学園に入学・・・?
「コホン。褒美がいらぬというレイに代わって、私から良いだろうか。セルビス」
空気を変えるように、フェンが話に入った。
貰っておけるものは貰う主義の彼らしい。
「聞きはしよう」
「私とレイを、セレイム国立学園に入学させてくれ」
「何を言って!」
突拍子もないことを言い出したフェンのあまりの突然さに、レイは彼の身体を掴み、珍しく声を張る。
しかし、彼には考えがあるようで、真剣な眼差しでレイを見つめる。
「レイ、お前が止めるのもよく分かる。森で暮らすのも良いが、もう少し、お前の世界を広げてみても良いのではないか?学園に通えば、多くの生き物、本、それに人間に出会える。森では出会えない生き物、植物にも会えるかもしれぬぞ?」
「それは、そうかもしれないけれど……」
フェンを掴む手に少し力が入る。
「まぁ本音を言えば、森での生活ものんびりしていて心地良いが、少し刺激が欲しいのだ。セルビスがせっかく作ってくれたこの機会を逃すのは惜しい」
「だったら、貴方だけ通えばいいじゃない」
フェンから手を放し、そっぽを向くレイ。
「それはつまらぬ。レイも通えば、お前は知識を蓄えられ、私は退屈しなくて済む。どうだ?いい案だろ?」
ニヤリと口角を上げる。まるで面白い悪戯を思いついた子供だ。
「って、貴方はどうやって通うのよ」
「私か?私なら心配いらぬ」
フェンがそう言うと、彼の周りが眩い光に包まれた。
その眩しさに、謁見の間にいた者は皆、思わず目を閉じる。
しかし光はすぐに消え、目を開けるとフェンの姿は無く、代わりに彼がいた場所に、肩にかかる白い髪に青い瞳の一人の青年が立っていた。
「……誰」
突然現われた青年に、レイが冷たく問う。
「私が分からないのか。レイ」
「その声……。貴方、フェンなの?」
「正解だ」
青年は悪戯に笑みを浮かべた。
そう、現れたのは人間に姿を変えたフェンだったのだ。
「貴方、人に化けれたの?」
初めて見る彼の姿に、レイは目を丸くする。
彼が姿を変えられることを、レイは知らなかった。
「ああ。言ってなかったか?」
けろっとした顔のフェン。
「聞いてないわ」
そんな彼にレイは冷めた視線を送った。少し怒っているようだ。
「悪い、悪い、そう怒るな。まあ、これであれば、私も学園に通えるだろう?」
フェンは、セルビオスに視線を向けた。
セルビオスもレイと同じように目を丸くしていたが、状況を理解するや否や豪快に笑いだした。
その姿に、レイは少し驚いた表情を見せる。
「ハハハッ!それは、面白い!レイ殿どうだろう?君の言う願いはもちろん叶えよう。今回君が関わったことは、今回の件に関与した者以外には、口外せん。この機会に、我が国の学園に通ってみないかい?フェンリルが言っていたように、暗闇の森では見れない植物や、生き物にきっと出会える」
彼は、レイたちが入学することに乗り気になったようだ。
「学園は、全寮制だ。学費は特例として、二人とも免除しよう」
セルビオスは二人を入学させる気満々だ。
「太っ腹だな。セルビス」
「騎士たちを助けてくれたのだ、これくらいは当然だろう。入学に関しては、国王の推薦で選ばれた生徒、と通せば誰もそれ以上詮索出来ん。まあ、目立ちはするだろうが」
「私、入学するとは……」
「王命、として強制入学にすることもできるんだがなぁ」
一人楽しげなセルビオス。
顎を撫でながら悪戯をする子どものような顔でレイを見る。
「私とフェンを、セレイム国立学園へ入学させて下さい」
お手上げだという諦め、入学の件を受け入れた。
「そう来なくては」
フェンは彼女の横で嬉しそうに笑っている。
そんな彼にレイは怒る気にもなれなかった。
「あの!私が関わったことは」
当初の願いを、セルビオスに改めて示し合わせる。
「もちろん。その約束は必ず守る」
彼は明言し、力ずよく頷いた。
彼の目に偽りはない。それはレイにもしっかり伝わった。
「改めて、編入についてだが、学園は平民、貴族の身分は関係なく入れる。しかし、学園内で身分を振り翳す者がいるのも事実。耐えられるか?」
「私は身分を持たない身ですので、身分差を突かれたところで私には関係ありません」
レイは淡々と言い切った。
「そうか。では、頑張ってくれたまえ。何か困ったことがあれば、気軽に学園長に尋ねてくれて構わない」
「ありがとうございます」
これからの生活について諸々話し合い、来週から学園に通うことになった。
フェンは、学園では身分を隠しレオンという名前で過ごすことを条件に入学が許可された。
「話し込んだわね」
城内を歩く、三人。フェンは、人の姿のままだ。
空がオレンジに染まり始めている。
「ああ」
「そういえば。竜騎士の人たちは治癒が終わったけど、聖竜たちは大丈夫なの?」
「緊急性は低いが、まだ傷が癒えていない聖竜がいると聞いている。だが、その一頭がとても気を荒立てているらしく、竜舎に入るのに手こずっているそうだ」
「そう。様子だけでも見に行けないかしら?」
「案内しよう。危険だと思ったら、迷わず手を引いてくれ」
「分かったわ」
三人は早急に、聖竜たちのもとへ向かった。
【森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~】
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