聖竜の怒り
「着いた。ここが竜舎だ」
レイたちは、竜舎の前に着いた。竜舎は城の敷地内にあり、すぐ隣には竜騎士団の訓練場だろうか、騎士たちの練習の様子が見受けられる。
建物の高さは二十メートルほどだろうか、聖竜たちに合わせて大きく造られている。
竜舎の敷地面積は広く、外で寛ぐ聖竜たちを確認できた。
「放し飼いなの?」
「聖竜たちのストレスをためないように、外に出す時間を設けているんだ。今はちょうどその時間だな。この様子だと、さっき伝えた聖竜は中にいる」
「分かったわ」
「開けるぞ」
「ええ」
ギィィと重厚な竜舎の扉が開かれた。
「グワアァアア!」
レイたちが中に入ると、一頭の聖竜の怒号が鳴り響いた。鼓膜が破れそうになるほどの絶叫だ。
そのあまりの大きさに、反射的に耳を塞ぐ。
「あの子が、団長さんが言っていた聖竜?」
レイは、先ほど大声で鳴いた、少しくすみのある灰色の鱗に黄金色に光る瞳を持った聖竜を指差した。
「ああ。そうだ。名前はグレイ。あいつはもともと野生で、あいつの強さを見込んだ前団長が連れてきたんだ。それ故、少し手を焼いているところがあってな」
グレイと呼ばれた聖竜は、レイたちを鋭く睨んでいる。
「相当、怒っているわね」
「なんて言っているか分かるか?」
「あそこまで我を忘れていると、さすがに聞き取れない」
さすがにレイでも難しいようだ。
「リリィ」
カインがそう言うと、召還陣からリリィが現れた。
「リリィ。グレイについて、レイ殿に伝えてくれないか?」
その言葉を聞いて、リリィは頷く。
『グレイは、強さにこだわり、自分が一番でないと気が済まない性格です。向上心があるのはいいのですが。あのように、すぐに冷静さを失ってしまうところが玉に瑕ですね』
「なるほどね。ありがとう」
『これだけ荒れているのは、今まで負け知らずだったからでしょう。治療を拒んでいるようです。惨敗という今回の結果が受け入れられないのだと思われます』
治療を拒んでいる、命を人一倍重くとらえているレイには、聞き逃せない言葉。危険も顧みず彼女はグレイに近づいた。
フェンたちは、その様子を静かに見守っている。
「ねぇ。貴方、死にたいの?」
『うるさい!』
彼女の言葉にグレイは叫んだ。今にもレイに飛びつきそうな勢いだ。
「馬鹿じゃないの」
『こんな傷、放っていたら治る!』
「治ってないから今もそんな体なんでしょ?」
「グワァ!!」
レイはグレイの威嚇に物ともしない。
これ以上、彼を逆上させてはいけないと一呼吸置き、落ち着いて言葉を掛ける。
「今の貴方は、ここにいる聖竜の誰よりも弱い」
その言葉に、グレイはクッと首を後ろに引いた。
『何?』
「貴方は、ただの意地を張っている子どもだって言っているの」
『この俺が?』
「ええ」
「レイ殿。あまりグレイを煽ると……」
一触即発した空気に耐えられなくなったカインが割って入る。
「大丈夫よ。あの傷じゃ、まともに動けないから」
『俺は、ガキじゃねぇ!』
グレイが再び吠える。彼の鋭い眼光から苛立ちが見える。
「子供じゃないっていうなら、素直に助けを乞うものよ」
『……っ』
グレイは、顔を歪ませ言葉を詰まらせた。
「貴方の強くありたいって気持ちは素敵なことだと思う。だけど、強さって力がすべてって訳じゃない」
レイは荒れている彼を諭すように話しかける。
グレイは、彼女の言葉に耳を傾ける。
『力以外に何があるんだよ』
「頼る強さよ」
レイは、彼の目をまっすぐ見つめて言い切った。
『頼るのは弱い奴のすることだ』
「そんなことはないわ。頼ることも立派な力よ」
【森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~】
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