人ならざる者と言葉を交わす少女
「どうして、彼女の名前がリリィだと」
聖竜の名前を言い当てたレイに、カインが問いかける。
名前を呼ばれた聖竜も、目を見開いている。
「彼女があなたの言葉に、リリィは無事ですよ。って答えたのが聴こえたからよ」
「君はリリィの言葉が分かるのか?」
「ええ。会話する知性があれば、聖獣や精霊、魔獣の声だって聞こえるわ。信じはしないでしょうけど」
彼女は、ぶっきらぼうに答えた。
そう、レイは普通の人には聞こえない生き物たちの言葉を聞き、言葉を交わすことができるのだ。
「嘘だとは思わないさ。リリィの名前を当てたんだ。すごいな君は」
カインは優しく微笑んだ。
微笑む彼にレイは不思議そうな顔をして、
「変わった人ね。普通、人間以外と会話できるなんて言ったら、気味悪がるわよ」
自分を卑下するように、そう言った。
彼女が森に捨てられた理由が、この力のせいなのだ。
「そんなことはない。俺にもそんな力があれば、リリィだけじゃなく他の生き物たちについてもっと知れるのにな……」
カインは、彼女の力を羨ましいと言った。
「そんないいものでもないわよ。助けを呼ぶ声が聞こえても、助けられなかった子達がいっぱいいたわ」
レイは悔しそうに唇を噛む。彼女のヘーゼル色の瞳が揺れる。
「……そうか。でも、君のその力のおかげで助けられた者たちもいるんだろ?」
カインはレイの目をまっすぐ見て言った。
「レイ。私はお前に助けられた一人だ。忘れるな」
フェンが慰めるように彼女の頬に鼻を軽く当てる。
「そうね」
レイの表情が少し明るくなったように見えた。
リリィはカインからレイに向き合うように体の向きを変える。
『レイ、この度は助けていただいきありがとうございます』
その言葉と共にゆっくりと頭を下げた。
「私がそうしたいからしただけよ。気にしないで」
レイは優しくリリィに言う。
「彼女が君に何かを伝えたのか?」
リリィの言葉が分からないカインが彼女に尋ねた。
「助けてくれてありがとうって。貴女は人間が好きなのね」
彼女はリリィの口先にやさしく触れる。
『はい。セレイム王国では、昔から人と聖竜は共に生活しているので』
そう答え、彼女はレイの頭に自分の口先を触れさせた。
それを見たカインが、ぽつりと呟く。
「驚いた。リリィが俺以外に、その仕草をしたところを見たのは初めてだ」
「そうなの?」
「ああ。聖竜が人の頭に口づけをするのは、信頼された者の証だ」
「そう、嬉しいわ。貴女のことリリィと呼んでもいいかしら?」
『ええ。構いませんよ』
「ふふ。ありがとう。よろしくね、リリィ」
レイは嬉しそうに、目を細めた。
夕日が湖に反射し、レイとリリィを照らす。
穏やかな空気が流れたそのとき、森の奥からこちらに向かってくる何かの気配がした。
【森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~】
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