第3話:前世との再会
アースは敵国の兵士へとただ一人立ち向かって行った。
愛する姫を守るために…。
どれくらい時間がたったのだろうか…。敵国の兵士は倒しても次から次へと溢れ出て来た。
さすがのアースも疲労が徐々に見えはじめていた時の事だった…。
キャナ姫
「アースっ危ないっ!!」
ザンッ!!!
アース
「…………!!!!キャナーッ!!!」
アースは後ろから襲って来た兵士に気付かなかった…。
そしてキャナはアースを敵国の兵士の攻撃から守ったのだ。
アース
「キャナ…キャナッ!!しっかりしろ!!」
キャナは目を開けた…。
声がでない…。
キャナは最後の力を振り絞ってアースの頬に触れて笑いかけた。
真っ赤に染まった空…。
大好きな街が燃えている…。
血の臭い…。
大好きな人達が殺されてゆく…。
背中に走る激痛…。
目の前には愛するナイト…アース…。
彼に包み込まれる安心感…。
彼が泣いている…。
彼の涙を止めてあげたい…。
でも…声が出ない…。
自由に動かない身体…。
最後の力を振り絞って腕をあげ彼の頬に触れた…。
意識が遠のく…。
彼に伝えたい事があるのに…。
もう少しだけ時間が欲しい…。
目の前が暗くなる…。
−−−現実
私は目を覚ました。
京香
「ここは…」
男
「保健室だよ。」
京香
「あなたは…?」
男
「俺は龍斗」
京香
「あっ…私は京香。あなたがここまで運んでくれたの??」
龍斗
「ああ…。俺はお前を守ると約束したからな…。」
京香
「えっ…?」
龍斗
「俺はアースだよ。キャナ…」
京香
「アース…?」
龍斗
「そうだよ。前世で俺は君と約束した。」
京香
「約束?前世で…?」
龍斗
「何十年でも何百年でも生まれ変わって必ず君を守ると…。」
京香
「……」
龍斗
「まだ記憶が混乱しているんだな…。ゆっくり思い出せばいい。」
京香
「龍斗さん」
龍斗
「呼び捨てでいい。さっ…少し寝ろ…」
その時…
ガシャーン!!
窓ガラスが割れると同時に一人の男が入って来た。
京香
「キャーッ!!」
龍斗
「キャナ!!」
ルーツ
「キャナ姫お久しぶりです。私はルーツと申します。キャナ姫をお迎えにあがりました。」
京香
「迎え?」
ルーツ
「はい。我が王のもとへ…」
京香
「私はそんな人知らないし、そんな知り合いもいないわよ!!」
ルーツ
「まだ前世の記憶が戻られてないのですか?王はあなたの旦那様になるお方…。知らないはずがございません。」
京香
「前世なんか知らないわよ!!」
ルーツ
「まぁ…よいでしょう。王のもとに行けばきっと思い出します。」
京香
「そんな人の所に行くわけないでしょ!」
ルーツ
「あなたが何と言おうとも王のもとへお連れします。」
龍斗
「待て!!俺がキャナを連れて行かせない!!」
ルーツ
「お前は…アース!?」
龍斗
「久しぶりだな。ルーツ。」
ルーツ
「貴様もこの世界に生まれ変わっていたのか!?」
龍斗
「当たり前だろ?キャナは俺が守る!!連れては行かせない!!」
ルーツ
「ならば貴様を殺して連れていくまでだ!!」
二人は剣を抜いた…。
剣のぶつかり合う音…。
記憶が甦る…。
ルーツ
「剣の腕が落ちたのではないか??アース。」
龍斗
「久しぶりだからかもな…」
一瞬の隙をついてルーツが攻撃を仕掛けてくる。
ルーツ
「死ねっ!!」
龍斗はルーツの攻撃への反応が遅れた…。
龍斗
「しまった!!」
京香
「アースッ!!危ない!!」
ザンッ!!
龍斗
「キャナ!!」
ルーツ
「しまった…!キャナ姫を…。」
龍斗はルーツを睨んだ。
そして…
龍斗
「ウォォォォーーッ!!!」
龍斗はルーツに襲い掛かる…。
ルーツ
「うわっ!!」
ルーツは深手を負った…。
ルーツ
「今日の所はこれで退いてやる。だが、次は必ずキャナ姫を王のもとへお連れするからな!!」
龍斗
「キャナ!!大丈夫か!?しっかりしろ!!」
京香(あぁ…。このシーン夢で見たことがある…。この時私は…キャナはアースにこう言いたかったんだ…。)
京香
「泣かないで…アース。」
龍斗
「キャナ!?ごめん…守ると約束したのに…守れなかった…。」
京香
「自分を責めないで…。私は貴方の事を守れて…幸せだから。貴方が無事で良かった。」
龍斗
「キャナ…」
目の前が暗くなる…。
遠くでアースの呼ぶ声が聞こえる…。
全てを思い出した…。
愛してる…
アースを心から愛してる…
二度とこの手を離したくない…