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神様会議  作者: 暴走紅茶
7/8

番外編!? 料理対決!

※前回の続きではありません。それよりも少し先のお話です。

ここは世界の上空『スカイ・キャッスル』

ここでは、神様達が日夜人間の生活について話してる…………。

今回は、イタリアの上空よりお送りします。(だからと言って、時事ネタは出ないよ!)


「第一回!」

「チキチキ!」

「「お料理選手権~~!」

「はい! 司会を務めますは私、火神と!」

「全知全能の神です~~」

どうしてこうなった……。


事は昨日に起因する。


「最近暇だねぇ」

木神がため息混じりに言う。

「そうですね」

これと言った事務も回ってこないし、大きな行事があるわけでもなく、俺たちは暇を持て余していた。

「私復帰したばかりなのに、なんなの? この暇さは」

金剛神も文句を垂れていた。

「おい、全知。いいのか? こんなに暇で」

今思うと、雷神がそんなこと聞かなかったら良かったのかもしれない。

「すること? あるよ? ねえ、火神?」

「うん、あるよね~!」

そういって、全知と火神が目配せをし、ニヤリと笑った。

何だこれ、嫌な予感しかしねえ……。

「「発表します!」」

背筋がぞわりとした。

「「料理対決を!」」

「「開催します!」」

「「開催日は、明日!」」

「「場所は地下闘技場!」」

「「ルール、制限なにも無し!」」

「「ただただ旨い飯が食いたい!」」

見事にハモらせ、そう告げると、チラシをずいっと差し出した。

俺の嫌な予感は奇しくも当たってしまったのだった。

「今これ、ここの全員に一斉送信したから」

廊下をチラシから精製された式神が、大量に飛んでいく羽音が聞こえてきた。

うわあ……用意周到……。面白そうだな! って言っているの地神だけだからね? 風神なんて、

「………………無意味」

ばっさり切り捨てているし。

「あ、因みに、ここのみんなは強制参加ね」

『ええええええええええええええ』

その他大勢の声が重なった。異口同音。だって面倒くさいから。

「因みに商品も用意してるよ~」

その一言に女性陣が敵陣営に付いた。いや、俺以外のみんなが敵陣営に付いた。

「水神さんは、何で乗り気じゃないんですか? あ、料理下手なんですね、フッ」

太陽の言い方はいつも毒がある。いや、俺が参加したくない理由はそうじゃなくて……。

「審査と毒味は誰がやるんだ?」

ということだ。

「それは、ちゃんと審査員をよういしているよ~」

審査員? 不安だ……。ま、まあ、この二人がやるんじゃないなら良いか。

「むう……それなら……」

と、渋々承知してしまったから、今こうなっている。


回想終了──時を今に戻す。


今正に、参加するメンバーがゾロゾロと地下闘技場に集まってきている。。

だ、だりい……。でもやらなくては……。バックレると後がうざい。

みんなが揃ったところで開会式、及びルール説明が始まった。

「只今より、第一回料理対決を始めます!」

「では、審査員を紹介します!」

「料理クラブ部長、食物神様しょくもつしん!」

「お招き頂き有り難う御座います。本日は誠意を込め、公平な審査に務めます」

「同じく副部長、野菜の神様!」

「いやぁ、参加出来てほんとうに嬉しいわ。今日は宜しくお願いするわ」

「特別審査員! 元老院総長、創造神様!」

「今日はどんな創造されるのか、とても興味深いです」

どこから突っ込めばいいのか……。というか、本編未登場の方々をこんなところで放出してしまって良いのか。

補足だが、元老院というのは、神を辞めた人が入る部署で、地球を作った時点で疲れ切った創造神が創設したとか。

「では、火神君! ルール説明を!」

「はい! ルール、制限なにも無し! ただし時間は2時間!」

「「ただただ旨い飯が食いたい! それだけだ~~~~」」

そこで俺は信じられないことを耳にした。

ルール、制限、何も無し……だと? しかもここは地下『闘技場』。料理をするだけなら別の場所もあるというのに……。嫌な予感に背筋が凍る。この大会、荒れるぞ……。

「では、後の司会は全知全能神様に任せて! 私も参加しま~す」

「では、すた~~と!」

『ドガーーーーーーン』

料理開始の銅鑼が勝手に鳴り響いた直後、後ろから火の手が上がった。と言うか、噴火した。

「あ、わりい。ガスコンロが噴火したわ」

「何でだよ! なあ、地神よお!」

もうやだ……お家帰りたい。

その後は何も無く進んだら良かったのにね。

開始30分後の事だった。

「ちょ、なんで私の野菜が急激に成長してるのよ!」

見れば雨神が文句を叫んでいた。あ、居たんだ。

「知らないわよ~? 私」

よく見ると木神さんと口論してる。

「くう~~~~~」

