第6題目!!!!!!
ここは世界の上空『スカイ・キャッスル』ここでは神々が日々人界について話し合っている
ある日の会議前
「なあ、ぜんち全能」
「ん~? 何~」
「金剛神って何処に行っちゃったんだ?」
「ん~? 知らないよ~」
その日の会議後
「水神! あのさ、悪いけどこの荷物地下闘技場まで運んどいてくれな いかい?」
そう木神に頼まれた俺は渋々闘技場へ向かった。そこは、大晦日にパーティーをした場所で、パーティー以外の時ではそこかしこに血飛沫が飛び散っている殺伐としたトレーニングルームだった。
そこには、神が仮倉庫としている個室がある。そこに俺は向かっていた。
「ん?……。だれも居ないよな……。」
何かは分からないが、魔力を感じる……。
俺は両手が荷物で塞がっていたので、足で軽く蹴って扉を開けた。
「ん? なんだ? これ……。魔方陣……。?」
そこには紫色に輝く魔方円が展開されていた。
俺は荷物を足元に置くとそっと近付いた。
「んー? 術式的には転移系だよな……。」
自分の魔力を少しだけ流し込んで術式を読み取る。すると
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
引きずり込まれた
ここは……。どこだ?
誰かに見つかる危険性があるので心の中で思うだけにしといた。
奥から話し声が聞こえてくる
「やめ……いい……だ……れ…………。」
ん?よく聞こえない
気配を絶つ
もう一歩近付く
もう一歩
「ジャリッ」
「誰だっ?」
咄嗟に体を霧に変える魔法『霧散』を発動し、姿を消す
「誰だっ? 姿を表せ! 『エンド・スペル!』」
そ、それはっ……。
「全知全能の魔法だろっっ」
目を剥く。
魔法を終わらせる呪文で、無理矢理体に実体が戻ってくる感覚に酔う。
クラクラするが、両足でしっかり体を支える。
「水神か……。ここで何をやっている?」
「あんた、本当に……。全知かよ……。いつもと口調が違いすぎるぞ……。」
「話をそらすな。ここで何をしていた? 何を見た?」
だんだん酔いが覚めてくる
「あんたこそ何やってたんだよ? やましいことか? 焦ってるぞ」
全知の顔にはあからさまに焦りの表情が浮かんでいる。
「焦ってなどおらぬ! 貴様は何をしていた? そう聞いておるだけだ」
そっと魔力を練る
そっと隣戦体制を取る
「何って? あーそうだな……。」
大きく一拍おく
「何か聞いちゃったかもな!」
そう言うと素早く霧散を使い霧になり、全知全能の向こう側に移動する。
「んなっ! そ、そっちには行ってはならぬっ」
焦る全知全能。
そのまま走る。体をゆっくり元に戻しながら走る。
「こ、これ……。は」
そこには十字架に磔られた一人の女性が居た──────それは写真で見た金剛神と瓜二つだった。
「だ……れ?」
掠れながらも凛と透き通った声。
「水を統べし物、三代目水神でございます。あなたは、金剛神様とお見受けいたしますが、合っておりますか?」
「はい」
潰れてはいたが、しっかりと聞き取れた。そして、ここで酷い目に会ってきたことにも気付いた。
「全知全能にやられたのですか?」
「はい」
肯定。
さっき、ついさっき俺に知らないと言ってのけたのに!
頭に血が登った。
水が沸騰した。
「全知全能ぉぉぉぉぉぉぉおおおおお」
右手に魔力を集めて水のパンチググローブを作る。それを思い切り振りかざし、こちらへ走ってくる全知全能に叩き込む。
「……」
全知全能が右手をすぅっと振る
無言詠唱。
言葉を発さずに術式だけを書き、魔法を使う高等技術。言葉を発さないからイメージが掴みにくく、長い修行を要する術。
全知全能はそれを使った。
「グッ」
重たい空気の固まりが俺の右手を払う。右へ体が持ってかれそうになるが、踏みとどまり、再び魔力を練る。
「『水の芸術・水竜!(ウォーターアート・ウォータードラゴン!)』」
俺が両手を降り下げると、背後から水で作られた竜が姿を表す。水竜がそのまま全知全能へ突進していく。
全知全能左手をスッと下へ降り下げると水竜がビタンと床に叩きつけられ、ビチャンと、水が飛び散るのと、俺の鳩尾に空気が飛び込んでくるのは同時のことだった。
「グボッ」
胃酸が口から飛び出る。
流石に全知全能……。強いな……。たった1発なのに体には大きなダメージが蓄積されていた。
「はぁはぁ」
「もう息が上がったのか。弱いなおまえ」
「ふざ……けんなよ」
「何を?」
「これはどういう事だ?」
後ろを親指で指して怒鳴る。
「そいつか……? ここの動力だ」
「は?」
「金剛神はな。深い傷を負うと、大きな魔力を吐き出す。それを利用したってだけだ」
「嘘だろ……」
「嘘なもんか」
「というか。俺にそこまで言っちゃって良いのか?」
「構わんよ? だって、お前はここで死んで、朽ちるだけだしな」
「ふざけんな!」
「甘い!!」
水人形に喋らせ、自分は霧散を使い、背後に回り込んでいたのに、気付かれた。
ただ、肘鉄をくらい、倒れ込む時、咄嗟に水が爆散する爆弾を放った。
