任務完了
「何か手伝えることはあるか?」
レイにだけ任せていてはいけないと、カインが近くにいた治癒師に声を掛けた。
レイは、レヴィンと共に負傷者たちの夕食の準備の手伝いに出ており、竜の間には今はいない。
「カイン団長!……いえ、今のところは団長の手を借りるほどのことはございません。というよりも、レイ様が騎士たちを治してくれたおかげで、我々もお役御免と言う所です」
あはは、と治癒師は頭の後ろを掻きながら苦笑いをこぼした。
「いや、治癒師殿たちも良く堪えてくれた。貴方たちが居なければ、騎士たちはもっと最悪の状況になっていたかもしれない。ありがとう」
「身に余るお言葉です」
治癒師は、彼の言葉を嚙み締めながらカインに深々と頭を下げた。
「団長!団長がここに戻ってこられるまでに、何があったのですか?」
カインが治癒師と話していると、治療を受け回復した一人の騎士がカインに話し掛けた。
彼の興味津々なその眼差しは、人懐っこい大型犬のようだ。
「ああ。話してやりたいのは山々なんだが、詳しくは話せないんだ。申し訳ない。ただ言えるのは、墜落した後、俺はレイ殿に助けてもらい俺はこうして生きている、ということだけだ」
「何か事情があるのですね」
騎士は状況を察し、深く追求しないことにした。
「ああ。……竜の間にいる皆に告ぐ!」
突然カインは、ドンッと自身の剣を床に突き立て声を張り上げた。
その瞬間、その場にいる皆が手を止めカインに注目する。
「この度の治癒師レイ殿が関わった件は、決して口外無用だ!これは勅命だ!!口を滑らせたものは、首が飛ぶと思え!」
「「はっ!」」
皆が、声を揃え竜の間に響き渡るほどの声で返事をした。
「カイン。お前は名ばかりの団長ではなかったのだな」
その様子を腕を組みながら見ていたレオンがカインを揶揄う。
「レオン殿、それはあまりにひどくありませんか?」
カインは困ったというように眉を八の字にした。
「フッ。冗談だ、許せ。あまりにも退屈でな。お前を揶揄ってみた」
ニヤリと笑うレオン。この男は、相当な悪戯好きだ。
「そうだ、カイン。お前はセレイム学園に詳しいか?」
「セレイム国立学園ですか?」
「ああ。通うとは言ったが、学園についてあまり詳しくないのでな。知っていることがあれば、教えてくれ」
「それは、レヴィンが適役かと」
「レヴィンとやらは、確かあのメガネの、副団長?だったか?」
「ええ。私は、元々冒険者でして、その実力を前任の団長に買って頂いて騎士団に入団したので、この国のことにはあまり詳しくなくて。力不足で申し訳ありません」
「いや、そうか。冒険者だったのか」
「はい。パーティーは組まずに一人で生業にしていました」
「ほう?」
「苦労した戦いもありましたが、S級の称号を持っています」
と嬉しそうに話すカイン。
冒険者はそれぞれランクがあり、下からC級、B級、A級、S級だ。
冒険者として仕事にするには、冒険者ギルドに行って登録を行い、仕事を請ける必要がある。
「お前、なかなかやるな」
レオンは関した様子を見せた。
「カインは、とても優秀な冒険者兼騎士だよ」
いつの間にか竜の間に顔を出していたセルビオスが、二人の会話に混ざった。
その場にいた者たちは、すかさず彼に対して跪く。
「陛下とレオン殿に褒めていただけるとは、光栄です」
カインは、彼の言葉に深く頭を下げた。
談笑していると、竜の間の扉が開いた。
「レイ殿!スープが完成したのか」
騎士たちの夕食分を作り終えたレイたちが戻ってきたようだ。
カインはすぐに気づき声を掛けた。
「ええ」
「レヴィンもご苦労だった。それは俺が持って行こう」
「ああ。任せた」
カインはレヴィンからスープの入った寸胴を乗せた台車を受け取り、配膳へ行く。
「美味そうな匂いだ」
そう呟いたのは、レオンだ。
「薄味にしているから、貴方からしたらあのスープは味気ないと思うわ」
「そうか。あまりにも腹が減りすぎてな」
「お昼から何も口にしていないものね。治癒師の皆さん、後は任せて構いませんか?」
「はい!レイ様、今日は本当にありがとうございました!」
治癒師たちがレイの周りに集まり、一斉に頭を下げる。
「私からも今一度、礼を言わせて頂く。今回の件、大変感謝する。君が来てくれなければ、竜騎士団は再起しなかっただろう」
セルビオスもレイに感謝を述べた。
「いえ私は、出来ることをしただけです。力になれたようで何よりです」
褒められていることになれない彼女は、不器用に言葉を返す。
「疲れただろう。後はゆっくりと休んでくれ」
セルビオスは、レイたちに労いの言葉をかけた。
「ありがとうございます」
レイは、ぺこりと小さく頭を下げた。
「カイン」
「はっ!」
セルビオスの声に、配膳中のカインはすぐさま彼の所へ来た。
「お前も今日はゆっくり休め」
セルビオスはカインに労いの言葉を掛けた。
「お心遣い感謝します」
「明日からまた、竜騎士団団長として役務を果たしてくれ」
「はっ!」
カインが返事をすると、セルビオスはそのまま、竜の間を後にした。
「騎士たちは安静に、レヴィンと治癒師殿たちも休んでくれ。ご苦労だった」
彼が出て行った後、カインは竜の間の者たちに声を掛けた。
「「はっ!」」
その声に全員声を揃えて返事をした。
「お前に言われなくても、勝手に休ませてもらう」
一方で、カインに軽口を叩いたレヴィン。
「ハハッ。お前はそういう奴だな」
「よく分かっているじゃないか」
気の置けない二人。
周りにいる者たちも、いつものやり取りが始まったと二人の会話を微笑ましく見ている。
「では、レイ殿、レオン殿行きましょうか」
「ええ」
「ああ。やっと飯にありつける」
レイ、カイン、レオンの三人は夕食を食べに行くために竜の間を出た。
【森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~】
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