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物語調の詩/短編

流れる星の物語

作者: 日浦海里

本来の星座の謂れとは異なるため

単独のお話としてお読みください

冥い湖の上に

零れ落ちた生命の水


牛飼いがその手の柄杓で

掬い上げようと水につけると

水神の竜が姿を現して

溶けた水は元には戻らぬ

と仰った


このままでは牛が死に絶え

困ってしまうと

牛飼いが言うと

水神の竜は牛飼いに言った


忘れられた占術師を探すがいい

星の動きを占うものに

北の夜空を測らせよ


生命の水は戻らねど

その欠片ならば降るだろう


その言葉を聞き、牛飼いは

それまでに牛が死に絶えまする

と嘆きます


水を零したは汝の責

救うも喪うも

生きるも死ぬも

巡り巡るは宿命(さだめ)なり

ならば巡る星に委ねよ


水竜は応え、姿を消すと

牛飼いは占術師を探す旅に出ました


季節は巡り

草木も枯れて

多くの命が温もりと共に眠りにつく頃

痩せ細った牛を連れた牛飼いは

星の位置を測り占う

占術師と出会います


牛飼いは占術師に

水神の竜より賜った言葉を伝えると

占術師は手にした四分儀で

北の星を測りました


すると木でできた四分儀は幻のように消え

代わりに夜空には星が降りました


どうか生命の水を、と願うと

牛飼いの手にした小さな柄杓に

輝く煌めく水が浮かんでいます


牛に飲ませると

やせ細っていた牛は元気を取り戻し

牛飼いの頬に擦り寄りました


占術師に礼を告げようと振り向くと

占術師の姿はどこにもなく


代わりにあったのは

占術師が手にしていた四分儀だけ


星と共に再び地上に降ったのか

命の輝きに満ちた四分儀を

牛飼いは大切に持ち帰りました



今でも

竜が導き

牛飼いが柄杓で星を掬い取るように

冬の寒空の下

それらの星座の間から

星々が夜空に降り注ぐといいます


今は失われた四分儀の星から


しぶんぎ座流星群は毎年年末から年始にかけて

北天で観測できる流星群です。

今では存在しない星座のため、

聞き慣れない星座だとは思いますが、

場所は、北斗七星の直ぐ側。

りゅう座とうしかい座の近くあたりで観測されます。


灯りの少ない場所で、夜空を見上げていると

1番流れ星が多くなる時間で

1時間に20個以上の流れ星が

観測できることもあるそうです。


生まれてはじめて、

流星群を観測しましたが、

30分ぐらいの時間で5つほど観測することができました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  創作神話?  いいですね。  現存しないほかの星座でもやってほしいです。  アルゴ座希望。
[一言]  星座の消えた理由。  本当に伝わっていそうな。  そこに在ることにも。  そこにないことにも。  等しく理由は存在するのかもしれないと思えるお話でした。
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