「ドカン!」
全知全能が仰け反る。
「き、さまぁあ!!」
ドールを置いて霧散する。一発で壊れないように、魔力を練り続ける。上手い具合にドールが殴られ続けている。
正直、魔力を練り続けるのはきついけど……。俺は金剛神の足下に着くやいなや、地を蹴り、体を実体化させ、同時に刀を水で作り、金剛神を縛っている紐を切り裂いた。
ドールが消滅するのと、金剛神が床に落ちるのは同時だった。
「何やってるんだ!?」
「これで、金剛神は自由だ!!」
「きさまぁ! 何て事を!」
「は? 分けわかんねえよお前」
全知の方へ振り返ると、既に目の前に迫って来ていた。
「んな!?」
瞬時に全知から強烈なフックが脇腹に迫る。
くそ……ドールは……流石にばれるか。霧散は……クッ間にあわねぇ……。
重たいフックが決まり、金剛神の上に重なる様に吹き飛ぶ。
「馬鹿なやつめ……。魔法陣に近づかなければ良いものを……。悪いな水神。ここで終わりだ」
もの凄い魔力の渦が全知から上がる。
力を練っているのかゆっくりと近付いてくる。
もう駄目か……。そう思ったとき
「み……ず神……。私の手を……。握って……」
下からかすれた声が聞こえた。
「でもそれじゃ……俺も貴方を苦しめてしまう!」
「構わないから……さあ!」
さあ! の声に背中をグッと押された俺は思いっきり彼女の手を握る。
刹那自分の中から、全知に負けない程の魔力の渦が巻き起こった。
「なんだ……? この力は……?」
「そう……。それが貴方の真の姿なのね……」
「ありがとうございます」
俺はそっと言うと、全知の方へ向き直り、キッと前方を睨む。
「お前……。その力は……水伯様……」
「水伯? 知らねぇが、これで対等だぜ!」
俺が水の刀で斬りかかる
全知が右手に力を集め、パリィする
そのまま左手でパンチが来るが、それをドールに当てさせ、自分は霧散で背後に回る
背後から殴りかかるも、全知が気付き、瞬間移動したため、不発に終わった
一度、俺と全知の間に隙間が出来る
俺はありったけの魔力を練った
そして叫ぶ
「水の芸術!!! 無慈悲に舞う数千の剣!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺の目の前に巨大な魔法陣が四枚重なる様に展開する
そこから何千もの剣が全知に向かって飛翔する
特に決まったイメージを作らなかったためか、大小様々なサイズの剣が飛んでいった
「ぐおぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ」
血だらけになった全知ががくりと倒れる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
地面が揺れ出した
「いけない! ここが落ちてしまう!」
「え? ど、どうすれば……」
「あそこ! 私が居た十字架に何か魔法をぶつけて!!」
「は、はい!」
俺は残っている微かな魔力を全力で練って、十字架にぶつける
揺れは収まり、俺の意識も飛んだ
~数時間後~
目を覚ましたら、俺と、金剛神と、全知が川の字に並べられたベッドの上で寝かされていた。
「あ、起きたんだ」
「ああ。はい。」
「おはよう」
この抑揚のない話し方をしているのは衛生保険部の天使。年齢も性格も全く知らない。
「何があったんです?」
「私のが聞きたい」
「まあ、そうでしょうね」
瞬間扉がバァァァァァアアアアンと、開け放たれた。
「よかたぁ! 水神ぃ! 目をさましたんだねぇ」
「き、木神さん!? なんで?」
「なんで? って。なかなか帰ってない貴方を心配して、見に行ったら分けの分かんない術式が敷いてあって、中に入ったら三人も倒れてて、それで、私が貴方達をここへはこんだのよぉ?」
「そうなんですか。有り難う御座います」
「いいのよぉ。お礼何てぇ。それよりさあ、何があったの?あそこで」
俺は事の始終を木神に話した。
「なるほどねえ」
「なるほどって。そんだけですか?」
「まあ、全知が何かを隠してたのはぁ、気が付いてたしねぇ」
「そうなんですか……」
「まあ、このことを公表するかどうかと、この先、ここをどうするかはあんたが決めなさいよ? 水神ぃ?」
「え?」
「だって、貴方が倒したんでしょぉ? 全知を。なら、貴方がここのトップじゃない」
「そ、そうなるんですか……?」
「なるのよぉ~」
うう……。困ったな……。そこまで考えてないや……
「また後日お話します」
「うん。わかったわぁ。水神の決意、たのしみにしてるわねぇ」
「ははははは……」
「じゃあ、もう少し、やすみなさな」
「はい。有り難う御座いました」
俺は、これからどうするかを考えている内に眠ってしまった──
第6第─完─
どうも~暴走してる人です~
えーと。一応ここで、第一部『全知編』が完結です。
この先は色々と構想を練ってるんですが、いまいち纏まらないので、また更新が先になると思います。また、待ってて下さいね!
絶対次話投稿しますので!!