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ゴーレムマイスター  作者: 駁目師走
第零章 プロローグ
6/14

005

活動報告にも書きましたが、許されない事とは知りつつも主人公の名称を変更。

変更前『豆粒小僧』

変更後『ビーン』

変更前からお読み下さっている方には大変申し訳ございますが、ご理解の程よろしくお願いします。



 友達ができたと思って舞い上がっていたのかもしれない。

 ログアウト不能とはいえ、VRの世界だからと気が大きくなっていたのかもしれない。

 とにもかくにも僕は失敗した。

 マテリアルを怒らせてしまった。

 僕はエインヘリャルを後にしたその足でいつものアウベールの門前の所定位置でゴーレムの帰りをまっていた。


「やっぱりこれじゃあ……いけないんだ……」

 帰ってきたゴーレムを出迎え、街の外に足を踏み出す。

アウベール周辺でいくら狩りをしたところですぐに限界が見えてくる。

 攻略掲示板でもレベル3までがいいところ、と言われる狩場なのだから、すでにレベル5の僕がいてもこの先どんどん効率の悪さに嘆くことになるだろう。

 そしてそれよりも僕の心を、身体を動かしたのはマテリアルの一言。

 

 「この世界と自分を見つめ直す」


 そうする為にはいつまでも安全なところに一人隠れていてはだめなのだ。

 そんな気がした。


 ふわりとした草の感触が仮想の身体に伝わる。

 体感システムを追求した、このマイスターズというゲームは本当に素晴らしい。

 ログアウト不能にならなければ、だが。


 僕が向かった先はアウベール前方に広がる草原の奥、イージーラビット以外のモンスターが生息する場所だ。

 小高い丘の上に立ち、敵を探す。

 身長の低い、子鬼のようなモンスター。

 掲示板で名前が上がっていたゴブリンとはあのモンスターの事だろう。

 一体のゴーレムを先行させ、もう一体のゴーレムを残す。

 先行させたゴーレムには「対象へと近寄れ」「防御に徹しろ」「対象が死亡した場合アイテムを拾って来い」と支持を出す。

 ゴーレムがゴブリンとの戦闘に入ったところで、僕は九十七式改を構える。

 そして傍に残したゴーレムへと指示を送った。

「僕が握る銃をしっかりと抑えつけろ。射撃終了後、リロード動作中は第一の命令を一時解除。そして万が一、僕に敵が近づいてきた場合には身を挺して守れ」

 ゴーレムの瞳に青い光が宿り、命令したとおり九十七式改を上からがっしりと抑えつける。

 僕は銃身を頬に当て、スコープからゴブリンを覗く。

 ゴーレムに猛攻を仕掛けるゴブリンの動きは早く、中々照準が定まらない。


 一度目からスコープを離し、大きく深呼吸をする。

 そうしてももう一度照準を合わせ、トリガーを引き絞った。

 銃口が火を吹き、手に強烈な痺れが走る。

 僕が放った銃弾は見事ゴブリンへと命中し、ゴブリンは声を上げる暇なく、爆散した。

 すぐさま次弾を装填して僕は一応射撃体制を取った。

 スコープを覗きながら周囲を見渡し、銃声により寄って来る敵モンスターの強襲を警戒しながら、傍にいるゴーレムに「一番と二番の命令解除。三番の命令を遂行」と指示を出してから、僕は九十七式改を傍に横たえ、痺れの残る手を握り締めた。

