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第4話:前世と現世

私はルーツの攻撃からアースを守り負傷してしまった。


そして、意識を失う瞬間、全てを思い出した…。


キャナがどれだけアースの事を愛していたのか…。


二人の幸せな日々…。


キャナの大切な物が壊され、崩れてゆく瞬間…。


キャナが最後にどうしても伝えたかった言葉…アースに伝えられて良かった。


私、このまま死んじゃうのかな?

アースに再び出会えたのに…。


また彼を悲しませてしまう…。

二度と悲しませたくはなかったのに。


戻りたい…彼の元へ。




私は真っ白な世界に浮かんでいた。


京香

「ここは、どこ…?私は死んじゃったの?」


??

「安心して下さい。ここは、あなたの精神世界。まだ死んではいませんよ。」


京香

「誰!?どこにいるの!?」


私は辺りを見回しながら叫んだ…。

すると、目の前に一人の女性が現れた。


??

「私は前世のあなたよ。誰だか、分かる?」


京香

「キャナ…姫?」


目の前に現れたのはキャナ姫だった。


キャナ

「はじめまして。京香。」


ニッコリと微笑んだ。


キャナ

「こうしてお話するのも、姿を見せるのも、これが初めてね?ずっと話していたいけど、あなたはもう戻らないとね。」


京香

「戻るって、どうやって?」


キャナ

「耳を澄ましてみて?」


京香

「えっ…?」


キャナ

「ほらっ!早く。」


私はキャナ姫に言われた通りに耳を澄ましてみた。


キャナ

「何か聞こえない?」


京香

「…!何か聞こえる。声…?」


遠くから誰かの声が聞こえてくる。


キャナ

「アースがあなたを呼ぶ声よ。あの声を標にあなたは現世へ戻りなさい。」


京香

「キャナ姫…ありがとう。一つ聞いていい?」


キャナ

「何?」


京香

「あなたは、今でもアースの事を愛してる?」


キャナ

「今でも、愛してるわ。」


愛してると言うキャナ姫の顔は少しだけ淋しそうだった。


キャナ

「さぁ…早く行きなさい。」


京香

「うん!またね?キャナ姫。」


キャナ

「アースをよろしくね。京香」


私は声の聞こえる方へと歩き出した。


私を呼ぶ声は次第に大きくなっていく。


そして私は光りに包まれた。



龍斗

「京香!目を覚ましてくれ!京香!」


私は目を開けた。

現世に戻って来たのだ。


京香

「龍斗…。」


龍斗

「良かった…目を覚まして。」


私は起き上がった。


そこはまだ、学校の保健室だった。


京香

「ここは、保健室?」


龍斗

「あぁ…京香は俺を守って、傷を負ったんだ。そして、そのまま意識を無くしたんだ…」


京香

「そういえば…。あれ…?」


私は怪我したはずの背中に手をあてた。


京香

「傷がなくなってる…?」


龍斗

「俺が魔法で治したんだ。」


私の背中の怪我は跡形も無く消えていた。


京香

「スゴイ…」


龍斗

「ごめんな…俺のせいで…。」


龍斗の目には涙が浮かんでいた…。


京香

「えっ…?ヤダッ!気にしないでよ〜!私が好きでした事なんだし?」


私は龍斗にハンカチを手渡した。


龍斗

「ありがとな。」


京香

「うん!でも…魔法で傷が治せるならなんで前世でもやらなかったの?」


私は疑問に思った事をを龍斗に聞いてみた。


龍斗は前世の事を話してくれた。


前世で龍斗は魔法が苦手で剣しか使えなかった事、あの事件の後、自分が魔法を使えればキャナを助けられたと後悔した事。


そして、二度と同じ過ちを繰り返さないために魔法を必死で勉強した事。


普通なら納得いかない事ばかりだけど、なぜか納得出来てしまう…。


あっ!龍斗はやっぱり今でも魔法は苦手みたいだけどね?


色々と話してたら、いつの間にかもう夕方になっていた。


帰りは龍斗の話しの続きを聞きながら帰った。


いつもは長く感じる道が、今日は短く感じた。


京香

「送ってくれてありがとう。」


龍斗

「京香…今日は本当にごめんな。」


京香

「もういいって。」


申し訳なさそうな龍斗に私は笑顔で答えた。


京香

「龍斗。話しもまだ聞きたいし…家に寄ってく?」


龍斗

「悪い。俺、帰ってやる事があるから今日は遠慮しとく。」


京香

「そっか…用事があるなら仕方ないね。」


龍斗

「また今度な?それじゃ…またな。」


そういって龍斗は帰って行った。


今日は本当に不思議な出来事ばかりだったな…。




この時はまだこの先、様々な悲しくも辛い試練が待っていようとは夢にも思っていなかった。

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