男たち
見たところ、何か探しているらしい。時々立ち止まり、地面に顔をくっつけるようにして小石を引っくり返したり、草を手折ってしげしげと見ている。
やがてお互いうなずきあった。
背負子を下ろし、中から何かの道具を取り出した。鋤のような形をしている。組み立て式で、手にしっかりと握りしめ、ぐさりと地面に突き刺した。
しばらく無言で、その作業を続けている。
やがて動きが止まった。
顔をあげ、お互い見合った。
「どうじゃ?」
「どうも違うようじゃ」
「わしも、そう思う。やはり、もそっと奥に分け入る必要があるな」
道具をもとに戻すと、斜面を登り始めた。
時太郎はもっとよく見たいと身体を乗り出した。その瞬間、ぽきり、と足が小枝を踏みしめた。
ぎくり、と男たちの動きが止まった。
「だれじゃ!」
さっと振り向く。時太郎と男たちの視線が、真っ正面から合ってしまった。
まずい、と時太郎は首を竦めたが、もう遅い。
ざざざざ……と男たちは飛ぶように斜面を駆け下り、あっという間に時太郎を取り囲んだ。
お花は……すでにいない。
時太郎は、どうしていいか判らず、立ちすくんでしまっていた。