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森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~  作者:
【第二章】セレイム王国へ
25/28

出発とただいま


 宿を出て二人は今、城下町を歩いている。

「昨日は、街を見る余裕がなかったけど、結構賑わっているのね」

「そうだな。街の者たちが活き活きしているな」

 二人の言う通り、明るい時間の街は、夜とはまた違う賑わいを見せている。

 様々な店が立ち並び、呼び込む声があちこちから聞こえてくる。

「アクセサリー類の小物も売っているのね。長期休みにゆっくり見て回るのもいいわね」

「食べ歩きもできそうだ」

 二人は辺りを見回しながら、一度暗闇の森へ戻るため出入り口の門へ向かう。

「貴方は本当に食べるのが好きね」

 彼の食い意地の強さに、レイに僅かな笑みがこぼれる。

「今に始まったことじゃないだろう」

 二人はセレイム王国の門を潜って、暗闇の森へ向かった。



 セレイム王国を出発して、数時間。

 太陽が真上に上り昼となった頃、フェンリルの姿に戻ったレオン、もといフェンに乗りレイは暗闇の森に戻ってきた。

 家に帰ってくると、庭で彼女たちの帰りを待っている森の生き物たちがいた。

 ルビーラビットや、セレリス、黒ヒョウだ。

 カインが来た時は、警戒して姿を見せなかった者たちだ。

 ルビーラビットは、白い体毛で額にルビーのような魔石を持つウサギに似た下位魔獣。

 セレリスは、二本の短い角を持つ小型の黒い馬のような下位魔獣。

 コハク以外の黒ヒョウもレイとは顔見知りの関係だ。たまに、レイたち一緒にご飯を食べる。

 彼らはレイの帰宅に気付くと、一斉に彼女のもとへ飛んで来た。

「わっ。皆、ちょっと待って」

 彼らのあまりの勢いに、姿勢を崩し、尻餅をついたレイ。

 そんなことは顧みず、彼らは彼女の傍から離れない。

「ただいま。昨日は、急に家を空けてごめんなさい。びっくりしたわよね」

 レイが声を掛けると、彼らは彼女から離れ行儀よく話を聞く体制を取った。

 レイも改めて座り直すと、一匹のルビーラビットがぴょんと膝に乗ってきた。

「どこに行ってたの?レイが居なくなって寂しかったよ」

 彼は、レイの膝の上で後ろ足で立って訴えた。

「ごめんね。セレイム王国ってところに行ってたの」

 レイは、彼に対し子供に話しかけるように穏やかな口調で話かける。

「怖いところ?」

「ううん。賑やかなところだったよ。皆に先に伝えておくね」

 そう切り出したレイ。

 彼らの間に不安げな空気が漂う。


「私とフェンは、明日からしばらく森を空ける」

「やだ!」

 間髪入れずに、ルビーラビットがレイの膝の上で飛び跳ねて抗議する。

「この森を出ていくってことじゃないから、安心して。時間を見つけたら、時々戻ってくるから」

 レイは、抗議している彼を掬い上げて彼を諭す。

「やだやだ!」

 しかし、聞きたくないと長い耳を折り曲げて、彼女の手の中でうずくまってしまった。

「レイ、本当に?」

 セレリスも信じられないとレイに問う。

「ええ。でも、ちゃんとここに帰ってくる。嘘はつかない」

 レイは、セレリスの目をまっすぐ見て伝えた。

「……うん。分かった約束ね」

 彼女の言葉に嘘はないと確信したセレリスは、レイの額に自分の額を合わせてそう言った。

「ええ。約束」

 二人の会話を聞いていたルビーラビットが、レイの手の中から飛び降り、四つ足でセレリスの足元に行く。

「セレはなんで受け入れられるの!悲しくないの?」

 彼女の物分かりの良さが気に食わなかったのか、きつく当たる。

 セレリスは、体を屈ませ彼と同じ目線になる。

「あたしだって寂しい。でも、わがままを言ってレイの迷惑になるのはもっと嫌だ」

