抗うモノ
世界は変わっていくものである
動植物は成長していき、街もちょっとずつ動いている
昨日と同じ今日は無く、また、今日と同じ明日も無いのだ
友達と話す内容はずっと同じというわけにもいかないだろう
かわっていく
全てがかわっていく
何故かわってしまうのか
変化を受け入れる少年はただただ不変を望んでいる
それが矛盾であることを知りながら
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今日もまた変わってしまった
まず朝食が違う
それに母さんと父さんの会話が違う
テレビのニュースの内容が違う
今日もまた変わってしまった
少年は小さく息を吐いた
日を追うごとに爪や髪、背が伸びていく
そして知識も増えている
一日にできることが増えていき、そして減っていく
何をするか、何ができるか
選択肢は増えていき、減っていく
あそこに何かが建った
あっちは何が建っていたか
日々蠢く街並みの中、やはり少年は不変を望んでいた
明日は何が変わっていくのだろう
変化を受け入れるしかない少年は静かに横たわる
変わることは出来る
変わらないことは出来ない
でも
変わらないふりをすることは出来る
気付かなければ変わっていない
少年はそんな綻びだらけの考えで不変を受け入れた
時、年、人、建物、緑、青、赤
それは変わらずにはいられないもの
不変を求めて変化を享受した少年はまだその事に気が付いていない
己の考えが歪み、変化していることに