怒りの余り顔が真っ赤になっていた。あ、これヤバイやつだわ。

急にゲリラ豪雨が会場を襲った。俺は冷静に水を操り、難を逃れたが、他のみんなは料理がパアになっていた。

「あれ? 水神君は平気なの?」

前の調理台で料理をしていた金剛神さんが俺に尋ねる。

「まあ、一応水を統べる神ですからね。このくらいは朝飯前ですよ」

「ふーん。水神君、だけ、無事なのね」

「あ~。なんかすみません」

「いいのよ、気にしないで」

「はあ……」

そう返事をし、手元に目を移すと、使っていた包丁がハグ○メタルもかくやといった、どろどろ具合になっていた。

「ふふふふふふ」

そう不敵に笑いながら、金剛神さんが俺の方を顧みる。

「水の芸術 包丁(ウォーターアート ナイフ)」

そんな金剛神さんに気付かない振りをして、今し方みんなの料理をダメにした雨をリソースに、包丁を精製。再び、料理を開始する。ちらりと前方を見ると、とてつもなく悔しそうな金剛神がいた。

それだけでトラブルは止まらない。

料理を再開して数分後、俺に向かって火の玉が飛んできた。

防御水壁ガード

咄嗟にで詠唱してそれを防いだが、それはダミー。反対から突進してきた火神が俺の確保した卵を全て割りやがった。

「てっめぇ……」

「これで、水神もパアだね! はっはっは~」

主催者側から邪魔された。

「ふっ。馬鹿め! 卵なんか無くても、俺の作ってる物には関係ねえ!」

はっはは~。と、俺も続けてみた。

「ええ~~じゃ、じゃあ」

火神が反撃のためにフレア……と詠唱しだしたところで、俺は、

水球監獄ボール

と素早く詠唱し、火神を水のボールに閉じ込める。火属性の彼女には大ダメージだった。

「おおっと! 火神、リタイアだ~~」

司会者から、料理対決ではついぞ聞いたことがない文句が飛び出した。なんておっかねえんだ……。『料理対決』……。


その後も小さな乱闘があったものの、運営に支障が出るレベルの大乱闘は無かった。が……。


「おっと……? 風神の鍋が溶け出したぞ……?」

司会者が恐ろしいことを言い出した。さっきから何か異臭がするな……。とは思っていたが、まさか。

辺りを見回し、風神を探し当てると、その周りには、何やら紫色の液体──スライム(?)が彼女の周りを浸食し始めていた。

それは、触れた全ての床を溶かしているようで、大量の湯気を伴い、他の料理人の元へと流れ出ていた。

「おい! 風神! なんが床が溶け始めてるじゃねぇか!」

雷神の怒号が飛ぶ。ひぃっ……。何? 何アレ……。化学物質? 審査員達の方を見ると、総員顔から血の気が引いていた。そしてどん引きしていた。

「おーい。水神よ」

後ろから声がする。

「なんだ? 地神」

「あれ操って始末できないの?」

「やってるんだが……」

実際、何度も詠唱している。

「……なんか魔法が効かない」

「はあ!? あれ反魔力物質なの!? 怖っ」

見ると徐々に俺の元へも迫ってるみたいだった。

あ、そっか直に触れなくても良いんだよな。

大波小波ウェーブ

魔法の水で風神の元に液体(?)を押し戻す。押し流されたそれは、風神を襲い、彼女の服を溶かした。

「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

あられもない姿になった風神が、悲鳴を上げ倒れた。自業自得とはいえ、怖い……。

「風神リタイアーー」

次々と出場者がリタイアしていく中、何とか生き延びている面々は着々と料理を完成させて行く。

会場に美味しそうな臭いが立ちこめて来た所で、

「終了~~」

全知の間の抜けた号令により、料理の時間は終了した。


「それでは、只今より審査に移らせて頂きます」

「各自、完成した料理を5人分装って、提出して下さい」

なんとか復活した火神が司会に参加していた。

そして、俺が自慢のカレーを装っていた時だった。

『ざわざわ』

なにやら、観客席がざわついていた。その原因を探ろうと、辺りを見回してみるけど、別段変わったことは無い。何なのだろう……?

その原因は直ぐに知ることが出来た。

「ちょっと待って、私これ食べるの!? 本当に!?」

火神が何か文句を垂れている。よく見てみると、審査員席にイノシシの丸焼きが鎮座していた。5体も。そんなの誰が作ったんだよ!? え? ちょ、ワイルドだな~。

「というか、こんなの食材に無かったよね!?」

火神の文句は続いている。というか、もっともな文句だった。だって、俺の知る限り、捌いてある肉しか無かったわけで、あんな剥製の様な見たまんまの動物は無かったのだ。

「あん? それは、俺が昨日狩ってきたんだよ」

雷神が平然と答えた。つか、制作者お前かよ!? 気象部、料理大丈夫か!? 風神の『毒物』に、雷神の『丸焼き』。雨神の料理スキルを持ってしても+-0ってとこだぞ? でも何故だ? 何故他の審査員から文句が上がらない?