 初めて敵を撃破した感触。

 ほんの少し、強くなれた気がして、僕は握り締めた拳を高らかに掲げた。


 先行させていたゴーレムがやがて僕の元へとアイテムを持って戻ってくる。

 拾ってきたのは『12銅貨』と『くず鉄』だった。

 僕のそばに控えさせていたゴーレムに持たせたアイテム袋へと取得したアイテムをしまい、僕はブックを開く。


 レベルが上がった感覚があったからだ。

 最初はいまいちわからなかったが、レベルが上がったり、スキルレベルが上昇したりする時、身体に妙な高揚感が湧き上がるのだ。背筋がゾクゾクするような独特の感覚である。

 派手なファンファーレとかがお約束だと思うが、リアリティを追求すると謳っているゲームだけあり、それは忌避したのだろう。


 ブックを開くとレベルアップを告げる告知と新スキル習得の告知が書かれていた。

 とりあえずSPをSTRに振り分ける。

 初期値8のSTRは九十七式改を装備するとステータス補正で0になり、満足に道具を持つ事もできない。少しくらいは上げておかなければ。

 そうして習得したスキルを確認する。


 パッシブスキル:射撃技術Ⅰ

 効果:射撃技術が上達する。DEX+2

 パッシブスキル:狙撃技術Ⅰ

 効果:狙撃技術が上達する。射程補正+10


 これは掲示板でも見たことがある。

 使用した武器によって習得する『使用武器スキル』というやつだ。

 射程は銃弾の飛距離というより、スコープの倍率に影響するようで、現在は約50メートルほどの射程があるようだ。

 射程補正というのは隠しステータスだろう、+10で何メートル射程が伸びるのかまではわからない。


 それから日が暮れて最大射程付近のモンスターが闇に溶け込み見えづらくなった頃、僕は狩りをやめて、アウベールへと戻った。

 射撃練習がてら、最初の一匹目を倒した時と同様に一体のゴーレムを引きつけ役、もう一体のゴーレムを発射台として繰り返すことで、九十七式改の特性は大体掴めてきた。

 まずはゴーレムに抑えつけさせる――発射台とすることで、僕に反動ダメージはほとんどない事。

 リロードも弾を込め直し、再度照準を合わせるまで、慣れもあるのだろうが五秒程度で行うことができる。

 そして特筆すべきは命中率の高さ、当然ながら狙撃技術などもとよりない僕でも百発百中の精度を誇った。

 だからこそ僕には反動さえ除けば有用な武器に思え、何故不遇と言われるのかが理解できなかった。

 とアウベールにつき、弾丸購入ついでに寄ったイーグルのもとでそんな風に使用感を伝えた。


「……ほぅ、下僕を利用した反動制御か。興味深いな」

 関心した様子で頷くイーグル。

「まぁそんな攻略法があったのは驚きだが、お前が反動ダメージを感じないという事は、そのゴーレム自体のSTR値が100を超えているってことなんだよ。はっきり言って驚異的な数値だ」

 何故そんな話になるのかわからない。

 僕が首を傾げると、イーグルが「いいか?」と前置きして続けた。

「話では反動ダメージの計算式は単純で、DEX値の二倍のSTR値があれば、反動を抑えきれるとの検証結果が出ている。つまりだ、スナイパーライフルを装備してのDEX値が20ならば、STRが40以上あれば、反動を抑えつけられるってことだ。だがな――」

 続けようとしたイーグルの言葉を答えのわかった僕が遮る。

「つまり、そんなにSTRに極振りするなら普通に近接戦闘用の武器を使ったほうがいい……って事ですね」

「まぁそういう事だ。射程距離はスナイパーライフルに勝るものはないが、遠距離武器は他にも沢山ある。銃をどうしても使いたいとしてもスナイパーライフル以外の銃器は真っ当な武器だから、そっちを使えばいい。まぁ俺は狙撃手好きだから、ってポリシーがあるからスナイパーライフルしか作らないんだけどな」

 雑談を終えた僕が帰ろうとした時、イーグルが僕を制止した。

「――ゴブリンを狩りしてたんだよな? それならくず鉄を持ってないか?」

 くず鉄ならば大量にある。

 ゴブリンは毎回くず鉄と銅貨を落とす。たまに『持続回復ポーション』も落とす。

「持っていますよ……」

「売ってくれないか? しばらくゴブリンを狩るなら集まったくず鉄も俺のところに持ってきてくれないか?」

「いいですよ、差し上げます……。色々教えてもらえたので……」

 生産職でもなく、買い取ってくれるつても特にない僕は了承し、くず鉄をイーグルの前に置いて、宿屋へと戻った。


【ステータスページ】

 ネーム:ビーン

 種族:妖精族

 クラス:ゴーレムサマナー

 レベル:7

 スキル:土人形錬成Ⅵ

 パッシブスキル:傀儡技術Ⅶ

         射撃技術Ⅲ DEX+8

         狙撃技術Ⅲ 射程補正+30

         複眼

 両手:九十七式改 DEX+40 STR-8

 武器オプション:一撃必中 反動ダメージ極大化 命中阻害極小化   

 銅:ラビットウェア VIT+13 AGI+7

 足:ラビットシューズ VIT+6 AGI+7

 セット効果:ラビットエスケープ AGI+5

 耳:傀儡師のピアス SPI+3

 指:なし

 首:なし

 所持金:522銅貨


 ステータス:

 STR14-8  (6)

 VIT21+19 (40)

 INT15   (15)

 SPI22+3  (25)

 AGI12+19 (31)

 DEX13+40+8(61)



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