長い治療の末
―重傷者の手当てに入ってから約時間後。
すで昼時を過ぎていた。
国王に報告を済ませたカインも戻り、食事を運んだり、怪我人の身体を拭いたりとレイたちの手伝いをしている。
「ふぅ。これで大丈夫かしら」
全ての重症者の治癒を終えたレイは、軽く汗をぬぐった。
「ありがとうございます!我々では、到底力が及ばず、とても助かりました」
一人の治癒師がそう言った。これまで怪しんでいた治癒師たちも、誰も彼女に頭が上がらないといった様子だ。
この竜の間にいる者の中に彼女の力を疑う者は、もういない。
竜の間に一人の男が慌ただしく入ってきた。
「カインが帰還とは、本当か!」
「おう。団長様のご帰還だ。レヴィン」
カインは目の前でやって来た男に、この通りと屈託無くはにかんだ。
そうこのメガネを掛け、銀髪の長髪を後ろで束ねカインと同じの型の鎧を着ている男は、セレイム王国竜騎士団副団長、レヴィン・バレンティン。カインの右腕だ。
彼の帰還を耳にし、仕事を急いで終え急いで竜の間へ来たというところだ。
「生きていたのか!」
「ああ。俺も死んだと自分でも思ったよ」
レヴィンの必死な様子とは反対に笑うカイン。
「笑い事じゃない!」
当然、心配していたレヴィンは怒った。
「すまない。そう怒るな」
お互い砕けた口調で話す二人、どこか親しげだ。
それもそのはず、この二人は騎士団を仕切る団長と副団長の前に幼馴染なのだ。
「団長さん、どちら様?」
レイがカインに男について尋ねた。
「ああ、紹介が遅れた。こいつは、副団長のレヴィン・バレンティンだ。レヴィン、こちらは俺の命の恩人のレイ殿だ」
「ご挨拶が遅れました。セレイム王国竜騎士団副団長レヴィン・バレンティンと申します。この度は我らの団長を助けていただいたこと、深く感謝致します」
カインと話す時とは違い、礼儀正しい口調で話すレヴィン。
お辞儀をする姿は、さすが様になっている。
「レイです」
彼女は手短に答えた。
「で、カイン。この方がここにいる理由は?」
レヴィンは、カインに説明しろと少々鋭い視線を送る。
「ああ、騎士たちの手当てを依頼したんだ」
治療を受けた騎士たちの方へ体を向けた。
「……え?皆、回復しているのか?もしかして、これを一人で?」
カインに合わせて室内へ視線を向けたレヴィンは、先日までとは明らかに変わったこの状況に唖然とした。
「え、ええ。重傷者に生体蘇生を」
「はっ?」
理解出来ないという顔のレヴィン。
真面目な彼の表情が見事に崩れた。
「あははっ!こんな顔のレヴィンは久しぶりに見るな!」
彼の表情が余程面白かったらしく、カインは一人涙を溜めるほど失笑している。
「おい、カイン。これは本当か?」
そんなカインを横目に、咳払いをし冷静さを取り戻すレヴィン。
「あ、ああ。……っふ。彼女が一人で全てこなしてくれたよ」
カインもなんとか笑いのツボが収まったようだ。
「貴女は一体……」
いきなり現れ、魔力の消費量が多い生体蘇生を重傷者たちにかけ、それも数時間で治したレイに、レヴィンは疑いの目を向ける。
「まぁ。詳しい話はあとでゆっくりしよう。すまないがレイ殿、陛下に君を連れてくるように言われたので、一緒に来てほしい」
「ええ。分かったわ」
カインはレイと、彼女に治癒を受けた騎士を一人連れ、竜の間を後にした。
「最上級の治癒魔法を使えるとは、彼女は何者なんだ……」
竜の間で一人呟くレヴィンだった。
【森の愛し子~治癒魔法で世界を救う~】
を読んでいただきありがとうございます!
読んでいただいた方に癒しを
届けられたら嬉しいです( *´꒳`*)
この作品をより良いものにしたいので、
感想、ご意見、お待ちしております!
また、誤字脱字を見つけた方がいましたら、報告していただけると助かります。
不定期更新ではありますが、この世界観をのんびり楽しんでいただけると嬉しいです^^*
ブックマーク、評価もよろしくお願いします!/碧
作者のTwitter→@ao_rapis
主に小説の更新情報を発信しています!
カクヨム様にも同作品を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/users/ao_rapis




