表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/51

好奇心

 お花は、にっと笑いかけてきた。


「どうしたの、時太郎。面白くなさそうな顔してんのね」


 時太郎は上半身を起こし、けっと肩をすくめた。

「面白くなさそうな顔って、どんな顔だよ! 面白い顔って、こんな顔か?」

 手で頬を掴み、ぎゅっと引っ張り、目を寄り目にさせる。


 くつくつとお花は忍び笑いをした。

「また喧嘩したんでしょ。あんたも懲りないわねえ……」

「ほっとけ」と呟いて、時太郎は立ち上がった。お花は時太郎の腕を掴んだ。


「ね、お山へ行って見ない?」

「お山? 何しに?」

 お花は、辺りを見回すと、そっと囁いた。


「〝土掘り〟が来てんのよ」


「え?」と時太郎は問い返した。

「何のために? お山は約定で〝土掘り〟が入っちゃいけねえ、ってことになってるんだろ?」

「それが、見かけない連中なの。この辺りじゃ、見たことない顔よ。あたし、見たのよ! ほら、この百合……」


 お花は、頭に飾った百合の花を見せ付けた。

「これを摘みに行った時、見かけたんだって! 絶対、あの連中は、怪しいわ!」

 お花の話に、時太郎の好奇心は、むらむらと入道雲のように膨れ上がった。面白そうである。


「うん」と時太郎はお花に向け、うなずいた。


「行こう!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