七行詩 二篇(「こちらへ向けられた~」ほか)
○
こちらへ向けられた指先にある棘に
私の棘を差し出す
あなたの棘から滴るのは赤
私から滴るのは黝くすぐ固まってしまう
あなたの魚の眼から伸びる視線
それが私のあちこちに刺さって
もっと滴ってあなたのと混じって土の色を変えて
(20200413)
○
近所の池にやって来ると
いつの間にか古墳まで続く橋が架かっている
私は気になって一歩踏み出すが
なぜか橋は大きくたわむ
古墳の森の中に見たこともない光があって
誘われて危ないとどこから声がするが
それでも私は慎重に次の一歩を踏み出す
(20200404)