表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

百合短編

人とオオカミの間(あいだ)

作者: 転生新語

 ここは(じん)(ろう)学園(がくえん)。その(むかし)人間(にんげん)という種族(しゅぞく)(ほろ)びたあと、(いま)世界(せかい)(じん)(ろう)のものとなった。


「ねぇ、()ってる? 学園(がくえん)(りょう)に、人間(にんげん)(まぎ)()んでるっていう(うわさ)


人間(にんげん)⁉ あの、一年(いちねん)じゅう発情期(はつじょうき)(つづ)いてるっていう伝説(でんせつ)()きもの⁉ (こわ)ーい!」


 この学園(がくえん)(かぎ)らず、種族(しゅぞく)全員(ぜんいん)女性(じょせい)であり、不死(ふし)(ちか)生命(せいめい)(りょく)(わか)さを(みな)()(つづ)ける。繁殖(はんしょく)必要(ひつよう)もなく、(きば)(するど)(つめ)もなくなって、彼女(かのじょ)たちは平和(へいわ)()らしていた。


雑食(ざっしょく)で、なんでも手当(てあ)たり次第(しだい)に、いろんな意味(いみ)()べちゃうエロい生物(せいぶつ)よね。菜食(ベジ)主義者(タリアン)の私たちには(しん)じられないわ」


「なんとかしないと。会長(かいちょう)、どうしたものでしょう?」


 学園(がくえん)のあちこちでは、面白(おもしろ)おかしく人間(にんげん)(うわさ)(かた)られている。生徒(せいと)(かい)(しつ)では会議(かいぎ)(おこな)われていて、(ふく)会長(かいちょう)会長(かいちょう)へと意見(いけん)をあおいだ。


()()きなさい。(さわ)がれているのは、最近(さいきん)になって転校生(てんこうせい)学園(がくえん)(はい)ってきたからでしょう。むやみに()るし()げて、その()(かんが)えなしに排除(はいじょ)するのは()ずべきことです。たとえ彼女(かのじょ)人間(にんげん)であろうとも、まずは(はなし)をして、理解(りかい)()うべきではないですか」




「ふーん、そういう会議(かいぎ)があったんだ。それで生徒(せいと)会長(かいちょう)さまが直々(じきじき)に、私の部屋(へや)まで()てくれたってわけ? ありがたいなぁ」


「ええ、魔女(まじょ)()りみたいな裁判(さいばん)ごっこは()けたかったので。私たち(じん)(ろう)は、人間(にんげん)(こわ)がっています。そういう(おそ)れを()って貴女(あなた)()(かこ)めば、けっして()方向(ほうこう)へ、ものごとは(すす)みません。もし貴女(あなた)悪人(あくにん)で、私が(ころ)されるとしても、そのときには私の犠牲(ぎせい)によって貴女(あなた)(さば)かれます」


 (いま)(よる)で、学園(がくえん)(りょう)(しゅう)(しん)時間(じかん)である。週末(しゅうまつ)であり、明日(あす)授業(じゅぎょう)もないので、じっくりと(はな)()うことができる。お(たが)いにパジャマ姿(すがた)であった。


決死(けっし)覚悟(かくご)だねぇ、ちょっと誤解(ごかい)があるんじゃないかな。私の()()てよ。貴女(あなた)たちと、なにか(ちが)う? (かぎ)(づめ)もないし腕力(わんりょく)だってない。(だれ)(きず)つけないわ」


 転校生(てんこうせい)彼女(かのじょ)が、()()ばして生徒(せいと)会長(かいちょう)(ほお)をなでる。(やさ)しい()つきだった。


「だから、お(ねが)い。どうか私を(こば)まないで……」


 やや(なみだ)ぐんだ(こえ)で、転校生(てんこうせい)(かお)(ちか)づける。生徒(せいと)会長(かいちょう)彼女(かのじょ)(こば)まなかった。




 その()生徒(せいと)会長(かいちょう)によって、学園(がくえん)(うわさ)正式(せいしき)()()されて。それからの学園(がくえん)では、(いま)まで以上(いじょう)生徒(せいと)たちが(なか)(むつ)まじく()ごすようになった。そこに生徒(せいと)会長(かいちょう)転校生(てんこうせい)影響(えいきょう)があったかは、(だれ)にもわからない。




 私たちはそれぞれが(ちが)存在(そんざい)である。そして(ちが)うもの同士(どうし)(なか)よくなることには、なにも(もん)(だい)はない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