、紅ちゃん。紅ちゃんの日頃の訓練のおかげだね!」
そう言いながら紅ちゃんは汗をかいた私にタオルを渡してくれる。流石は紅ちゃん、ささやかな気配りができる女の子、私がお嫁に欲しいくらい!
「夕華がいつもがんばってるから、当然だよ。それより、そろそろ依頼の確認しに行かないと。」
「そうだね!初めての依頼で遅刻はしたくないしね!」
そう言って、私は初めてカグラ士としての仕事に心を躍らせつつ、演舞訓練場を後にするのでした。
初めての投稿で、読みにくいかも知れませんが、少しでも興味を持ってもらえれば幸いです。