表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/51

家来

「なにがあった? 有り体に申せ!」


 ははっ、と三人は這いつくばり、河童淵で起きた出来事を口々に、口角泡を飛ばして奏上した。

 上総ノ介は、黙って耳を傾けている。

 やがて口を開いた。口調は平常のものに戻っている。


「それで、その場所に金鉱はあると思われるか?」

 中央に這いつくばっていた一人が顔を上げた。作蔵であった。

「それは、判りかねます」


 むっ、と上総ノ介が不機嫌そうに額に皺を刻むのを見て、作蔵は慌てて言い重ねた。


「しかし、何かありそうだ、とは思われます。それが金なのか、銀なのか……それとも別の何かは判りかねますが……。お許し下され。手前ども、ここに金がありますぞと、上様をお騙しすることは簡単でござる。しかし我ら、確かなこと以外、口にすることは山師の道にもと悖ると思っておりますので」


 ふむ、と上総ノ介は愁眉を開いた。作蔵の正直な態度に好感を持ったようである。


「あい判った! 大儀であった。後で褒美を取らせるゆえ、下がってよいぞ!」



 へへーっ、と三人は這いつくばりつつ、その場を退出した。

 どすどすと荒々しい足音を立て、上総ノ介は広間の壇に上がった。壇には緋毛氈が延べられている。どかりと座り込み、帯に挿した扇子を手にとり、ぱちりぱちりと開いたり閉じたりさせている。



 脇息に凭れ、なにか考え事をしているようだ。

 家来たちは身動きもしない。



木戸甚左衛門きどじんざえもんはあるか?」


「ははっ、ここに!」と声がして、一人の家来が膝を滑らせ、正面に座った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