第5話:転入生
あれから一週間が経った…。
あの日龍斗は私に、またな。と言い残し去って行った。
私は龍斗の事は何も知らない…。
私の前世での恋人だという事と名前位しか…。
またな。と言われても会える気がしない…。
そんな事ばかり考えては溜め息ばかり…。
和志
「京香!!また溜め息か??」
目を開けると目の前に和志の顔があった。
私はビックリしてイスごと後ろへと倒れてしまった。
京香
「いったぁ〜…」
和志
「京香大丈夫かっ?」
私は起き上がると心配そうな和志を見た。
京香
「もうっ!急に目の前に現れないでよね!」
和志
「京香本当にゴメン…そんなに驚くとは思ってなかったから…」
凹む和志を見て私は思わず吹き出してしまった。
京香
「もういいよ。」
和志
「人の顔見て笑うなよな。」
少しいじけた和志を見て可愛くてしかたなかった。
その時始業を告げるチャイムがなった。
和志はまた後でな…と言って自分の席へと戻って行った。
まだざわめく教室に担任が入って来る。
いつもは挨拶をしてすぐ授業が始まるのだが担任の後ろをついてもう一人教室へと入ってきた…。
先生
「静かに〜」
担任は教卓の前に立つとざわめく生徒達を静めた。
先生
「今日はまず転入生を紹介する。」
生徒達は一斉に転入生の方へと視線をやる。
先生
「家庭の事情で急遽この学校に転入してきた『神田 龍斗』君だ皆仲良くしろよ〜」
女子からは悲鳴のような歓喜の声があがった。
龍斗
「神田 龍斗です。分からない事もあると思うので皆さん色々と教えて下さい。お願いします。」
私は目を疑った。
もう二度と会えないと思っていた前世の恋人が再び私の目の前に現れたのだから…。