初めてのメニュー
「ハハッ!」
「お前それ本当か?」
「嘘じゃねーよ!」
「そういや、この噂知ってるか?」
店内のあちこちから賑わっている声が聞こえてる。
その声に少し耳を傾けていると、
「カインの旦那!帰ってきたのか!」
この店の店主と思われる男が、カインに話し掛けてきた。
「マールズさん!何とか生きて帰ってこられました」
店主の名は、マールズ・ワルスン。彼はカインと顔見知りのようだ。
「無事で良かったよ!今日は何を注文だい?」
「ケルウのステーキを三つ、お願いできますか?」
「あ〜、すまない!ケルウの肉は、二人分しかもうねえんだ」
「だったら私の分を、シチューか何かスープで」
すかさず、レイが助け舟を出す。
「ああ。それなら出せるよ!すまないな、嬢ちゃん。助かるよ!」
「レイ殿、いいのか?」
「ええ。お肉は団長さんとレオンが食べて」
「では、ケルウのステーキを二つと、ビーフシチューを一つ。あと、パンとサラダを三人分頂けますか?」
「あいよ!すぐ作る、ちょっと待っててくれ。……ケイリー!三人を席まで案内してやっておくれ」
「はい!」
マールズに名を呼ばれ返事をしたのは、ブラウンの髪を後ろで一つに束ね、店の制服であろう、くすみのある緑がベースで袖口が白のワンピースに、茶色の腰エプロンを着けた娘だ。
「三名様ですね!こちらへどうぞ!」
とても元気のある子だ。
「ああ。ありがとう。ケイリー」
カインは彼女を呼び捨てで呼んだ。
「団長さん。あの子と知り合いなの?」
「ああ。ここの店主の娘さんだ。十三になったばかりだそうだ」
マールズの娘、ケイリー・ワルスン。
彼女はとても活発で明るい少女だ。
「そうなの。家の手伝いをして、偉いわね」
「いえ!私が好きでしているので、あんまり家の手伝いと思ってしていません!」
屈託のない笑顔で言うケイリー。相当、この店で働くのが好きなことが分かる。
「そう」
彼女の笑顔に、レイも少し微笑み返した。
「お席はこちらになります!料理が届くまで少しお待ちください」
ケイリーは一礼するとすぐに、他の客の注文を取りに戻った。
「たまには、こうしてお店で食べるのもありかもね」
「そうだな。いい刺激になる」
レイとレオンは店内のにぎやかさを聴きながら、そんな会話をする。
「申し訳ない。レイ殿にも食べてほしかったんだが」
「気にしないで。レオンが食べられるだけでも良かったわ。この人はお肉が食べれないと、少し不機嫌になるから」
「ハハッ。そうなんですね」
「ん?」
カインがレオンをちらと見ると、レオンがなんだという顔をした。
「ええ。あ、そういえばコハクの分のご飯がまだだわ」
「あとでやれば、問題なかろう」
「ブラッシングもできてない。今頃、すねているかも」
「お待たせしました!ケウルのステーキが二つと、ビーフシチューが一つ、それとパンとサラダが三つずつ。以上で間違いないですか?」
談笑がひと段落したいいタイミングで、ケイリーが料理を運んできた。
「ああ。ありがとう」
「では、ごゆっくり!」
そう言い、ケイリーはまた持ち場に戻っていった。
「では、いただきましょうか」
「ええ」
「美味そうだな」
レイたちは、それぞれ届いた料理を食べ始めた。
「ケルウの肉は、脂身が少ないんだな」
「ええ。淡泊な肉なのでこの店の濃いめのソースがよく合うんですよ」
「ああ。脂が少ないのが惜しいが、ソースとの相性がいい。美味い」
初めてのケルウの肉は、好感触のようだ。
「口に合ったようで良かったです」
「ああ」
頬張るレオン。
ケルウのステーキをかなり気に入ったらしい。
「レイ殿。ビーフシチューの方はどうですか?」
もくもくと隣で食べるレイに声を掛けたカイン。
「とても美味しいわ。よく煮込まれているから、お肉も柔らかくて食べやすいし、パンとも合う」
ビーフシチューも好評だ。
「そうか、良かった」
微笑むカインは心底、安心した様子だ。
しばらくの間、三人はペガサス亭の料理を楽しんだ。
【森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~】
を読んでいただきありがとうございます!
読んでいただいた方に癒しを
届けられたら嬉しいです( *´꒳`*)
この作品をより良いものにしたいので、
感想、ご意見、お待ちしております!
また、誤字脱字を見つけた方がいましたら、報告していただけると助かります。
不定期更新ではありますが、この世界観をのんびり楽しんでいただけると嬉しいです^^*
ブックマーク、評価もよろしくお願いします!/碧
作者のTwitter→@ao_rapis
主に小説の更新情報を発信しています!
カクヨム様にも同作品を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/users/ao_rapis




