少女とフェンリルの出会い
「フェン殿はこの森にもともといなかったと聞いたが、どうして今ここで暮らしているんだ?」
「フェンは、ある日この森で怪我をして倒れていたのよ」
「そんなことがあったのか」
「ええ」
「フェン殿との出会いをもう少し聞いても?」
「別に面白くないわよ」
「聞かせてほしい」
カインはレイとフェンの関係に深く興味を示す。
「フェンと出逢ったのは確か、私が十歳になった頃。当時の私はまだ魔法が使えなかったから、怪我が治るまでしばらくお世話することにしたの。彼を見つけた時は、私は生き物に詳しくなかったから、彼が聖獣でフェンリルだと気づいていなかったのよね」
「いつ気づいたんだ?」
「それは、フェンが教えてくれたの。私があまりにもフェンリルという種族を前にして怖がらなかったから」
「怖くなかったのか?」
「ええ。敵意も感じなかったし、大きい狼くらいにしか思ってなかったわ」
「ハハ!そうなのか。その後は?」
レイの肝の座り様に思わず笑ってしまうカイン。
興味津々にその後の話を振る。
その顔はとても楽しそうだ。
「そうね。怪我が治った頃には、フェンとは一緒に森を駆けたり、後は色んなことを教えてもらったわ。狩りの仕方とか魔獣や精霊のこと。魔法や契約のこともその頃に聞いて。フェンは私の先生でもあるの」
レイは当時のことを思い返しながら、どこか楽しそうに話す。
そんな彼女を後姿を優しい眼差しでカインは見つめている。
「そんな風に過ごしていたら、一年が経って。フェンはこの森が気に入ったわ。私といる毎日は飽きないと。私もフェンと過ごす毎日が楽しいと思っていてから素直に嬉しかった」
レイは、懐かしそうに目を伏せる。
「確かに、ここは居心地がとてもいい。契約はその時に?」
「確かに彼から契約を申し出てくれたけど、私は反対したわ。契約についてを教えてもらった時から、私は名前を付けてを縛らないって決めてたから。その時初めて、フェンと喧嘩したわ」
「それほど、君は契約をするのを拒んだのか」
「ええ。街に下りた時に、契約したことで苦しんでいる魔獣達をたくさん見てきたし、人間が彼らを奴隷のように扱っていたところも見た。その時に契約するという事の恐ろしさを知った。私はそんなもので彼を縛り付けたくなかった」
彼女は拳を強く握りしめ、強い口調で語った。
「だが、君とフェン殿は信頼関係はあったんだろう?契約は順当にできたはずだ。どうして渋ったんだ?」
レイは手に取った鍋の底ををじっと見つめている。
「確かに、信頼関係があれば契約は滞りなくできる。でもそのあとは?契約獣にとって、契約者の言葉は絶対。背くことは許されない。私はそれが嫌なの」
自分の想いを口にする度、徐々に掴む手に力が入る。
「君は、優しいな。フェン殿たちが契約したいという気持ちが分かった気がする」
そう言いながらカインは、外のフェンへ視線を映した。
だがすぐに、視線をレイへ戻しコーヒーを一口啜った。
「ちなみに、喧嘩って?」
「ただの口喧嘩よ。契約するしないの押し問答」
「二人とも意志が強かったんだな」
「ええ。結局私が折れて、契約したけどね。それに今となっては契約したことに、後悔はない。フェンのおかげで、毎日すごく賑やかで飽きないもの」
そう言って、レイは窓から見える昼寝をしているフェンに視線を向けた。その視線は、とても暖かいものだ。君はそんな顔もするのかと、庭にいる彼らを見つめるレイの横顔に見惚れる男が一人いた。
「少し話過ぎたわ。ご飯にしましょう」
「ああ。話に夢中ですっかり忘れていた。話を聞かせてくれてありがとう。俺にも何か手伝わせてほしい?」
見つめていたことがばれないように、カインは慌ててレイから視線を外す。
「大丈夫よ。食べられないものとかある?」
こういう気遣いができるのが、彼女の良さだ。
「ああ、なんでも食べる」
「そう。ならよかった。今日は外で食事を摂りましょう」
『今日、お外なの!』
いつの間にか戻ってきていたコハクが、嬉しそうに尻尾を揺らす。
「楽しみだ。食材は俺が運ぼう」
「ありがとう、助かるわ」
下準備をした食材を持って、三人は庭へ出た。
【森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~】
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