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 長老の言葉を聞いて、全員が笑い返した。一人が口を開き、賛意を表わす。


「それが宜しゅうございます……あの〝土掘り〟どもに、一泡をば噴かせてやりましょう!」


 河童たちは、さっと散開した。足音を忍ばせ、滝壺を取り囲む形になる。

 長老の脇には、三郎太が立っている。その三郎太に、長老が話しかけた。


「三郎太、お前が合図を出せ」


 三郎太は一歩さっと前へ出ると、両手を喇叭の形にして口に当てた。

 大きく息を吸い込む。




 ────ん!





 三郎太の喉から、人間の耳には聞き取れない、低周波の音が放たれた。これを聞き取れるのは、河童と時太郎だけである。

 音は滝壺に真っ直ぐぶち当たり、岩壁に反射される。

 周りを取り囲んでいる河童たちの喉からも、同じ低周波音が放たれる。




 牟────ん!

 牟────ん!





 河童の嘴の内部は空洞になっている。空洞の内側には薄い膜があり、これは音を反射させるが、声帯から発せられた音はこの膜で反射をくり返し、位相が揃う。つまり同期位相低周波音フォノン・メーザーとなる。


 滝壺は、河童たちの低周波音波によって満たされた。

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