「って、みんなどん引きしてる~~」

このギャグ展開について行けない天界の皆様がそこにいた。創造神様を筆頭に皆さん唖然とした表情で凍り付いている。まあ、そうだよな。流石に、こんな手抜き料理が『料理対決』で出てくるなんて、誰も予想だにしないよな。

「き、気を取り直して試食してみましょう!」

「ああ、お願いする。皮を剥いて食してくれ」

みんな皮より目を剥いてるよ! だが、各審査員がおそるおそる肉を口に運ぶ。

「「「「「んま~~~~~~~~~~~~~~~」」」」」

「旨いのかよ!!」

「美味しい。美味しいです。ワイルドな見た目に寄らず、あっさりとしていて、且つ、口の中でとろけるように肉汁がジワァァと湧き出てきます~」

あんだけ文句言ってた火神が手のひらを返した。

どれ。と、手を伸ばそうとしたが、審査員以外は触れるなと怒られてしまった。

その後はつつがなく審査が進……まなかったんだよ。そう、良い意味で雨神の事を忘れていた。

「こ、これは!」

食物の神様が唸った。それもそのはず、そこには豪華絢爛と称す事しかできない、フレンチのフルコースが並んでいたのである。しかも、五人分。飴細工や、ソースのかけ方一つにおいても、非の打ち所がない、完璧な料理。こいつを『雨』の神様に留めておくことに、とてつもなく惜しい気がしてきた。だが、

「ん? フォアグラなんてあったか?」

創造神様が疑問の声を上げる。

「あ、それなら、今朝人間界まで買いに行ったんです」

何だよ!? 雷神と言い、こいつと言い、みんな自由かよ! フリーダムなんですか!? え? こちとら、あるものだけで作ったんだぞ!?

雨神の料理──作品を口にした審査員の面々が恍惚とした表情を浮かべている。

「わた、私、こんなの生まれて初めて食べるよ! うま~~~~~~~~」

火神に関してはもう泣いていた。号泣していた。そ、そんなに旨いのか? 唾をゴクリと飲んでみたが、それが俺の口に入ることは、万に一つも無いのだった。


その後は、やっと、平穏な、ツッコミを入れなくて良い時間が過ぎていった。ただ、俺を含め、雨神の圧倒的料理に圧倒された神々は既に諦めモード。お通夜の参列者のごとき料理人の顔は、自身の努力が水の泡となってしまった事を物語っていた。


「「結果発表~~~」」

「の、前に!」

「優勝賞品発表~」

「賞品は~?」

「人間世界の番組が見放題の! 47インチTVだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ」

うおおおおおおおおおおおおお! と、会場が沸く。これは……。欲しい!

「それでは、審査員代表『創造神様』壇上へどうぞ」

火神の指示に従い、創造神様が壇上へ上がっていく。そして、重々しく口を開いたのだった。

「え~……

誰もが雨神の勝利を確信していた。いや、正確には1人──雷神だけは期待を持った顔をしていた。

……優勝は! 雷神です!」

「ふっ! やっぱりな」

「ど、どういうことだよ雷神!? お前、何か事情を知ってるんだろ!? 話せよ」

「……水神よ、まだ分からないのか?」

「は?」

「見た目の奇抜さ、そしてそこに持たれる味への不安、恐れ。それを覆す味。このホップ・ステップ・ジャンプこそ! この! 対決の! 鍵だったんだよ!」

ばっばーんと、ちゃちなSEが鳴ったような気がした。

「な、なにい!?」

「くそっ! 私としたことが、優等生な振る舞いばかりに気をとられて、マニュアル通りの事しか出来なかったんだわ」

雨神がガチで落ち込んでいる。いや、これ、そういう小説じゃないんだけど。つか、優等生は雨降らせないよ? うん。

「私、修行し直してくるわ~~~~~~~~~~~~」

叫びながら、闘技場を飛び出して行く雨神。

いや、本当に何の話だよ。一応「な、なにい!?」とか合わせてはみたけどさ、置いてけぼり感が否めないよね。


あ、因みに、俺のカレーは4位でした。地神のドリアが3位であとはドングリの背比べです。

でも。ま、こんな平穏が続けば良いなぁって思うわけで。俺は俺なりに今を楽しんでいるのだった。

END


暴走紅茶復帰第一作!

水神が、神官連合の代表として決意を新たにするお話は、次回から始まります。次回から、第二章に突入する予定です。よろしくお願いします。

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