☆七話☆
私は浜辺を歩いていた。
身体はとても軽い。
だけど心はとても重い。
なのにため息をつくことすらも出来ない。
私は途方にくれていた。
「にゃにゃあ~。」
(なんで猫に...)
こうなったのはすべて姉様の勘違いのせいである。
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陸まで泳ぎました。泳ぎきりましたとも。死ぬかと思ったさ。ハハハ・・・
...笑えませんね。
取り敢えず、王子様は陸に放置してきましたがなにか?
陸に上がった後まで面倒見る気はありませんからね。
しかし、人助けというのは気持ちがいいですね。気分爽快です。
私が人助けをした満足感に浸りながら海の底の城に帰っていると、
「見てたわよ。」
後ろから声をかけられた。この声は...と振り返ると私の3番目のお姉様、リュナ姉様がいた。
「見たって何を?」
私が恐る恐る尋ねると、
「貴女が人間を助けるところ。」
「見られちゃいましたか。」
心の中で姉様ストーカー?とか思ったけど、口には出しません。私は空気を読める子ですからね。でも顔には全力で出しました。
「可愛い妹が心配だったから。」
姉様は笑顔で言いました。
・・・どうやら、姉様は表情を読めない子のようです。
「そんなことより」
そんなこと?妹のストーカーをすることはそんなことですか?
いえいえ、ここは我慢です。私は我慢強い子です。姉様にツッコミを入れて、話のこしを折ることなどしません。
「貴女、あの人間に一目惚れしたのでしょう?」
...今、何と?
それが顔に出ているのに気づいたのだろう。
「だから、あの人間に一目惚れしたのでしょう?」
...ちょっと待て。今、私の表情に気づいたのならさっきの姉様ストーカー?っていう私の顔にも気づいていたよね?
いや、今気にすべきところはそこじゃなくて......。
「そんなことある訳ないじゃないですか!!」
ありえないだろう。なに、その勘違い。ジョーク?ジョークなの?全く笑えねえよ。
「そんなに照れなくてもいいのよ?」
照れじゃないです。マジです。
「だから、 「大丈夫!!私が何とかしてあげるわ。」
人の話は最後まで聞け。
「いや、だから 「大丈夫!大丈夫!!さあ、行きましょう。」
大丈夫じゃない。大丈夫じゃないから。ほんとに。全然。
「あの、どこへ?」
しかし、何回誤解だと言っても全く姉様は聞く耳を持たないので、姉様の誤解を解くのは諦めた。まあ、なるようになるだろう。
・・・私は、この後ものすごい後悔をすることになる。この時姉様の誤解を解いておくべきだったと。
私は、海の底の城から少し離れたところに住んでいる魔女のところに連れて行かれた。
この魔女は、病気になた時はいつもお世話になった魔女で、何千年も生きているらしい。
見た目は20前後くらいだが、実際のところ何歳なんだろうか?
「おぬしらは何故ここに来たのじゃ?」
魔女がしわがれた声で尋ねた。...声はきっと年齢通りなのだろう。
「魔女様、実は 「知っておる。妾は知っておるぞ。ぬしの妹を人間にしたいのじゃろう?」
魔女が姉様の言葉を遮った。知っているのなら聞くなよとか思っても口には出しませんよ?私は、魔女相手にそんなことをいう勇気は持ち合わせていない子ですからね。
とか、考えていたら急に眩い光に包まれた。そこで私の意識は途絶えた。
次から猫ちゃん編です。