 レイは、二人のやり取りを静かに見守っている。

「迷惑になるのは、ぼくもやだ」

 セレリスの言葉が刺さったのか、ルビーラビットはしゅんと耳を垂れ下げた。

「だったら、出来ることは一つだよね」

「うん」

 セレリスの言葉に素直に頷いた。

「レイ」

 彼はセレリスのもとから、レイのところへ戻る。

「なに?」

 レイは、優しく声を掛ける。

「ぼく、もう、わがまま言わない。レイが帰ってくるの、ちゃんと待つ」

 彼は目に涙を溜めながらも、彼女の目を見つめて言い切った。

「分かってくれて、ありがとう」

 レイは、泣き出しそうな彼の頭を親指で優しく撫でた。

 ふとレイは機転を利かせ、ある提案を出した。

「今日は庭で皆で夜ご飯食べようか」

 彼女の提案を聞いて、庭にいた者たちが声を上げた。

 今日は、宴並みに賑やかになりそうだ。

「ふぁ~。ん?飯か?」

 庭の端でうたた寝をしていたフェンが起きてきた。

「おはよう。ねぇ、一緒に今日の夜ご飯の材料、取りに行かない?」

 レイはフェンとセレリス、ルビーラビットに声を掛けた。

「うん!行く!」

「あたしも」

「ああ、そうだな。美味い肉を狩りに行くか」

「じゃあ、着替えてくるから。待ってて」


 しばらくして着替えを終え、庭に出てきた彼女は、着古した白の長袖のブラウスに、茶色の皮ベストを羽織り、ゆったりとしているが裾が絞られた深緑のズボンを穿いていた。

 この服装は、彼女が食材調達に行くときのお決まりの格好だ。

 またレイは、採集用のウィーテと呼ばれる穀物の茎を編んだ筒型のかごも用意した。

「コハクと他の皆は、留守番お願い」

 レイは動きやすくするため、長い髪を後ろで束ねながらコハクたちに指示をする。

「わかった!美味しいお肉、とってきてね~」

 コハクは同じ黒ヒョウたちと戯れながら、返事をした。

 留守番を頼まれた他の者たちも、それぞれくつろいでいた。

「楽しみに待っておれ。今日は宴だ」

 コハクの返事に対し、フェンが笑みを浮かべながら応えた。

「やった~!」

 彼の言葉を聞き、コハクは尻尾をこれでもかというくらいに振る。

 その姿はヒョウではなく、まるで大型犬だ。

「そうと決まれば、今日はいつもより狩らねばな」

 フェンは、鼻高々に言った。

「お肉の調達は貴方に任せて、私はこの子たちと木の実とかキノコを採ってくるわ。日が暮れる前に湖の前で合流しましょう」

「ああ。分かった。では、私は先に行っておるぞ」

「あまり暴れすぎないようにね」

「ああ。手加減はする」

 フェンは言い終わると、颯爽と駆けていった。

「よし。じゃあ私たちも行こう」

 フェンが狩りに出たのを見送ると、レイも編かごを背負いセレリスたちに声を掛けた。

「うん!」

 そうして彼女たちも今晩の食材採取のために家を出た。

 

【森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~】

を読んでいただきありがとうございます!


読んでいただいた方に癒しを

届けられたら嬉しいです( *´꒳`*)


この作品をより良いものにしたいので、

感想、ご意見、お待ちしております!

また、誤字脱字を見つけた方がいましたら、報告していただけると助かります。


不定期更新ではありますが、この世界観をのんびり楽しんでいただけると嬉しいです^^*


ブックマーク、評価もよろしくお願いします!/碧


作者のTwitter→@ao_rapis

主に小説の更新情報を発信しています!


カクヨム様にも同作品を投稿しております。

https://kakuyomu.jp/users/ao_rapis

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