☆十話☆
お久しぶりです。
「あれ?」
男の人の声が聞こえました。なんと言うか、ものすごい美声です。はっきり言って好みど真ん中、どストライクでした。ご馳走さまです!!
...じゃ、なくて!!
どうする?どうしよう?どうしましょう!?
どう考えても、この部屋の主さんですよね!?
そして、私は不法侵入した猫ちゃんです。
今、明らかに部屋の異変に気づいた風でしたよね?
このままでは、確実に見つかってしまいますね。見つかって、追い出された後私はどうしたらよいのでしょうか?
前世は猫ではなかったので、猫としてどう生きれば良いのか分かりません。かといって、海に戻るなんてあり得ません。
こうなった原因であるあのクソババアとリュナ姉様の顔なんて見たくありませんからね。
取り敢えず、誰かに飼ってもらえるように一生懸命媚びを売るほかありませんね。
と、言うものの媚びってどう売ればよいのでしょうか?可愛らしくすりよればよいのでしょうか?
そもそも...「うにゃっ!?」
私がこれからの事を考えるのに夢中になっていると、突然私が隠れていた布団が剥がされたのです。
私がびっくりして顔を上げると、私が猫になった発端である、あの時私が助けた王子様がいました。
「見つけた。」
惚れ惚れするような美声で王子様は、どこか嬉しそうに言いました。
って、え?王子様?
じゃあ、ここは王宮?
どうやら、猫でも冷や汗ってかけるようです。心なしか背中が湿っている気がします。
いくら猫でも、王宮への不法侵入は許されない気がします。
「布団をかけて寝かせておいたら、そんなところまで潜ってしまうなんて...。君は余程寝相が悪いんだね。」
私の焦りを余所にそう言って王子様はくすくす笑いました。
そんなに寝相は悪くありませんっ!!これは自分の意思で隠れる為に潜っただけで、決して寝相とは関係な...
って、ちょっと待て?
今、王子様はなんと言った?
布団をかけたとか言ってなかったか?
つまり、私をここに連れてきたのは王子様?
どうして、王子様は私を連れて来たの?
私は、一体どこから連れて来られたの?
それとも、無意識の内に私が勝手に入って来たのを保護してくれたの?
たくさんの疑問が浮かび上がりました。しかし、今や猫の身である私に問いかける術はありません。
私は、何か分からないかと、王子様の顔をまじまじと見ました。
すると、王子様は私の視線に気がついたのか、私に手を伸ばし、私を抱き上げ微笑み、
「君の名前は?どこから来たの?」
と言いました。
・・・猫に話しかけるなんてコイツ頭大丈夫か?
なんて
思った私はきっと悪くないに違いありません。
猫は、汗なんてかけませんので、もちろん冷や汗は主人公の勘違いです。




